過払い金

クレディアに自分で過払い金請求するには?失敗しない方法・手順と注意点

クレディアはかつてJCBと業務提携なども行い、東証一部に上場もしていましたが多数の過払い請求によって業績が悪化し、2008年8月20日には民事再生法が適応されました。しかし倒産したというわけではなく、再生計画案にもとづき現在でも営業が行われています。

また、2012年にフロックスという名称に変わりますが、1月ほどで再びクレディアに戻した経緯があります。そのため倒産したと勘違いして過払い請求を行わなかった方も多数存在します。

実際には、今でもクレディアに過払い請求を行うことは可能です。ただしクレディアへの過払い請求は民事再生法が適応されたことで手続きが複雑になる傾向があります。

過払い金の返還を請求するにあたり、弁護士や司法書士などの専門家に依頼するか、自分で交渉するかが大きな分岐点となります。

専門家に依頼した場合は、解決報酬(成功報酬)として返還された過払い金の20%~25%を支払わなければなりません。その他に着手金をとる事務所もあります。

その点、自分で交渉する場合は情報収集の手間がかかりますが、返還された過払い金のほぼ全てを取得できます。また、手続きの途中から依頼することも可能なので、交渉や訴訟準備などが困難だと感じたら専門家に任せるという選択肢もあります。

クレディアに過払い金を請求する際の手順や注意事項などを確認していきましょう。

クレディアの過払い金請求の対象期間と当時の金利は?

クレディアでは2007年ごろ、最大金利29.2%から金利20%以下に引き下げられました。そのため2007年以前の借入契約に過払い金が生じている可能性があります。

さらに、民事再生法が適応されたため2008年9月20日を境にクレディアを利用した日時によって過払い金請求の手続きが異なります。

また、過払い金の返還請求ができる期間は、業者との最後の取引(借金の返済も含む)から10年以内ということには注意が必要です

クレディアの過払い金請求で多い傾向や特徴

クレディアは2008年8月20日に民事再生法が適応されました。民事再生法にもとづきクレディアは再生計画を発表し、過払い金の請求は2008年9月20日を境に手続き方法が異なります。

2008年9月20日以前の取引では再生計画に記載されている通り、過払い金満額の40%しか受け取ることができません。ただし過払い金が30万円以下の場合は全額返還されます。

また、一般的な過払い請求の手続きは必要なく、和解交渉を行う必要もありません。クレディアから送られてくる合意書にサインすると3ヶ月以内に支払われます。ただし事前に債権届けを提出している必要があります。

2008年9月20日以降の取引では一般的な過払い請求の手続きと変わりません。過払い金も交渉や判決によっては満額回収も可能です。ただし、クレディアは経営が厳しいこともあり、過払い請求への対応が非常に悪いです。

交渉では非常に低い和解金額を提示し、裁判の強引な引き延ばしなども行い、徹底して支払日を遅くする傾向にあります。いまだ経営が続いているとは言え不安定な状況に変わりはありません。過払い請求は早急に行うことをおすすめします。

クレディアに過払い金請求したらいくら戻ってくるかの目安(返還率)

裁判(訴訟)を起こさず、話し合いにより和解した場合

返還率は過払い金のおよそ1割と非常に低いです。それどころか個人の請求では和解には一切応じない場合もよくあります。経験豊富な弁護士や司法書士に依頼した場合でさえ返還率は2~3割ほどで、それ以上の過払い金を回収するには訴訟を起こす必要があります。

裁判(訴訟)を起こした場合

返還率は過払い金の3割~10割ほどです。そのときのクレディアの経営状況によって返還率が大きく変動する傾向にあります。また、裁判期日を徹底的に引き延ばし、満額回収にはかなりの時間がかかります。

クレディアから過払い金が戻ってくるまでの目安(返還期間)

裁判(訴訟)を起こさず、話し合いにより和解した場合

およそ4ヶ月となります。請求書を発送してから1ヶ月ほどで担当者と和解交渉することができますが、場合によっては和解に応じてもらえません。過払い金は確定してから支払いまで3ヶ月ほどかかります。

裁判(訴訟)を起こした場合

およそ6ヶ月~1年以上となります。クレディアは過払い金請求には徹底した減額を求めます。さらに訴訟を長引かせるためにあらゆる手段をとり、ほとんどの場合に控訴も行ってきます。裁判が1年を超えることも珍しくありません。過払い金を満額回収するには非常に長い期間が必要となります。

クレディアに過払い金請求するデメリット

クレディアカードを利用できなくなる

過払い請求を行うとクレディアのカードは自動的に解約処理となり今後は使用不可能となり、その後は再発行が出来ない可能性があります。

クレディアに返済中で過払い金請求する場合はブラックリストに注意

借金が残る場合は信用情報(ブラックリスト)にのる

クレディアに過払い金額で相殺できないほどの借金を返済中の場合、それでも過払い金を返還請求した時はブラックリストに載ることになります。

ブラックリストはクレディアだけではなく全ての金融機関で共有され、もし登録された場合はキャッシングや新規クレジットカードの発行ができなくなり、ショッピング・自動車・住宅ローンなどの利用も5年間制限されることになります。

過払い金で借金がゼロになれば信用情報(ブラックリスト)にのらない

返済中に過払い金を請求し、今現在の借金が全て相殺された場合はブラックリストに載ることはありません。返還請求を行う前に、先ずは過払い金の正確な計算を行い、現在の借入残額と比較しておくことが重要と言えます。

クレディアに過払い金請求する注意点

旧プリーバ、旧スタッフィ(ステーションファイナンス)などを利用していた方

旧プリーバや旧スタッフィなどの事業は日本保証が引き継ぎましたが、日本保証の事業自体を現在はクレディアが引き継いでいます。そのため、旧プリーバや旧スタッフィへの過払い請求もクレディアが請求先となります。

債権届けを提出していない方

2008年9月20日以前にクレディアに過払い金が発生している方は債権届けを2009年5月21日までに提出する必要がありました。

しかし提出していなくても正当な理由がある場合は過払い金を請求することができます。早急に確認しましょう。

クレディアに過払い金請求するなら時効に注意

過払い金請求の時効(ブラックリスト)にのる

過払い金請求の権利は、最後の取引から10年で消滅してしまうのでご注意ください。過払い金請求の時効は借入した日ではなく、最後に返済した日からカウントされます。

また、完済した後すぐに新規借入をおこなっていた場合は、併せて1つの取引とみなすか、別々の取引とみなすかで過払い金請求の時効のカウントが始まる日が異なるので、過払い訴訟の争点となる場合があります。

時効が間近に迫っている場合

最も手軽な方法としてクレディアに内容証明郵便を送付する「催告」を行います。催告は過払い金請求を行うという意思表示です。催告によって時効の進行が停止している半年間の間に、改めて過払い金を請求する手続きを取ります。

クレディアに過払い金請求する流れ

【1】クレディアから取引履歴を取り寄せる

電話で取り寄せる

電話にてクレディアに「契約内容を確認したいので、契約当初からの取引履歴が欲しい」と伝えます。本人確認の後、受け取り方法を指定すると1ヶ月ほどで取引履歴を取得できます。

ただし、クレディアでは事前に引き直し計算された取引履歴が送られることがありますが、金額が間違っていたという報告もあります。必ず自分でも計算して確認しましょう。

また、以前はクレディアの公式サイトから債権届けがダウンロードすることができましたが、現在は公開されていません。必要な方は取引履歴と同時に請求しましょう。

FAXか郵送で取り寄せる

以下のURLから取引履歴開示請求書をダウンロードし、必要事項を記入してクレディアに送付します。ここでは例として名古屋消費者信用問題研究会のフォーマットを紹介しています。大体1ヶ月ほどで取引履歴がクレディアから送られてきます。
http://kabarai.net/format/index.html

もちろん弁護士や司法書士に依頼した場合は取引履歴の取得の手続きも全て任せることができます。

【2】過払い金の計算(引き直し計算)をする

引き直し計算とは

引き直し計算とは取引履歴を元に正確な過払い金を計算することです。引き直し計算は通常パソコンを使い、エクセルや専門の計算ソフトを用いて行います。

無料の引き直し計算ソフト紹介(名古屋式、外山式)

よく利用されているソフトとして外山式、名古屋式の2つが上げられます。
外山式・名古屋式はエクセルの試用が必須ですが、無料で利用することが出来るのが特徴です。また公式サイトではよくある質問などがまとめられています。

外山式(現:アドリテム司法書士法人)
名古屋式(名古屋消費者信用問題研究会)

【3】クレディアへ過払い金返還請求書を送る

過払い金返還通知書の書き方

書き方などに厳密な規定はありませんが、ここでは名古屋消費者信用問題研究会のフォーマットを紹介します。過払い金返還通知書のフォーマットを以下のURLからダウンロードし、必要事項を記入します。
http://kabarai.net/format/index.html

内容証明郵便にて送付する

封筒(形式自由)1通と記載した過払い金返還通知書をコピーして合計3部、引き直し計算の表をプリントアウトして3部、そして内容を修正する際に必要な印鑑を持って郵便局へ行きます。内容証明郵便を扱わない郵便局もあるので、事前に調べておきましょう。

内容証明郵便の郵送には内容証明料430円、書留料430円、任意で配達証明料430円がかかります。また、請求書類が1枚増えるごとに260円の費用が追加されます。

【4】電話での話し合いによる交渉(和解交渉)

過払い金請求書を送付後、1ヶ月ほどで担当者から連絡が来ます。そしてクレディアでは過払い金の1割ほどを目安に和解の提案をしてきます。場合によって和解に応じてもらえず、訴訟を起こすか諦めるかという選択を迫られます。専門家に依頼していない場合、担当者に譲歩を期待することは難しいでしょう。

クレディアとの交渉は弁護士や司法書士に依頼した場合でさえ困難を極めます。しかし経験豊富な専門家が根気強く粘ることで、クレディアが譲歩する可能性は高まります。

交渉で和解が成立しなかった場合はつづいて裁判を起こすことになります。

【5】過払い金返還請求訴訟の提起(裁判)

裁判に必要な書類

・訴状
・取引履歴
・引き直し計算書
・登記簿謄本
・証拠説明書(提出を求められない事も多い)

訴状と証拠説明書は以下のURLからフォーマットをダウンロードし、必要事項を記入します。

訴状
証拠説明書

登記簿謄本は法務局でクレディアの本店所在地を用紙に記入することで取得出来ます。その際費用として600円かかります。

裁判費用

裁判所から貸金業者に訴状を郵送する代金が6000円ほどかかります。
さらに返還請求額に応じて印紙代がかかります。具体的な金額は以下のURLを参考にして下さい。

http://www.courts.go.jp/vcms_lf/315004.pdf

訴訟の提起

提訴はクレディア本社の所在地である静岡裁判所か、自身の住所を管轄する裁判所に行います。そして請求金額が140万円以下の場合は簡易裁判所に、140万円を超える場合は地方裁判所に提訴します。過払い金の利息は上記金額には含まないので注意が必要です。

訴訟を起こした後は月に1度ほど口頭弁論が行われます。裁判はだいたい平日の午前中に行われますが、事前に出席できる期日に設定しましょう。もちろん弁護士や司法書士に依頼すれば裁判も代理で行ってくれますし、自身が出席する必要もありません。

【6】過払い金額の和解交渉

大半は第2回口頭弁論までの間に担当者から連絡があり、さらなる和解交渉をすることとなります。ここで納得いく金額・日程の提示があれば、判決を待たずに裁判外で和解を成立させることも可能です。

ただしクレディアでは場合によっては和解案など提示されず、徹底的に判決まで争わなければならない可能性もあります。

【7】過払い金の返還

裁判での勝訴もしくは裁判外での和解がまとまれば、ようやく過払い金が返還されます。弁護士や司法書士事務所に依頼した場合、そこから報酬が引かれて事務所から振り込まれることになります。

2008年9月20日以前に発生した過払い金であれば、クレディアとの交渉も必要なく、請求を行うだけで過払い金を回収することが出来ます。弁護士などに依頼せず自力で行うことも出来ます。

しかし過払い金の返還請求で特に難しいのは担当者との交渉です。2008年9月20日以降に発生した過払い金に対して、クレディアでは訴訟前の交渉で過払い金の回収は厳しく、訴訟を行わなければならない可能性が高いです。

訴訟が長引くことや、主張をしっかり行う必要もあるため、自力で行うにはあまりにも負担が大きいと言えます。もし余裕がなくなったり難しいと感じた場合は無理をせず途中からでも、ぜひ弁護士や司法書士などの専門家に相談しましょう。

クレディア会社概要
商号:株式会社クレディア
本社所在地:〒422-8067 静岡県静岡市駿河区南町10番5号
問い合わせ:054-202-1319