過払い金

過払い金請求はいくらから請求するべきか知っていますか?

過払い金請求はいくらから請求するべきか

過払い金の調べ方

消費者金融やクレジットカード会社(信販会社)で借金をしたことのある人なら、誰にでも発生している可能性のある過払い金。過払い金が発生しているかどうかは、どうやって調べればいいのでしょうか。
過払い金が発生していると思われる条件には、以下のようなものが挙げられます。

・1社での借入元本が10万円以下で、利息が上限の20%を超えている
・1社での借入元本が10~100万円で、利息が上限の18%を超えている
・1社での借入元本が100万円以上で、利息が上限の15%を超えている

これらは法定利息を超えた利息となりますので、過払い金が発生していると考えていいでしょう。このような場合には、完済していても過払い金を返還してもらうことが可能です。

そうはいっても、すでに借金を完済してしまった人や、借りたり返したりをくり返して借金元本がはっきりしない場合など、自分の借金の利息がわからない人もいるでしょう。その場合には、過去に取引のあったすべての貸金業者から取引履歴を入手して、1社ごとに過払い金が発生しているかどうかを計算しなくてはいけません。この計算を引き直し計算と呼びます。

引き直し計算では正しい金利で“本来支払うはずの金額”を月ごとに算出していき、債務の総額がいくらなのかを計算します。利息の上限は上で述べたとおりです。

一つひとつの計算は単純なものですが、返済期間が長期にわたっていたり、返済の途中で新たに借金をしていたりするとややこしくなってしまいますね。無料で利用できる引き直し計算ソフトを活用するなどして、ミスなく正しい金額を算出するようにしましょう。

貸金業者に請求できる過払い金の金額とは?

引き直し計算を行い、発生している過払い金の総額が分かれば、次は貸金業者へ過払い金の返還請求を行います。じつは、貸金業者へ請求できる金額は過払い金だけではありません。では、過払い金以外にどんなお金を請求できるのでしょうか。

①過払い金返還請求にかかる費用

過払い金返還請求をする際には、裁判所へ訴訟の提起をするための印紙代などを含めた諸経費が必要になります。ここにかかるお金も、貸金業者へ全額請求することが認められています。
過払い金返還請求でかかる費用には、以下のようなものがあります。

・印紙代

過払い金請求額に基づき決定します。
10万円であれば1,000円、20万円であれば2,000円、というように10万円単位で切り上げます。100万円以上になると、20万円単位で切り上げとなります。

・郵便切手代

相手方に訴状、呼出状、判決を郵送するために必要になります。
東京地方裁判所では6,400円と決まっています。

・代表者事項証明書

訴える相手方の会社の代表者、資本金などが記載された代表者事項証明書の取得のために印紙代が600円かかります。ちなみに、オンラインで請求する場合には500円と少しお得になっています。

②発生している過払い金の利息

じつは、過払い金が発生すると同時に、その過払い金には利息も発生すると考えられます。そのため、貸金業者へ過払い金を請求する場合、その利息分も請求することが認められているのです。
過払い金の利息は年5%と決まっており、過払い金が発生した時点からその利息を計算することができます。

実際に返還される過払い金の目安

過払い金返還請求で請求できる金額の合計「過払い金+年5%金利+諸経費」は、必ず全額返還してもらえるのでしょうか。

裁判なしの和解交渉のみの場合、全額返還に応じてくれる貸金業者はまずいないでしょう。中には請求した金額の30~50%といった低い金額を提示してくる貸金業者もいます。過払い金の回収率は、一般的にどのくらいなのでしょうか?

CMなどでよく見かける大手消費者金融の場合、裁判なしの交渉でも80~90%ほどの金額で和解になることが多いようです。専門家の手腕にもよりますが、業績の悪くない貸金業者であれば8割以上の過払い金を返還してもらえる可能性が高いでしょう。発生している過払い金がそれほど高額でない人や裁判にかかる時間・費用が惜しいという人は、和解交渉で早期に決着させるのもひとつの手です。

では訴訟を起こした場合には、全額返還してもらうことは可能なのでしょうか?
過払い金に関する訴訟はこれまでにも多く行われており、そのほとんどで債務者の主張が認められています。過去の判例から見ても、「過払い金+年5%金利+諸経費」の判決となる可能性はかなり高いでしょう。

そうはいっても、請求額が高額であればあるほど、返還する貸金業者にとっては大きな負担となります。経営状態のよくない貸金業者では、いくら全額返還するようにいっても返還できない可能性もあることを覚えておきましょう。

なお、弁護士や司法書士に依頼する場合には「請求金額の合計が140万円以下」と決まっています。140万円を超える金額になると、弁護士や司法書士では交渉する権限がありませんので、依頼をする際には注意しましょう。

いくらからなら過払い金返還請求するべき?

では、実際に過払い金がいくら発生していれば過払い金返還請求をしてもプラスになるのでしょうか。
過払い金返還請求を専門家へ依頼するとなると、そこには報酬が発生します。過払い金がいくらならば報酬を差し引いても手元にお金が残るのかを計算してみましょう。

(1)和解交渉のみ、8割回収の場合

貸金業者と和解交渉のみ、過払い金の8割返還で決着となった場合を計算してみましょう。

過払い金が10万円発生し、最終返還金額が8万円

成功報酬 8万円の20%~ = 16,000円~
手元に残る金額は最大で8万円から報酬(16,000+消費税1,280円)を引いた金額 = 62,720円となります。

過払い金が50万円発生し、最終返還金額が40万円

成功報酬 40万円の20%~ = 80,000円~
手元に残る金額は最大で40万円から報酬(80,000+消費税6,400円)を引いた金額 = 313,600円となります。

(2)訴訟により全額返還(過払い金+利息)の場合

訴訟を行い、全額返還された場合を計算してみましょう。諸経費は相殺されるため、除外して計算します。

過払い金が10万円発生

この場合、最終返還金額は10万円+年5%利息金利:5,000円 = 105,000円となります。
成功報酬 105,000円の20%~ = 23,100円~
手元に残る金額は最大で105,000円から報酬(23,100+消費税1,848円)を引いた金額 = 80,052円となります。

過払い金が50万円発生

この場合、最終返還金額は50万円+年5%利息金利:25,000円 = 525,000円となります。
成功報酬 525,000円の20%~ = 115,500円~
手元に残る金額は最大で525,000円から報酬(115,500+消費税9,240円)を引いた金額 = 400,260円となります。

このように、実際に金額を当てはめてみるととても分かりやすいですね。ちなみに、過払い金の利息は過払い金が発生した時点から計算できますので、過払い金の発生が過去であればその分、利息も多くなります。利息の計算は複雑なので、無料ソフトを使用するか専門家に依頼した方が間違いはないでしょう。

上記の例から、過払い金が10万円程度であれば差は少ないですが、過払い金が高額となる場合には、安易に和解に応じてしまうよりも弁護士や司法書士に相談のうえ、訴訟を行った方がだんぜんお得のようです。