家族に秘密にしている借金
過去の日本貸金業協会のアンケートで、借金をしている主婦の約4割が「夫は借金のことを知らない」と回答したそうですが、たしかにお金を借りることは家族にも言い出しにくい話題ですよね。心配をかけたくない、なんとなく言い出しにくい、など理由は様々ですが、少額だからこっそり返せば大丈夫だろうと軽い気持ちで借金をする人も少なくないでしょう。
しかし現在、消費者金融を利用している人は20人に1人といわれており、そのうち3分の1は返済に悩んでいるという話もあります。
少額だからと家族に秘密の借金を繰り返していると、気付かないうちに借金が膨らんでしまって1人では返済することができず、結局は多額の借金を抱えていることを家族に相談するはめに……なんてケースもあるのでご注意ください。
秘密の借金、バレずに解決できる?
ただでさえ言いにくい借金の話ですから、返済できないような状況に陥ってしまうとなおさら話しにくくなってしまいます。借金返済が苦しくて困っているという方でも、なんとか家族にバレずに解決したいと考えるのは当然でしょう。
秘密のまま借金問題を解決する方法はあるのでしょうか?
借金の解決手段としては「債務整理」が挙げられます。
債務整理と聞くと難しい手続きが必要だったり、家族や会社に借金の存在がバレてしまったりするのでは……と不安に思う方も多いでしょうが、実は家族に秘密のまま借金を整理することができる方法もあるのです。
・借金がバレてしまう原因とは
債務整理を検討するにあたって、借金がバレてしまう原因について考えてみましょう。周りに借金がバレてしまう原因はほぼ2つに絞られてきます。
それは「利用明細書」と「貸金業者からの連絡」です。
利用明細書はお金を借りた時・返す時にATMなどを利用すると出てきます。これに関しては自分で家に持ち帰らないように注意をすれば、ある程度バレるのを防ぐことができるでしょう。
問題は貸金業者からの返済の催促の連絡が来ることです。
融資を受ける前に借金が家族にバレないかを貸金業者に確認する人が非常に多いので、貸金業者側も借金の存在を隠したいという気持ちは理解しています。そのため、ほとんどの貸金業者では、債務当事者以外に借金の存在が分からないような対応マニュアルを作成しています。実際に、問題なく返済している間は、家族に秘密にしておくことはそう難しくないでしょう。
ですが、返済が遅れたり返済できないような事態に陥ると、貸金業者も催促の電話や督促状を郵送してくるようになります。最悪の場合、職場へ問い合わせの電話がくることも考えられます。
そうなってしまえば、もう借金の存在を隠しておくことはできません。返済が苦しくなれば、その分借金がバレてしまう可能性も高くなります。
・貸金業者からの直接連絡がストップする「任意整理」
返済が苦しくなった場合に、貸金業者から催促がくる前に準備を進めたいのが「任意整理」です。任意整理とは、債務整理の1つで貸金業者と交渉することで利息のカットや返済遅延金の発生を帳消しにする方法です。
実はこの任意整理は、家族に秘密のまま借金問題を解決するのにとてもおすすめな方法なのです。
債務整理の中でも、「自己破産」や「個人再生」は借金そのものをなくしたり借金の大幅な減額ができる一方で、裁判所へ大量の資料を提出し、申請手続きをしなくてはいけません。当然、家族についての資料も提出することになりますし、資産の処分をしなくてはいけない場合もあります。このような行為から借金が家族にバレてしまう可能性がぐんと高くなります。
一方、任意整理は裁判所を通さずに貸金業者と債務者間での和解契約書を取り交わします。そのため必要な書類なども少なくて済みますし、資産を処分する必要もありません。また、整理する借金を自分で選べますので、車のローンや共通で使用しているクレジットカードなど、家族も知っている借金はそのまま残しておくことができます。急にローンの支払いがなくなったりカードが使えなくなってバレてしまう、という心配もありません。
そして最大のメリットが、専門家に依頼して貸金業者との間に介入してもらうことによって“貸金業者から直接債務者に連絡できなくなる”ことです。
先ほど述べたように、借金がバレてしまう原因のほとんどは貸金業者からの連絡によるものです。その連絡行為自体が専門家を通してしか来なくなりますので、借金がバレる危険性は低くなるでしょう。
また、そもそも任意整理を行う専門家は守秘義務があるため不必要に業務に関する情報を外に漏らすようなことはありません。依頼をする時に「家族に秘密にしたい」と伝えれば、自宅への連絡は一切せずに、本人の携帯電話やメールでやり取りをしてくれます。
任意整理、バレずに行うポイント
では、実際に任意整理を行う時に家族にバレないためのポイントを整理してみましょう。
・家族に秘密にしたい借金だけをリストアップ
任意整理は1社ずつ交渉する必要があるので、家族に秘密のまま整理したい借金をリストアップしましょう。漏れがあってはいけませんし、逆に秘密にしていない借金まで整理してしまうとそこから任意整理を行ったことがバレてしまいますので、家族が保証人になっている奨学金、家族カードのあるクレジットカードや家賃・光熱費の支払いに使用しているカードなどは残しておく必要があるでしょう。
・専門家へ依頼する
任意整理は自分で交渉することもできなくはありません。ですが、自分で行ってしまうと貸金業者からの連絡は自分あてに来てしまいますし、任意整理の対応に慣れている担当者が強気な態度で和解に応じてくれない可能性もあります。
法律的な知識をもったプロが窓口になることによって、貸金業者の言いなりになってしまう恐れもなくなります。多少の費用がかかっても専門家に依頼した方が安全でしょう。
・家族に秘密であることをきちんと伝える
専門家に依頼をする際には、きちんと家族に秘密にしたいことを伝えましょう。
中には恥ずかしくて言い出せない人もいるのですが、専門家は任意整理のプロであり、このような依頼にも慣れています。相談すれば、連絡方法をどうするか、郵便物を送っても大丈夫か、送る際は事務所名を伏せる必要があるか、などの細かい点にも注意を払ってくれます。
・任意整理後は絶対に借金を滞納しない
任意整理をすると「和解契約書」を結ぶことになります。その際に、返済が滞った場合の措置についての注意書きがあり、借金を滞納した場合は「一括返済の請求」や「損害賠償金の請求」の条件が記載されていることが多くなっています。
借金を完済できるように整理をするのですから、任意整理後は滞納せずに必ず返済をしなくてはいけません。
以上のポイントに気を付けて任意整理を行えば、家族に秘密のままで借金問題を解決することができるでしょう。ただし、借金の状況によっては任意整理をしても解決できないケースもあります。まずは自分がどんな状況なのかをしっかり把握し、どのような方法を取るのが最適なのかを専門家と相談した上で決めるようにしましょう。