借金

自己破産にはどんな必要書類を整える?申立準備を詳しく解説

債務整理には任意整理・個人再生・自己破産の3つの方法がありますが、個人再生と自己破産は裁判所に書類を整えた上で申立を行う必要があります。そのため、受任した法律家の下で様々な提出書類を準備していきます。

この記事では自己破産に必要な書類を解説していきます。書類の中には家族に関する書類や役所で取得が必要な書類もあるので、是非ご参考ください。

自己破産をする際には裁判所向けに書類を整える必要がある

自己破産の手続きは任意整理とは異なり、必要書類を整えて裁判所へ申立を行います。そのため、必要書類は基本的に裁判所向けに揃えるものと認識しておきましょう。

1. 裁判所が求める必要書式とは

自己破産には2つの方法があり、「同時廃止」と「管財事件」に分けられます。管財事件の場合には破産管財人が裁判所にて選任され、同時廃止よりも手続き期間は長くなります。

ご自身の破産が同時廃止か管財事件のどちらになるのかは、受任している弁護士が判断した上で書類を整えます。基本的には同時廃止の方が書類は少なくなります。裁判所向けの書類は基本的に裁判所のHP上や弁護士が保管しています。

裁判所が求める裁判所指定書式は5つあり、「申立書・陳述書・財産目録・家計簿・債権者一覧表」です。書式に沿って必要事項を入力して提出を行います

基本的に裁判所の書式は各地方裁判所によって異なっていることが一般的です。共通で使える書式も多いですが判断が難しい部分のため、弁護士に一任することが多いでしょう。

1.破産申立書とは

破産申立書とは、裁判所向けの書類の「表紙」にあたる部分です。住所や氏名、連絡先や代理人弁護士名などを記入します。同時廃止と管財事件によって表紙が異なります。

2.陳述書とは

陳述書とは、「なぜ自己破産に至ったのか」を詳しく説明する書式です。現在の職業や家族構成、初めて借金をしたのはいつか等を記入します。場合によっては反省文を提出する場合もあります。この点はケースバイケースです。

3.財産目録とは

財産目録とは、現在所有している財産の一覧表です。預貯金や証券、車や住宅などすべて記載します。同時廃止と管財事件によって所有できる財産は異なるので、財産目録の書式にも違いがあります。

4.家計簿とは

家計簿とは、現在の収支と収入を確認するための書類です。一般的な家計簿をつける感覚で作成をすればOKです。光熱費やスマホ代などもすべて記載します。申立直近2か月分を提出することが一般的です。

5.債権者一覧票とは

債権者一覧票とは、借入をした相手の一覧表です。友人やご身内であっても報告する必要があり、氏名や住所を記載します。滞納している家賃やスマホ代なども該当します。

自己破産をする際にご自身で取得する必要書類とは?

自己破産申立の書類などは裁判所の書式のため、ご自身でご用意をする必要はありません。弁護士に依頼をすることで取得してくれます。しかし、次に紹介する書類はご自身で整える必要があります。

戸籍謄本・住民票

自己破産の申立てには、申立人が誰なのか公的に示す書類を提出する必要があります。そのため、戸籍謄本と住民票が必須です。抄本ではなく謄本、写しは使えませんので気を付けましょう。

戸籍謄本と住民票は婚姻や引っ越しなどで変わる可能性があるため、「発行から3か月以内」のものを提出する必要があります。

収入状況がわかるもの(同居家族分含む)

破産申立人の現在の収入状況を知らせる必要があるため、給与明細や請負明細書などを用意します。同居家族が居る場合には同居家族の収入状況も報告が必要です。

同居家族が高齢者の場合には年金額のわかる通知書、お子様がいる場合には子ども手当の金額がわかる通知書も提出を要します。この点は家計簿との突き合わせを裁判所が行うため、厳密に整える必要があります。

財産目録に記載した財産に関する写し

財産目録で示した破産申立人の財産が分かる書類を提出します。例として車なら車検証と査定書、預貯金なら通帳の写しを提出します。不動産がある場合には登記簿や固定資産評価証明書も必要です。

貴金属類や絵画などがある場合には鑑定書を要します。また、会社で積み立てしている財形や組合費なども財産にカウントされますので、場合によっては勤務先に積立額の証明書を依頼する必要があります。

財産に関するものを隠してしまうと、発覚した際に「免責不許可」になる可能性があります。してはいけない行為ですので、絶対に避けるようにしましょう。

自己破産における意外な必要書類とは?滞納税や医療に関する資料

自己破産に必要な書類は申立人や家族に関する公的証明書や債権者を特定できるものなど多岐に渡りますが、必要書類の中には意外な書類もあります。

滞納税に関する資料も必要書類の1つ

自己破産は借金が無くなりますが、免責されない債権もあります。例えば離婚の際に同意した養育費や滞納税などです。これらは破産法253条第1項の「非免責債権」に該当します。

自己破産に至った方の多くは滞納税も発生していることがあります。しかし、非免責債権なら申告が不要か、と言うと決してそうではありません。どのような滞納税があるのかしっかりと裁判所に報告します。

滞納税額に関しても正しく申告する必要があるため、現在どの程度の滞納税があるかわからない場合には市役所などで滞納税明細書を取得してください。

また、年金に関しても非免責債権です。年金も滞納がある場合には報告をする必要がありますので、年金事務所に相談をし、滞納状況に関する証明書を依頼してください。

医療に関する資料も必要書類の1つ

自己破産に至った方の中には、病気などを理由に収入が激減した方もおられます。こうした事情も裁判所に伝える必要があるため、医師の診断書や投薬状況がわかる診療報酬明細書も提出します。

すでに病気について障害年金を受給している場合には、障害年金は「収入」に該当するため受給状況が分かる通知書等を提出します。

ご家族の高額治療に伴い破産せざるを得ないケースでは、ご家族の診断書や診療報酬明細書も求められています。この辺りはケースバイケースで対応することになります。

自己破産の必要書類で最難関はどんな書類?

自己破産の必要書類について詳しく解説しましたが、作成の際に最難関と言える書類は「陳述書」です。この項では一般的な自己破産における陳述書について詳しく解説します。

陳述書はあなたのライフヒストリー

自己破産に至ったからには、初めて借入をした日もあれば、返済が行き詰まった日もあります。詳しい日時の特定はできなくても、いつ借入していつ債務超過に至ったのか、陳述書内で詳しく述べていく必要があります。

また、いつ結婚し子どもが何人いるのか、会社ではどんな仕事をしているのかなども簡潔ながら記入する項目があります。つまり、陳述書はあなたのライフヒストリーを書いていく作業です。

裁判所の運用方式によっては、陳述書に加えて反省文を求める場合もあります。債権者へ迷惑をかけてしまうという事実を踏まえて、しっかりと謝罪をすることが大切です。

反省文の書き方

自己破産の必要書類として反省文を求められた場合には、どうして債務超過に至ったのか冷静に分析する必要があります。浪費なのか、病気なのか、あるいは社会情勢の急激な変化なのか、など詳しく記載します。

しかし、初めて反省文を書く方はどのように書けばいいのかわからなくても無理はありません。しっかりと弁護士に相談をしながら、精一杯の謝罪を込めて書きましょう。

入念な準備が必要な自己破産は、しっかりと法律家のアドバイスの下で行おう

この記事では自己破産時の必要書類について詳しく解説しました。多岐に渡る書類を整えていく必要があるので、ご一読後は驚かれているかもしれません。

まず、現在の借金の状況については弁護士や司法書士にアドバイスを求めましょう。自己破産をする、と決めた場合には申立準備に時間がかかることもあります。法律家の下で入念に準備し、不備の無い申立を行いましょう。