ある消費者金融業者に対し、長年、借りたり返したりを繰り返していることから「過払い金が発生している」と思ったものの、保証人がいるときにはどうしたらよいでしょうか。
実際に過払い金が発生しているのであれば心配することはありません
弁護士に依頼しないで支払いをストップすると、すぐに消費者金融業者は保証人に連絡を取り、残りの借金(契約書の利率に基づくもの)を支払うように求めてきます。したがって、自分で過払い金を請求するときは、毎月の支払は必ず続けるようにしてください。
毎月の支払を続けたまま取引履歴を入手し、再計算をして過払いであることが判明したら、「もう過払いですので以後の支払はしませんが、保証人に連絡することはありませんよね」と確認すれば大丈夫です。
これに対し、弁護士に依頼したのであれば、支払いをストップしても、一般的には、貸金業者が直ちに保証人に連絡を取ることはありません。弁護士が介入すると、消費者金融業者は、通常、数か月程度はなにもしないで弁護士からの連絡を待ちます。したがって、既に過払い状態になっているときはあまり心配をする必要はありません。
保証人に電話がかかってくる程度の迷惑はかけてしまいます
ほとんどの消費者金融業者は、弁護士が介入すると、保証人が弁護士に依頼しなくても数か月程度は何もしませんが、まれに保証人に電話する消費者金融業者もいます。
とはいえ、保証人にかける迷惑といってもいきなり電話がかかってくることだけですから、事前に保証人に事情を説明しておくだけで足ります。
また、依頼した弁護士に頼んで、依頼を受けた旨を消費者金融業者に通知する際に、保証人に連絡しないように求めてもらうこともできます。ただし、消費者金融業者が直接の連絡を禁止されているのは弁護士に依頼した人に限られますので、保証人が弁護士に依頼しなければ、消費者金融業者には弁護士の求めに応じる法的な義務はありません。
とはいえ、弁護士の求めをあからさまに無視すると、弁護士の機嫌を損ねてしまい、非常に面倒くさいことになるおそれがありますので(たとえば、直接の担当者やその直属の上司を飛び越えて、センター長や部長に文句の電話をかけられ、直属の上司がセンター長や部長に呼び出される事態を招くこともあります)、たいていは弁護士の指示に従ってくれます。
もっとも、弁護士としても、消費者金融業者にあまり強いことを求めてしまうと、過払いではなく借金が残ってしまったときの交渉が非常にしにくくなりますので、頼んでも難色を示されるおそれがあります。
弁護士に本気で動いてほしいのであれば、消費者金融業者から請求されている借金を一括して返済できるだけの資金を事前に用意しておくとか、事前に自力で取引履歴を入手して再計算までし、確実に過払いであることを弁護士に示す程度の準備は必要です。
事前に完済しておけば電話がかかってくる程度の迷惑すら掛かりません
これに対し、弁護士に依頼する前に自力で完済しておけば、消費者金融業者から保証人に連絡が行くことは絶対にありません。なぜなら、既に借金は消滅しており、保証人に対し、「本人の代わりに借金を払ってほしい」と求めることはできないからです。
まとめ
このように、既に過払い金が発生しているのであれば、保証人に実際に掛ける迷惑はほぼ皆無といえます。また、返済資金があるのであれば、弁護士に依頼する前に完済しておけば、保証人には絶対に一切の迷惑をかけずに済みます。
ただし、消費者金融業者の経営状況が悪化しているときは、完済後に過払い金請求をしても回収できないおそれがあります。そこで、まずは弁護士とよく相談し、弁護士が介入する前に自力で完済した方が良いのか、弁護士に一括弁済資金を預けておき、再計算の結果が判明したらすぐに弁護士から支払ってもらうほうが良いのかについてのアドバイスをもらうべきでしょう。