身近な人が返済不可能なレベルの借金を抱えた時、どのように接するのが良いでしょうか?
「借金」は自分も抱えていますが、返済に息詰まるような状態には陥ったことがなかったので、あまり深く考えることはありませんでした。
しかし、3年前に父がその状態になってしまい、間近で「返済」することの重みを感じたことがありました。
私は32歳とまだ若いですが、若さがあるうちに清算しておきたいと考えさせられた事件でした。
当初は過払金請求も検討していましたが、60歳を超えた父には過払金を差し引いても残るお金の返済目処すら立たず、「自己破産」を決めました。
「過払金請求」は決して万能ではなく、過払金以外を清算できる目処がたって初めて使える制度です。制度を使うときには必ず「返済目処」を考慮した人生設計を行い、その上で使う決断をすることをオススメします。
父は2005年に長年代表を勤めた会社を辞職し、新しく会社を立ち上げました。
遠方に単身赴任しており、年間で会うことは数回でしたが、毎月安定的にお金の仕送りがされていたので、仕事自体はうまくいっていると思っていました。
しかし、2014年の初旬頃から母から相談を受けるようになり、内容としては「父からお金を送ってくれ、と連絡が来ている」とのこと。
当初は貯金を切り崩して送っていましたが、何度か続くとさすがに私も「いい加減に安易な仕送りはやめて話をするべき」と提案しました。
しかし、母は高齢になり大きな環境変化を望まなくなっていたこともあり、貯金がなくなる直前まで仕送りを続けてしまいました。
父の貯金がなくなると今度は、家の貯金も切り崩し始める始末。私は遂に堪忍袋の尾が切れて「母が自分で話せないなら、父の兄弟からも話をしてもらうべき」と切り出し、ようやく私と母と父の兄弟(父は3兄弟の次男でした)で現状を話し合うことになりました。
一堂に会して話を聞きましたが、やはり銀行からの債務が膨らんでおり返済の目処がたっていないとのことでした。
事業も行き詰まりを見せて、会社の立て直しもうまくいかない始末で、債務の総額や内訳を聞いても要領を得ない回答ばかりでした。
自分も当事者になって見て思ったことは、自分の負債額を打ち明けることはかなりの勇気を必要とする、ということでした。
今となっては、負債額を問い詰めた時の父を責める気にはなれません。
とはいえ、この時点で家の貯金もかなりの部分を潰しており、これ以上家から返済費用を捻出するだけの余裕はなく、どうしても他力にすがるしか手段を見出すことができません。
最終的に父から聞いた負債総額は、常陽銀行やその他都市銀行系合わせて400万円を越えており、この負債に対しての選択肢は3つありました。
1.会社存続か再就職で、根気よく返済する
2.過払金請求し、負債額の減額度合いでは親族に支援を申し出る
3.自己破産する
会社はすでに運転資金がほとんどないことと、再就職はすでに高齢であること、また体にハンディを背負っていることもあり仕事を続けることは現実的でありませんでした。
親族への支援は、父が親族と疎遠になっていたこともあり、支援を受けること自体が難しくなっていたようです。
このような背景から、「自己破産」という方法を取らざるをえませんでした。
改めて父に話を聞いてみると、会社自体の危機はそれ以前からあったようでした。
しかし、仕事へのこだわりから「引き際」を見出せず、そのまま2014年を迎えてしまったことが、「自己破産」という結果を導き出さざるを得なくなったことに他なりません。
私は父の所業から大変勉強をさせてもらったと思っています。
債務は抱えたとき、その場その状況に応じた「決断」を的確に行わなければ、「一番選びたくない選択肢」を選ばざるを得ない、ということです。
私は、まだ若いので年齢ゆえの選択肢は60代の父よりも多く持っています。
仕事の給料で返済する術を知っていますし、サイドビジネスも複数確保していますので、返済のリズムは崩さずに、当面は頑張れます。
とはいえ、いざという時には早い段階で現在の債務に対する自身の結論を出すつもりではいますので、そうならないように一刻も「精神的負担」の無い生活を取り戻すべく、2017年現在も仕事を頑張っていきたいと考えています。
体験を読んでいただいた読者の方々で債務を抱えている人も、「もうこれ以上は返せる見通しが立たない」と思った時点で決断をされることをおすすめします。
「返せない」では遅く、「返せる見通しが立たない」と感じた時点こそが、辛い決断をせずに済む最後のチャンスであると感じていただければと思います。