過払い金

任意整理のメリット・デメリット【簡単解説!】

任意整理(債務整理)って何?

借金で苦しんでいる人なら、借金問題を解決する手段として債務整理や任意整理という言葉を聞いたことがあるでしょう。借金を減らせる、借金をなくすことができるなど、なんとなく知っている人もいるかと思いますが、借金をなくせるかわりにブラックリストに載ってしまってキャッシングやローンを利用できなくなる、なんて話もよく耳にしますよね。

任意整理の情報は巷にあふれていますが、結局のところどういうもので、自分はした方がいいのかしない方がいいのか、よく分からないという人も多いでしょう。借金問題は人それぞれ、借金の金額も期間も、収支もまったく違うので、一概にどういった方法がいいとは言い切れません。

どんな方法で借金問題を解決するのが自分に合っているのかを判断するためには、任意整理のメリット・デメリットを知りましょう。

債務整理と任意整理の違い

似たような言葉なので、同じ意味だと思われるかもしれませんが、この2つは同じ言葉ではありません。

債務整理は借金を解決するための手段の総称で、任意整理はそのうちの1つを指します。債務整理には任意整理のほかに、自己破産や個人再生があります。

それぞれの違いを簡単に説明すると、任意整理は裁判所を通さずに利息の免除や長期分割払いの交渉を行う手続きのことで、自己破産は裁判所に申立人(債務者)の個人情報を記載した「破産申立書」などの書類を提出して、すべての借金の支払いを免除する手続きで、個人再生は裁判所に具体的な返済計画となる「再生計画」を提出して、借金を原則5分の1まで減額し、3年間の長期分割返済を行う手続きになります。

借金の減額効果は裁判所に申立てをする自己破産や個人再生のほうが高いのですが、任意の交渉である任意整理の場合でも十分に借金の負担を減らすことができます。自己破産や個人再生と比較すると、デメリットも少ないので、借金を解決したいのであれば、まずは任意整理から検討してみるといいでしょう。

任意整理のメリット

まずは、任意整理のメリットから見ていきましょう。任意整理のメリットは、大きく4つほどあげられます。

任意整理を開始すると、返済や取り立てがストップする

まず、任意整理を司法書士などの専門家に依頼すると、債務者が債務整理を依頼した旨を伝える「受任通知」というものを任意整理の対象となる貸金業者へ送付します。これが手元に届くと、貸金業者は債務者へ直接連絡をせずにすべて司法書士を通してやり取りしなくてはいけなくなります。さらに、任意整理でこれ以上争わない約束を意味する「和解契約」を締結するまでの間は、借金返済や利息の加算が一時的にストップします。

毎回の返済に苦しんでいる債務者からしてみると、借金問題が解決していなくても、借金の返済がストップするだけで精神的にもとてもありがたいですよね。借金返済で生活が苦しく、さらに借金をしてしまうというような場合には、新たに借り入れをする必要がなくなりますし、返済がストップしている期間に借金返済に向けての準備をすることもできます。さらに、和解契約が締結されれば、自分に無理のない範囲で完済を目指すことができます。

任意整理する貸金業者を選ぶことができる

ほかの債務整理の場合、裁判所から強制的に借金を免除、減額するため、債務整理の対象となる借金を選ぶことはできません。ですが、任意整理の場合は裁判外の和解となるため、任意整理する貸金業者を自由に選択することができます。

たとえば、車のローンや住宅ローンが残っている場合や、日常的に使用しているクレジットカードはそのままにしたいという場合には、任意整理の対象から外すことができます。

主婦やアルバイトの方でも、誰でもできる

自己破産の場合には、20万円以上の高額な資産を持っている場合にはそれを処分しないといけませんし、弁護士や会社役員など、一部の職業に就いている人は自己破産によってその職業の資格を失ってしまいます。また、個人再生は継続的に安定した収入がないと裁判所で認められない可能性があります。

これらと違って、任意整理には職業や収入に対しての制限がないので、誰でも行うことができます。とはいっても、任意整理後に返済をしなくてはいけないので、アルバイトでもいいので返済できるだけの収入は必要になってきます。

将来利息の発生をカットできる

任意交渉では、将来発生する利息をカットした上で、分割払いで返済するように交渉します。そのため、利息金をカットして借金元本を返済することができるので、完済までの期間がぐんと短くて済みます。

さらに、最近では任意整理の際には同時に過払い金が発生していないかどうかも調査を行いますので、過払い金が発生している場合には、さらに借金を減らすことができます。長く借金に苦しんでいるようなケースですと、任意整理をしなくても過払い金返還請求だけで借金を完済できて、さらにまとまった金額が手元に残る可能性もじゅうぶんにあります。

任意整理のデメリット

つぎにデメリットをあげてみましょう。任意整理の場合、メリットと比較してデメリットが少なくなっていることが分かります。

クレジットカードやローンが組めない… 完済後5年間はブラックリスト

任意整理を行うと、信用情報機関に「事故情報」として最長5年間記録が保持されることになっています。これは、一般的に借金のブラックリストなどと呼ばれるもので、事故情報が記載されることで、その他の貸金業者からの融資やローンの申込みが基本的には通らなくなってしまいます。

事故情報については、ほかの債務整理でも同様に記録されてしまう上に、自己破産の場合には最長10年間の保持期間となっています。

借金をすることができない、というのはデメリットでもあると同時に、借金がこれ以上増える心配がないという面ではメリットであるとも考えられます。考え方しだいですが、任意整理を踏みとどまる原因になる大きなデメリットだとはいえないでしょう。

他の債務整理に比べ、減額が大きくない

任意整理は利息をカットするかわりに借金元本は完済するというような交渉になります。借金そのものを減額することができないため、ほかの債務整理と比較すると減額できる金額は小さなものであるといえます。

何百万円にも及ぶような高額の借金を抱えているのであれば、任意整理で長期間の返済を続けるよりも自己破産などの手段を用いたほうがいいこともあります。任意整理が最適な解決法かどうかはケースバイケースでしょう。

強制力がないため、任意整理に応じない貸金業者もいる

裁判所からの強制的な手続きではないので、中には任意整理に応じない貸金業者もいます。このような場合には、個人で交渉するのではなく必ず司法書士などの専門家に依頼をして、貸金業者と交渉をしてもらいましょう。

基本的には、自己破産や個人再生という手段をとられるよりは、借金元本のみでも返済してもらえる任意整理のほうが貸金業者のメリットは大きいはずです。専門家が交渉することで、任意整理の成功率も格段に上昇するでしょう。

任意整理は誰にでもおすすめ?

借金問題を解決したいからといって、自分の状況をよく考えずに債務整理をしてしまってはいけません。債務整理にはそれぞれ、メリット・デメリットがあり、どの方法が最適かは借金の状況によってまったく異なります。

まずは、自分の借金の状況をしっかりと把握して、その上で司法書士による無料相談を利用するなどして客観的なアドバイスを受けることをおすすめします。そして、借金を解決するとともに、借金に頼らなくても生活できるように生活再建を目指しましょう。