債務整理

任意整理をすると住宅ローンはどうなるの?審査に向けた対処法とは

高価なお買い物となる住宅は、住宅ローンを使って購入することが一般的です。低金利で融資を受けられる分、審査は非常に厳しく行われています。

この記事では借金を減らす方法である「任意整理」を行う場合、住宅ローンにはどのような影響があるのか詳しく解説します。住宅ローンに悩んでいる人も、今から審査に臨む方も是非ご参考ください。

任意整理をすると住宅ローンが組めない?任意整理のもたらす影響とは

「任意整理」とは債権者へ交渉を行い、借金を減額したり返済回数を増やす方法です。大幅な減額は難しいですが、交渉先を選べるというメリットがあります。

借金が減る、返済しやすくなる等のメリットがある任意整理ですが、手続き後には実生活への影響が多少出ることは免れません。では、どんな影響があるのでしょうか。

任意整理後の実生活への影響とは

任意整理は一般的に司法書士や弁護士に依頼をして、債権者への交渉を行います。交渉が成立すると、示談書を取り交わします。その後は減額した借金の返済を目指す仕組みです。

任意整理を行うと「信用情報機関」へ情報の登録が行われます。借金の返済が返済能力が乏しい状態の人、として情報が登録されるため、新たな借入やローンの審査は受け付けてもらえなくなります。

そのため、クレジットカードが使えなくなる・スマホの機種分割ができなくなるほか、新たな住宅ローンの審査も通過しません。任意整理後は融資を受けられなくなるのです。

影響を受ける期間は限定的

任意整理後には信用情報機関に情報が登録されるため、新たな借入はできなくなるなど、生活が不便になるのは事実です。しかし、信用情報機関の情報は一定期間を過ぎれば抹消されます。

日本には3つの信用情報機関がありますが、任意整理の情報についてはどの機関も5年を目安に消去されます。登録から5年を目安、もしくは完済から5年が目安です。この点は信用情報機関によって異なっています。

今住宅ローンを抱えている場合、任意整理はできる?

住宅ローンを抱えている場合、任意整理をすると住宅がどうなるのか不安になるものです。では、この項では住宅を残しつつ任意整理をする方法について解説します。

任意整理は債権者を選んで交渉できる

任意整理はその他の債務整理(個人再生・自己破産)とは異なり、交渉相手をご自身で選ぶことができます。例えば債権者が3社ある場合、1社にだけ減額交渉を依頼することができます。

つまり、住宅ローンの借入先には交渉を行わなければ、住宅ローンには影響を及ぼさないので家にそのまま住み続けることが可能です。自己破産の場合は住宅を失うため、家を残す場合に任意整理は有効な方法でしょう。

住宅ローンの返済が厳しい場合の対処法

住宅ローンの返済自体が厳しい場合にはどんな対処法が考えられるでしょうか。この場合、家を売却する方法と家を守りつつ借金を減額する方法の2つの対処法があります。

住宅ローンの返済が苦しい場合には、金融機関の許可を得て家を「任意売却」をする方法があります。任意売却は競売とは異なり、比較的高めに売却出来る方法です。但し、オーバーローンの場合は返済義務は残されます。

家を残しつつ借金を減額したい場合には「個人再生」という債務整理の手段を選択します。この場合裁判所に申立を要するため、弁護士への依頼が必要です。また、債権者平等の原則のため債権者を選んで手続きをすることはできません

任意整理後に住宅ローンを組みたい!審査への対処法やコツはある?

任意整理を行った後に、住宅ローンを組みたい場合にはどのような対処法があるのでしょうか。この項では審査へのコツや注意点などを踏まえて解説します。

任意整理の完済後5年を目安に審査を目指そう

任意整理は借金の返済に悩んだ人が取る手続きの1つです。そのため新たな借金を組むことはできません。住宅ローンを組みたい場合には、まずは任意整理先の返済を終えることが大前提です。

信用情報機関は、基本的に情報登録後〜完済後5年を目安に情報を抹消しています。完済後5年が経過すれば審査に通過しやすい環境が戻って来ます。一部機関はそれよりも早く情報を抹消することがあります。

信用情報機関の情報は開示請求できる

信用情報機関の情報がそろそろ抹消されたかも、と思ったらご自身で「開示請求」をすることがおすすめです。住宅ローンの審査に行く前に調べることで、いわゆる「審査落ち」を避けることができます。

審査落ちしてしまうと、その情報も信用情報機関に半年ほど登録されてしまうので、落ちないようにするためにも3つの信用情報機関に開示を求めましょう。

開示請求はネット上、郵送、窓口開示に対応しています。下記リンク先を参考に必要書類を整え、手続きを行ってください。

株式会社シー・アイ・シー https://www.cic.co.jp/mydata/index.html

株式会社日本信用情報機関 https://www.jicc.co.jp 

全国銀行個人信用情報センター https://www.zenginkyo.or.jp/pcic/open/

任意整理後の住宅ローン審査のコツは2つ

一般的には任意整理後、完済してから5年は住宅ローンの審査通過は難しいとされています。しかし、条件を整えれば審査に臨むことも可能です。審査のコツは2つ挙げることができます。

まず1つ目は、配偶者名義や家族名義でローンを組むことです。任意整理中であっても、家族の名義なら住宅ローンの審査には影響しません。ペアローンという方法を選ぶと審査に通過しやすいケースもあります。

2つ目は、頭金の用意です。完済後5年未満であっても、しっかりと頭金が準備できており収入が安定している場合は住宅ローンの審査が通る場合があります。借入額を減らすためにも、頭金の用意は検討しておきましょう。

任意整理後に住宅ローンの審査に臨む場合の注意点は?

ペアローンや頭金の準備など、住宅ローンの審査を通過させるコツを紹介しましたが、審査に臨む際の注意点はあるのでしょうか。2つの注意点を紹介します。

1. ペアローンは諸費用が高くなる

住宅ローンの審査を通過しやすくするために、配偶者や家族とペアローンを組むという方法があります。しかし、ペアローンは登記代や印紙代がすべて2つずつ必要になるため、諸費用が高くなります。

また、土地や建物の所有も複雑化しやすいので、万が一離婚をした場合には財産分与でトラブルが起きやすくなります。ペアローンはこうしたデメリットがあるので注意が必要です。

2. 審査に応じない金融機関もある

任意整理後に無事に完済し、いざ住宅ローンの審査に臨もうとしても、審査に応じない金融機関もあります。それは、任意整理を行った先の金融機関(もしくはそのグループ会社)です。

信用情報機関が保管する情報は期間を過ぎれば抹消されます。しかし、一度返済が任意整理扱いとなり信用を失った顧客については、金融機関が独自に情報を保管しています。

任意整理完済後に住宅ローンの審査を目指す場合には、今まで借りたことがない金融機関に審査を依頼するようにしましょう。

借金に悩んだら、気軽に弁護士や司法書士から法的アドバイスを受けよう

今回は任意整理と住宅ローンについて多角的な視点で紹介しました。大切な家を守る、購入することは家族のためにも時には決断する必要があります。しかし、まずは目の前の借金を整理することが大切です。

任意整理後には住宅ローンの審査が難しくなるのは事実ですが、永久に借入ができないわけではありません。また、ペアローンなどを活用することで審査に臨みやすくなります。

ご自身と家族の将来のためにも、借金に悩んだら早めの対処がおすすめです。まずは気軽に弁護士や司法書士から法的アドバイスをもらいましょう。