クレジットカードはもはや私たちの生活に必需品です。キャッシュレス化が進む今、家賃やスマートフォン代もクレジットカードで支払っている方が多いのではないでしょうか。
しかし、債務整理を行うと信用情報機関に借金を整理した旨が登録されるためクレジットカードは使えなくなります。では、信用情報機関では債務整理の情報はどのように扱われているのでしょうか。
債務整理の情報はどのように信用情報機関に登録されるの?
債務整理を行うと、どの段階で信用情報機関に情報が登録されるのでしょうか。債務整理を行うということは現在お金を返済することが難しい人を意味します。そのため信用情報機関では「事故情報」として扱われています。
信用情報機関の種類は3つ
信用情報機関として呼ばれている機関は現在日本に3つあります。CIC、JICC、KSCの3つです。ほとんどの金融機関はこの信用情報機関に加盟しており、情報を得る代わりに自社の顧客情報を提供しています。
クレジットカードの発行や新規ローンの貸付の際には、信用できる人に貸付を行わなければ貸し倒れとなるリスクがあります。そのため、多くの金融機関は信用情報機関の情報を必要としているのです。
①CIC 株式会社シー・アイ・シー
株式会社シー・アイ・シー(CIC)は、クレジット会社が共同出資して設立した信用情報機関です。その歴史は古く昭和59年に誕生しました。クレジットカードや貸金業者が多く加盟しています。割賦販売法および貸金業法に基づく唯一の指定信用情報機関です。
クレジットカードに関するほとんどの情報はCICが扱っています。銀行系クレジットカードのみならずガス会社、水道会社のクレジットカード会社などもCICに多く加盟しており、インフラ系クレジットカード会社の情報も多く抱えています。
株式会社シー・アイ・シー https://www.cic.co.jp/index.html
②JICC 日本信用情報機構
日本信用情報機構(JICC)は消費者金融会社や信販会社などを中心に構成された信用情報機関です。加盟会員の6割は消費者金融会社が占めています。CICの設立後昭和61年に誕生しました。
日本信用情報機構 https://www.jicc.co.jp/
③KSC 全国銀行個人信用情報センター
全国銀行個人信用情報センターはその名に冠している通り、銀行が多く加盟している信用情報機関です。大手都銀から地方銀行、農業協同組合や信用金庫など幅広く加盟しています。
全国銀行個人信用情報センター https://www.zenginkyo.or.jp/pcic/
事故情報の登録のタイミングとは?
では、信用情報機関が扱う事故情報は、どのようなタイミングで登録されるのでしょうか。主な4つのタイミングについて紹介します。
1つ目のタイミングは「返済の遅延」です。事故情報の登録は債務整理だけではありません。返済が遅延した段階で、情報は信用情報機関へ提供されています。約定返済日から3か月以上の遅延が事故情報の登録目安です。
しかし、3か月なら遅れても構わないと思うのは大きな間違いです。特にクレジットカードの場合は審査は通っても途上与信に影響があると事故情報に登録する可能性があります。
2つ目の登録のタイミングは、「代位弁済」です。返済ができなくなって放置をすると、保証会社が返済を行う方法があります。この行為を代位弁済と呼んでいます。返済能力が乏しくなった証拠として代位弁済も事故情報として扱われています。保証人による支払も同様です。
>3つ目のタイミングは「受任通知」です。弁護士や司法書士が債務整理や過払い金の請求などを受任すると、まずは債権者に受任通知を発送しています。受任通知を受け取ると返済が難しくなった人とわかるため、すぐに事故情報が登録されています。
>最後に4つ目のタイミングは「債務整理」です。任意整理の場合は和解後、個人再生や自己破産は裁判所へ申し立てを行い、手続きが進行していく段階で再度登録されています。受任通知の段階で一度登録がなされているので、再登録です。
クレジットカードは債務整理後に使えなくなる!生活にどんな影響がある?
債務整理を行う場合、返済の遅延や受任通知の段階でクレジットカードは使えなくなっているはずです。さらに債務整理後は一定期間クレジットカードの新規発行も利用もできません。では生活にはどんな影響があるでしょうか。
1.スマートフォンの分割購入や新規加入が難しい
多くの人が生活必需品としているスマートフォンですが、債務整理後はクレジットカード払いができなくなり、事故情報もあることから機種の分割購入や新規契約が難航します。
機種を現金で一括購入する、中古の機種を購入する、家族に契約してもらうなどの方法で対処することは可能です。一時的にプリペイド式の携帯電話で対処をする方もいます。
2.引っ越しや家賃の支払いに難航する
近年アパートやマンションの家賃に関しては、クレジットカードでの支払いを指定するケースがあります。しかし、債務整理後はクレジットカードが使えなくなるので、口座引き落とし等へ切り替える必要があります。
また、引っ越しを検討する場合は「家賃保証」がある引っ越し先の場合事故情報に引っかかり入居ができない可能性もあります。保証期間が事故情報を検索するためです。こうした制度を活用していない住居を探す必要があります。
3.勤務先が指定するクレジットカードが使えない
大手企業などによっては社員にクレジットカードの作成を求めています。ガソリンカードなどを発行し経費処理の関係を自社グループのクレジットカードで支払うためです。しかしこのカードも個人名義のため使えなくなります。
本来債務整理を行った事実は、会社が債権者であったり官報にアクセスしなければ、知られる可能性は低いものです。しかし会社都合で必要なクレジットカードが使えない場合、事前に勤務先にも債務整理の事実を相談する必要があります。
債務整理後にいつからクレジットカードは使えるようになる?
債務整理後にはクレジットカードが使えなくなりますが、永久に使えないわけではありません。では、一体いつから使えるようになるのでしょうか。この項では事故情報の抹消の視点で解説します。
債務整理後は5年を超えると事故情報は抹消される
債務整理を行った場合、示談交渉が成立し和解してから事故情報は5年間登録されます。つまり、5年以上経過すればクレジットカードは再び使えるようになります。任意整理をしても自己破産をしても基本は5年以上経てばOKです。
KSCは自己破産後10年間、事故情報が登録される
しかし、KSC(全国銀行個人信用情報センター)は自己破産の場合は事故情報を10年登録しています。任意整理や個人再生の場合は5年ですが、この点は他の信用情報機関と差異があるので注意が必要です。
銀行系が発行しているクレジットカードを使いたい場合、自己破産後は10年間使えない可能性が高いと言えるでしょう。
どうしてもクレジットカードが必要!そんな時の対処法は?
債務整理後にクレジットカードを使いたい場合には、5~10年の期間は使えない可能性があります。しかし、仕事の都合や家賃の関係などでクレジットカードがどうしても必要な場合はどうするべきでしょうか。
そんな時は、家族に相談をして家族名義のクレジットカードを持たせてもらうこと、デビッドカードで登録を試すことなどがおすすめです。債務整理後は借金を重ねず地道に信用を重ねるように気を付けましょう。
クレジットカードは持てなくなる時期がありますが、交通系のICカードやプリペイド式の支払いには問題がありません。使えるものはある程度残されるので、前向きに債務整理を検討しましょう。
信用情報機関の事故情報の抹消は、ご自身で確認することもできます。開示請求については各信用情報機関のホームページをご参照ください。
債務整理の不安な点は、弁護士や司法書士に相談をしましょう
この記事では債務整理後のクレジットカードの使用について解説しました。確かにクレジットカードが使えなくなるのは不便ですが、いつまでも使えないわけではありません。
クレジットカードが使えなくなる不安から、闇金などから借りてしまうケースもあります。しかし、悪質な金融業者から借りるとトラブルがさらに大きくなってしまうので、絶対に借りないことが大切です。
債務整理に悩んでいる人の多くは、クレジットカードが使えない不便さも踏まえて躊躇いがちです。しかし、早く整理をすればその分早く手続きも終わります。債務整理の不安な点は弁護士や司法書士に相談をし、手続きを検討しましょう。