過払い金請求=ブラックリスト?
過去に貸金業者へ払いすぎた利息を取り戻すことのできる過払い金請求。すでに借金を完済している人であれば、そのまま過払い金を受け取れて、借金返済中でも、借金から過払い金を差し引いて借金を減らすことができます。
過払い金請求は、受け取り側からするとメリットが多いので絶対に受け取りたいと思いますが、貸金業者からするとできれば支払いたくないものでしょう。もしかしたら、過払い金請求をすることで貸金業者のブラックリストに入ってしまうのではないか、と心配な人もいるでしょう。
ブラックリストとは?
そもそも、ブラックリストとは一体何なのでしょうか。実は、貸金業者が実際にブラックリスト=貸付不可のリストを持っているわけではありません。貸金業者や金融業者などが融資の申し込みがあった際に照会する信用情報機関が管理している「個人信用情報」というものがあり、その中の項目の一つである「事故情報」に、借金返済の遅滞や自己破産といった“返済能力に問題ありと判断される情報”が記載されています。この事故情報の記載を一般的に「ブラックリスト(に載る)」と呼んでいるのです。
では、過払い金請求は事故情報に記載されてしまうのでしょうか?これに関しては、実は以前は過払い金請求をした場合に「契約見直し(コード71)」という情報が登録され、それが融資の際の審査などに影響を及ぼすことがありました。しかし、金融庁の方針で「返済能力の有無には影響しないため、信用情報には明記すべきではない」と明示され、平成22年4月19日よりコード71が廃止になり、過払い金返還請求が信用情報に記載されることはなくなりました。
※これ以前に過払い金請求をされており、信用情報に記載されてしまっている場合は削除依頼が可能です。信用情報は、信用情報機関に対して開示請求をすることで、誰でも自分の分を取り寄せることが可能です。信用情報機関には、全国銀行個人信用情報センター(KSC)、株式会社日本信用情報機構(JICC)、株式会社シーアイシー(CIC)の3つがあり、3つのうちのどれかに開示請求をすることになります。
例外的にブラックリストに載るケース
コード71が廃止されたことによって信用情報に記載されなくなった過払い金請求ですが、絶対に記載されないわけではなく、例外的に信用情報へ記載されてしまう場合があります。
以下にそのケースをまとめてみましょう。
【1】過払い金返還後、借金が残っている場合
過払い金請求を行って、過払い金を返還してもらっても、今ある借り入れが相殺されずに残ってしまう場合です。この場合に関して、過払い金請求は任意整理ととらえられ、事故情報に記載されてしまいます。
【2】司法書士・弁護士に依頼をした場合(一時的)
最初から完済している場合は問題ありませんが、もし借金返済中で、過払い金請求を専門家に依頼した場合、その手続きが完了するまで、貸金業者は債務者と直接連絡を取ることができず、債務の請求ができなくなります。そういった場合に、一時的に事故情報として貸金業者が信用情報機関に「債務整理」として登録することがあります。
ただし、実際には過払い金請求だと分かっているので最初から登録しない貸金業者も多く、必ずブラックリストに載ってしまうわけではありません。なにより、登録されたとしても一時的なもので、過払い金請求が終了した段階で借金が完済できていれば、登録間違いとして削除されることになりますのでご安心ください。
ブラックリストに載らないためには?
絶対にブラックリストに載りたくない、という方は過払い金請求をする前に、借金を完済しておくようにしましょう。また、複数社借り入れをしていて完済することが難しい方は、まずは過払い金請求をする貸金業者の借金を優先的に返済していくようにしましょう。
しかし、優先的に1社だけ完済しても、別の業者への返済を約3か月滞納してしまえばその時点で信用情報(ブラックリスト)に載ってしまうので注意が必要です。もし、複数社借入れをしていて返済がままならない人の場合は、早めに任意整理を検討することをおすすめします。月々の返済に追われ、終わりの見えない返済に悩むよりも、任意整理をして毎月の返済額を減らした方が生活はずっと楽になるはずです。
任意整理は将来利息をカットしてもらう手続きなので、完済のめどが立ち、生活再建の近道となります。ブラックリストに載っても5年程度で信用情報は回復するので、もし今、毎月の返済で頭を悩ませているなら、早めに手続きすることをおすすめします。
過払い金は、専門家に依頼することで「発生した過払い金100%+利息分+諸費用」の全額を回収するのも不可能ではありません。ブラックリストに載ってしまうから、と諦めてしまうのはとてももったいないことです。人によって状況は様々ですので、一度アヴァンス法務事務所までご相談ください。お電話、メール無料で相談承っております。
社内ブラックは借金から足を洗うチャンス
過払い金請求をすると、その貸金業者および返還請求をした会社が保証会社になっている貸金業者での新規の融資は断られる可能性が高くなります。信用情報へ登録されなくても、過払い金請求があったことは社内の履歴として残ります。新たな融資を申し込んだとしても、その履歴から融資不可と判断されるおそれがあることを覚えておきましょう。
とはいえ、他の貸金業者での融資の審査には影響を及ぼすことはありませんし、借金できなくなる、ということは、この機会に収支を見なおし、借金をしなくても生活していけるようにお金の使い方を改める良いチャンスでもあります。社内ブラックに関しては前向きに捉えて、諦めてしまってもいいでしょう。