過払い金

いくらかかるの?過払い金請求をするのにかかる費用とは

 

借金返済中の人だけではなく、完済している人にも関係する「過払い金」。気にはなるけど、専門家へ相談するにもいくら費用がかかるのか分からなくて一歩を踏み出せない、という声をよく耳にします。

弁護士・司法書士事務所によって設定している金額に幅がありますし、一言に費用といっても依頼料や成功報酬など、様々な種類があります。“手付金なし成功報酬のみ”や、“過払い金返還請求に関する一切の費用を含みます”などと謳っている広告を見るとお得な気がしますが、これらの言葉を鵜呑みにしてしまってよいのでしょうか。

過払い金返還請求にかかる費用について、注意すべきポイントをご説明します。

過払い金返還請求を依頼する際にかかる費用の全て

過払い金返還請求には、まず消費者金融やクレジットカード会社(信販会社)などの貸金業者に取引履歴の開示請求や過払い金返還の交渉をする必要があります。この時点で貸金業者との交渉がスムーズに進み、あなたが納得できる金額を返済してもらえるのであれば法的な手続きなどは一切不要です。万が一、交渉が難航する場合には、裁判所へ訴訟の手続きを行います。

専門家が「過払い金返還請求に関する一切の費用」という表現をする場合には、裁判を起こすための費用は含まれていないことがほとんどのようです。どこまでが費用に含まれているのかは契約時に確認するようにしましょう。

では、実際に過払い金返還請求を依頼するにはどのような費用がかかるのでしょうか。大きく分けて、以下の4つに分類することができますので、それぞれの項目を解説しましょう。

(1)着手金

過払い金が返還されたかどうかにかかわらず、依頼をしたことによって発生する費用です。専門家に支払う報酬は、基本的には事件解決後に一括もしくは分割での支払いとなります。過払い金返還請求にかかわらず、1つの事件が解決するまでには数か月から1年以上という長い期間を要します。そのため、依頼を受けた時点で「着手金」として決まった額を受け取る事務所も多くある、と覚えておきましょう。

全ての事務所で設定されているわけではありませんので、支払いが難しい方は着手金がない事務所や分割払い・後払いが可能な事務所を選びましょう。

(2)基本報酬・定額報酬

貸金業者との和解が成立するか、訴訟をして過払い金が返還された場合に発生する報酬です。依頼をした際の基本的な報酬として固定額が設定されています。こちらも全ての事務所で設定されているわけではありません。

(3)成功報酬

依頼した過払い金返還請求の成功の度合いに応じて支払う報酬になります。返還された金額に対して○%というような金額設定になっています。

(4)実費

過払い金返還請求を行うにあたって必要となる費用は、基本的に依頼人が負担することになります。たとえば、書類の郵送に必要な切手・収入印紙・交通費のような実際にかかった費用は、事件解決後に請求される場合があると覚えておきましょう。依頼時に必要経費も含めて見積もりしてくれる事務所もありますので、心配な方はどの程度費用がかかるのか確認するようにしましょう。

各報酬金の相場は?

過払い金返還請求の報酬に関しては、日本司法書士会連合会が「債務整理事件における報酬に関する指針」を設けており、その中で報酬を以下の3つに分類し上限額を定めています。

解決報酬金

・定額報酬
債務整理・過払い金返還請求といった案件を依頼した際の、その法律事務処理の対価としての報酬です。原則として業者1社あたり5万円以下と規定されています。

減額報酬金

過払い金を借金に充当し借金を減額する場合に発生する報酬です。貸金業者が主張する借金額(返済額)と実際に返済することになった借金額との差額をもとに算定します。原則として、減額分10%以下と規定されています。

たとえば借金額100万円に対し、それまでの返済で20万円の過払い金が発生していた場合は、返済額からその過払い金20万円を差し引いて80万円に借金が減額することができます。このケースでは、差額(減額分)20万円に対し10%以下の減額報酬金が発生します。

過払い金報酬金

返還された過払い金をもとに算定する報酬です。貸金業者との交渉のみで解決した場合は20%以下、訴訟を行った場合は25%以下と規定されています。

全ての司法書士事務所は、これに基づき報酬の値段設定を行っているので、各報酬の相場をまとめると以下のようになります。

(1)着手金

貸金業者1件につき1~2万円程度。
ただし、司法書士は着手金の設定を禁止しており、最近では着手金のかからない弁護士事務所も増えています。

(2)基本報酬定額報酬

過払い金が返還された貸金業者1社あたり2万円程度かかります。
ただし、過払い金が返還されなかった場合は発生しません。そもそも基本報酬を設定していない事務所もあります。

(3)成功報酬

支払われた過払い金の合計額×20%程度。
ただし、裁判を起こした場合は合計額×25%程度となります。

(4)実費

裁判を行う場合には、以下の費用が必要になります。

収入印紙代 1,000円~

訴状に貼り付ける印紙代は請求する過払い金によって変わってきます。
10万円なら1,000円、20万円なら2,000円というように、100万円までは10万円単位で1,000円ずつ増えていきます。
500万円以下の場合には20万円ごとに1,000円増えていくので、120万円なら1万1,000円、140万円なら1万2,000円になります。

郵便費用 6,000円~

訴状や金利計算書、取引履歴所といった必要書類を3通ずつ提出することになります。(裁判所・相手方・自分の控え用)
原告1人被告1人の場合、東京地裁であれば6,400円程度、横浜地裁は6,000円程度となっており、いずれかが1人増えるごとに2,000円程度増額されていきます。

代表者事項証明書 600円~

訴訟の相手が企業の場合には「代表者事項証明書」の提出が必要となります。訴訟相手が実在することを証明するための書類で、貸金業者1社につき証明書1通に600円の収入印紙を貼って提出します。

これらの必要経費は過払い金と一緒に相手方に請求することができます。ただし、訴訟と交渉を同時に行い、判決が出る前に和解決着となった場合には裁判にかかる経費は自己負担になるので注意しましょう。

アヴァンス法務事務所の場合

ちなみに、アヴァンス法務事務所の場合、過払い金返還請求の報酬は以下の通りです。

相談料・債務診断

何度でも無料で行っています。

過払い金返還成功報酬

初期費用0円
成功報酬最大16%
完済口座事務手数料 30,000円/1件

全て過払い金返還請求終了後の支払いとなるので、前払いが難しい人でも依頼をすることが可能です。

過払い金がいくら以上なら請求した方がお得?

以上で説明したように、過払い金返還請求には専門家への報酬や必要経費がかかります。そのため、過払い金が発生していたとしても、返還請求を行ったことで赤字になってしまうケースもあるのです。
過払い金返還請求によってプラスになるラインはいくらぐらいなのでしょうか?

たとえば過払い金が10万円だった場合、以下のような計算になります。
・専門家への依頼料
着手金10,000円+基本報酬20,000円+成功報酬10万×20%(20,000円) = 50,000円
・訴訟費用
収入印紙代1,600円+郵送費用6,000円 = 7,600円

つまり、手元に残る金額としては100,000円-57,600円 = 42,400円です。
過払い金返還請求は手続き開始から解決までに3か月~半年以上の期間がかかります。しかし、一度面談を行った後は専門家からの定期連絡を待っているだけですので、特に手間はかかりません。
中には着手金や基本報酬がかからなかったり、報酬の後払い・分割払いが可能な事務所も多くあります。そういった事務所を選ぶようにすれば、5万円以下の少額でも過払い金を手にすることができるでしょう。

どのくらいの金額が手に入れば過払い金返還請求にメリットを感じられるかは人それぞれ異なりますし、過払い金がどの程度発生しているかも調査してみないとわかりません。過払い金返還請求に関しては、初回の相談料が無料の事務所が多くありますので、気になる方はまず専門家へ相談することをおすすめします。