過払い金

過払い金請求を家族が代理ですることはできるのか?

消費者金融業者とずっと取引をしている家族に対し、発生している過払い金があれば回収して借金を整理してほしいと思ったときには、どうしたらよいでしょうか。

本人をその気にさせることが不可欠

本人が借金を整理する気にならなければ何も始まりません。本人が今まで通り消費者金融業者との取引を続けたいと思っているのに、家族が本人の意思に反して過払い金を取り戻したり、借金を整理することはできないからです。
そのため、本人を説得して借金の整理をする気にさせなければなりません。とはいえ、これまで長い間、消費者金融業者と取引を続けてきたわけですから、本人が返済することはどうしても無理だと心の底から感じない限り、説得は難航するでしょう。

これに対し、本人が既にすべての消費者金融業者からの借金を完済しているときは、過払い金を取り戻すだけですから、まだ説得しやすいといえます。弁護士との連絡窓口を家族が担当すれば、本人がやるべきことは、最初と最後の2回、弁護士に依頼する際と最終報告を受ける際に事務所に行くだけで済みます。

最初は必ず本人が弁護士に会わなければならない

本人が既にすべての消費者金融業者からの借金を完済しており、過払い金を取り戻すだけであったとしても、弁護士に依頼するためには、少なくとも最初の1回は弁護士の事務所に行く必要があります。その際は家族が付き添い、本人ではなく付き添った家族が詳しい事情を話すこともできます。ただし、本人には最初から最後まで一緒にいてもらわなければなりませんし、弁護士から何か聞かれたらきちんと応答してもらわなければなりません。

そして、弁護士としてもやる気に満ちあふれた家族を連絡窓口にした方が楽ですから、「必要なことがあれば本人の尻を叩いて必ずやらせるので、私を連絡窓口にしてほしい」と頼めば、通常はその要望に応じてくれるでしょう。

病気やけがで弁護士事務所に行けないときはどうする?

病気やけがのせいで、本人が弁護士の事務所に行きたくても行けないときは、やむを得ませんので、家族だけで弁護士の相談の予約を入れてください。予約の電話をする際には必ず本人が行けない事情を簡単に説明してください。

そして、予約の電話をする際に指示があってもなくても、本人から事前にできるだけ詳しい事情を聞きとり、できればそれをパソコンで整理し、プリントアウトしたものを持参してください。具体的には、消費者金融業者1社1社ごとに、最初に借りた年月日、金額、毎月いくらずつ返済したか、最初の借り増しをした年月日、金額、毎月の返済額、2回目の借り増しをした年月日、金額、毎月の返済額、3回目の…といったように整理すると分かりやすいでしょう。もし契約書やATMの明細書などの関係資料があれば、消費者金融業者ごとに、古いものから新しいものの順で整理し、小さな袋に入れて持参すると弁護士にとても喜ばれます。

とはいえ、弁護士としても、依頼を受けるにあたって本人の意思確認をしなければなりません。どのような方法で意思確認をするかは弁護士が考えてくれますので、すべてその指示に従ってください。病院や施設にいるのであれば、弁護士がそこまで出向いてくれることもありますので、面会時間は事前に調べておいてください。弁護士は、平日昼間ではなく、夜間や土日面会ができるかを気にしますので、事前に病院や施設に相談し、夜間や土日面会ができるように頼んでおくと、弁護士にとても喜ばれます。

精神病や呆けで弁護士事務所に行けないときはどうする?

精神病や呆けのせいで、本人が過払い金や借金の整理という意味すら理解できないときは、やはり家族だけで弁護士の相談の予約を入れてください。予約の電話をする際には必ず本人が行けない事情を簡単に説明すること、関係資料を整理して持参することも同じです。本人から事情を少しでも聞けそうなときは、本人の調子の良いときを見計らい、できるだけ詳しい事情を聞きとってください。

弁護士は、後見人を選任するほどまで本人の判断能力が低下しているかどうかを知りたがるでしょうから、事前に主治医に確認しておくと良いでしょう。本人の判断能力が後見人を選任する程度まで低下しているのであれば、後見人を選任した上で過払い金の回収や借金の整理を開始することになります。

まとめ

簡単に説明しましたが、過払い金も借金の整理も、どちらも本人が自分の財産をどのように管理するかということですので、すべては本人がどうしたいかにかかっています。
ただし、家族が弁護士との連絡窓口になるなど、一定の範囲で面倒な手間を家族が代行することはできますので、弁護士によく相談してみてください。