過払い金

アプラスに自分で過払い金請求するには?失敗しない方法・手順と注意点

株式会社アプラスはシンキと同様に、レイクを親会社とする新生銀行グループの大手信販会社です。アプラスと名のつく会社は現在では業務によって分かれており、非常にわかりにくいです。

2010年に旧株式会社アプラスがアプラスフィナンシャルになり、さらにアプラスパーソナルローンとアプラスクレジットが誕生しました。そして、アプラスクレジットは現在の株式会社アプラスに社名を変更しました。

アプラスフィナンシャルは住宅ローンなど、アプラスはクレジット業務や自動車ローン、アプラスパーソナルローンはローンカードや証書貸付ローンを担当しています。

あまり知られていませんが、アプラスが発行する多数のカード(新生カードなど)やアプラスが提携しているカード(TSUTAYAのWカードなど)のキャッシング枠に対しても過払い金を請求することができます。

過払い金の返還を請求するにあたり、弁護士や司法書士などの専門家に依頼するか、自分で交渉するかが大きな分岐点となります。

専門家に依頼した場合は、解決報酬(成功報酬)として返還された過払い金の20%~25%を支払わなければなりません。その他に着手金をとる事務所もあります。

その点、自分で交渉する場合は情報収集の手間がかかりますが、返還された過払い金のほぼ全てを取得できます。また、手続きの途中から依頼することも可能なので、交渉や訴訟準備などが困難だと感じたら専門家に任せるという選択肢もあります。

アプラスに過払い金を請求する際の手順や注意事項などを確認していきましょう。

アプラスの過払い金請求の対象期間と当時の金利は?

アプラスでは2007年4月1日を境に、最大金利29.160%から最大金利18.0%に引き下げられました。そのため2007年4月1日以前の借入契約に過払い金が生じている可能性があります。

さらにアプラスではTSUTAYA Wカードなど、別会社と提携しているカードのキャッシングに関しては正確な金利の引き下げ時期は明示していません。場合によっては2009年頃まで高金利が継続していたこともあるので、過払い金請求の際にはよく確認しましょう。

また、過払い金の返還請求ができる期間は、業者との最後の取引(借金の返済も含む)から10年以内ということには注意が必要です。

アプラスの過払い金請求で多い傾向や特徴

アプラスは平成29年3月期第3四半期決算短信によると、営業利益・純利益ともに前年度より増加しました。さらに、アプラス新生銀行グループに属し、キャッシングだけではなく自動車ローン業務を大規模に行っていることもあって運営・資金面に不安はありません。

アプラスは親会社であるレイクと比べると、過払い金請求への対応があまりよくありません。訴訟ではアプラスの主張にしっかりと反論する必要があり、和解交渉よりも訴訟を提起した方が過払い金の返還が早くなる傾向にあります。

アプラスに過払い金請求したらいくら戻ってくるかの目安(返還率)

裁判(訴訟)を起こさず、話し合いにより和解した場合

返還率は過払い金のおよそ6割となります。経験豊富な弁護士や司法書士に依頼した場合では返還率は8~10割ほどが見込まれ、それ以上の過払い金を回収するには訴訟を起こす必要があります。

裁判(訴訟)を起こした場合

返還率は基本的に過払い金の10割+過払い利息5%が認められます。6割~10割程度で和解することも可能ですが、満額を回収するには判決まで訴訟を続ける必要があります。

アプラスから過払い金が戻ってくるまでの目安(返還期間)

裁判(訴訟)を起こさず、話し合いにより和解した場合

およそ6ヶ月となります。請求書を発送してから1ヶ月ほどで担当者と和解交渉することができますが、過払い金が確定してから支払いまで長くて4ヶ月ほどかかることがあります。

裁判(訴訟)を起こした場合

およそ5~6ヶ月となります。アプラスは過払い金を引き下げる主張を繰り返す傾向にあります。初回の口頭弁論か、その後により良い条件での和解の提示があることが多いですが、過払い金を満額回収するには多くの場合、判決まで訴訟を続ける必要があります。

アプラスに過払い金請求するデメリット

アプラスカードを利用できなくなる

過払い請求を行うとアプラスのカードは自動的に解約処理となり今後は使用不可能となります。また、アプラスのカードのショッピング機能もキャッシング機能、そしてETCカードなども併せて解約扱いとなり、その後は再発行が出来ない可能性があります。

しかし完済した取引の過払い金請求であれば、過去の返済で延滞などが生じるなどしていない限り、再びカードが発行される傾向にあります。

アプラスに返済中で過払い金請求する場合はブラックリストに注意

借金が残る場合は信用情報(ブラックリスト)にのる

アプラスに過払い金額で相殺できないほどの借金を返済中の場合、それでも過払い金を返還請求した時はブラックリストに載ることになります。

ブラックリストはアプラスだけではなく全ての金融機関で共有され、もし登録された場合はキャッシングや新規クレジットカードの発行ができなくなり、ショッピング・自動車・住宅ローンなどの利用も5年間制限されることになります。

過払い金で借金がゼロになれば信用情報(ブラックリスト)にのらない

返済中に過払い金を請求し、今現在の借金が全て相殺された場合はブラックリストに載ることはありません。返還請求を行う前に、先ずは過払い金の正確な計算を行い、現在の借入残額と比較しておくことが重要と言えます。

アプラスに過払い金請求する注意点

関連業者からの借入れも完済していないとブラックリストにのる

アプラス関連のカードのショッピングの支払い

アプラスカードのショッピング枠を利用中で返済が残っている場合、たとえキャッシングは完済していても、過払い金請求を行うとブラックリストに登録されてしまいます。

さらに、高額な商品をショッピングローンで返済中の場合には、商品の現物を返さなければならない場合もあります。

またショッピング枠には過払い金の請求ができませんのでご注意ください。

アプラス関連のカードで自動引き落としを利用している方

アプラス関連のカードでETC利用料、携帯電話代、インターネットサービスの利用料など、毎月引き落としが発生している場合、事前に他の支払い方法に切り替えておかなければ完済状態とは見なされません。過払い請求前に必ず確認しておきましょう。

自動車ローンを利用している方

アプラスで自動車ローンを組んでいる場合、アプラスに過払い金を請求すると返還される過払い金と自動車ローンが相殺され、ブラックリストに登録される可能性があります。事前に確認しておきましょう。また、自動車ローン自体に過払い金は発生しません。

アプラスパーソナルローンを利用している方

アプラスだけではなく、アプラスパーソナルローンを利用していた方もアプラスへ過払い金を請求することが出来ます。両社は混同しやすいですが別会社ですので、それぞれ別個に請求する必要があります。

また、旧株式会社アプラス時代からの取引は、アプラスが引き継いでいる場合とアプラスパーソナルローンが引き継いでいる場合があります。過払い請求前に事前に確認しておきましょう。

アプラスに過払い金請求するなら時効に注意

過払い金請求の時効

過払い金請求の権利は、最後の取引から10年で消滅してしまうのでご注意ください。過払い金請求の時効は借入した日ではなく、最後に返済した日からカウントされます。

また、完済した後すぐに新規借入をおこなっていた場合は、併せて1つの取引とみなすか、別々の取引とみなすかで過払い金請求の時効のカウントが始まる日が異なるので、過払い訴訟の争点となる場合があります。

アプラスではここを争点として繰り返し主張してくるので、訴訟ではしっかりとした反論が求められます。

時効が間近に迫っている場合

最も手軽な方法としてアプラスに内容証明郵便を送付する「催告」を行います。催告は過払い金請求を行うという意思表示です。催告によって時効の進行が停止している半年間の間に、改めて過払い金を請求する手続きを取ります。

アプラスに過払い金請求する流れ

【1】アプラスから取引履歴を取り寄せる

電話で取り寄せる

電話にてアプラスに「契約内容を確認したいので、契約当初からのキャッシング部分の取引履歴が欲しい」と伝えます。本人確認の後、受け取り方法を指定すると3週間ほどで取引履歴を取得できます。

FAXか郵送で取り寄せる

以下のURLからアプラスが公開している取引履歴開示請求書をダウンロードし、必要事項を記入し、運転免許証などの本人確認書類のコピーと一緒にアプラスに送付します。大体1ヶ月ほどで取引履歴がアプラスから送られてきます。
http://www.aplus.co.jp/policy/pdf/kaiji.pdf

もちろん弁護士や司法書士に依頼した場合は取引履歴の取得の手続きも全て任せることができます。

【2】過払い金の計算(引き直し計算)をする

引き直し計算とは

引き直し計算とは取引履歴を元に正確な過払い金を計算することです。引き直し計算は通常パソコンを使い、エクセルや専門の計算ソフトを用いて行います。

無料の引き直し計算ソフト紹介(名古屋式、外山式)

よく利用されているソフトとして外山式、名古屋式の2つが上げられます。
外山式・名古屋式はエクセルの試用が必須ですが、無料で利用することが出来るのが特徴です。また公式サイトではよくある質問などがまとめられています。

外山式(現:アドリテム司法書士法人)
http://www.vector.co.jp/soft/win95/business/se432123.html
名古屋式(名古屋消費者信用問題研究会)
http://www.kabarai.net/index.html

【2】過払い金の計算(引き直し計算)をする

過払い金返還通知書の書き方

書き方などに厳密な規定はありませんが、ここでは名古屋消費者信用問題研究会のフォーマットを紹介します。過払い金返還通知書のフォーマットを以下のURLからダウンロードし、必要事項を記入します。
http://kabarai.net/format/index.html

内容証明郵便にて送付する

封筒(形式自由)1通と記載した過払い金返還通知書をコピーして合計3部、引き直し計算の表をプリントアウトして3部、そして内容を修正する際に必要な印鑑を持って郵便局へ行きます。内容証明郵便を扱わない郵便局もあるので、事前に調べておきましょう。

内容証明郵便の郵送には内容証明料430円、書留料430円、任意で配達証明料430円がかかります。また、請求書類が1枚増えるごとに260円の費用が追加されます。

【4】電話での話し合いによる交渉(和解交渉)

過払い金請求書を送付後、1ヶ月ほどで担当者から連絡が来ます。そしてアプラスでは過払い金の6割ほどを目安に和解の提案をしてきます。専門家に依頼していない場合、担当者もなんとか減額しようとします。根気と労力が必要となりますが、納得できなければとことん粘り、減額に応じない姿勢を維持しましょう。

やはり弁護士や司法書士に依頼した場合の一番のメリットはこの交渉です。経験豊富な専門家であれば貸金業者側の減額交渉にも慣れているので不当な減額を受け入れず、さらに依頼者の都合を考えた引き際も心得ています。弁護士や司法書士に依頼した場合の過払い金の回収率は8割~10割ほどです。

また、和解が成立してから実際の支払日までは遅く、4ヶ月ほどかかる傾向にあります。この交渉で和解が成立しなかった場合は裁判を起こすことになります。

【5】過払い金返還請求訴訟の提起(裁判)

裁判に必要な書類

・訴状
・取引履歴
・引き直し計算書
・登記簿謄本
・証拠説明書(提出を求められない事も多い)

訴状と証拠説明書は以下のURLからフォーマットをダウンロードし、必要事項を記入します。
訴状:http://kabarai.net/format/index.html
証拠説明書:http://how2-inc.com/in-overpaid-claims-yourself-1482/f3fdf6e67834255018b2b1dcf256ba89

登記簿謄本は法務局でアプラスの本店所在地を用紙に記入することで取得出来ます。その際費用として600円かかります。

裁判費用

裁判所から貸金業者に訴状を郵送する代金が6000円ほどかかります。
さらに返還請求額に応じて印紙代がかかります。具体的な金額は以下のURLを参考にして下さい。
http://www.courts.go.jp/vcms_lf/315004.pdf

訴訟の提起

提訴はアプラス本社の所在地である大阪の裁判所か、自身の住所を管轄する裁判所に行います。そして請求金額が140万円以下の場合は簡易裁判所に、140万円を超える場合は地方裁判所に提訴します。過払い金の利息は上記金額には含まないので注意が必要です。

訴訟を起こした後は月に1度ほど口頭弁論が行われます。裁判はだいたい平日の午前中に行われますが、事前に出席できる期日に設定しましょう。もちろん弁護士や司法書士に依頼すれば裁判も代理で行ってくれますし、自身が出席する必要もありません。

【6】過払い金額の和解交渉

大半は第2回口頭弁論までの間に担当者から連絡があり、さらなる和解交渉をすることとなります。ここで納得いく金額・日程の提示があれば、判決を待たずに裁判外で和解を成立させることも可能です。

【7】過払い金の返還

裁判での勝訴もしくは裁判外での和解がまとまれば、ようやく過払い金が返還されます。弁護士や司法書士事務所に依頼した場合、そこから報酬が引かれて事務所から振り込まれることになります。

アプラスでは訴訟を提起した方が過払い金の支払日が早まる可能性があります。

過払い金の返還請求で特に難しいのは担当者との交渉です。弁護士や司法書士に依頼せず交渉する場合はどうしても訴訟に及び腰となり、担当者の不当な減額交渉に応じがちです。

アプラスは訴訟前の交渉で満額近い回収は厳しく、訴訟ではしっかりと反論する必要があるため、自分で行う余裕がなくなったり難しいと感じた場合は無理をせず途中からでも、ぜひ弁護士や司法書士などの専門家に相談しましょう。

アプラス会社概要

商号:株式会社アプラス
本社所在地:〒556-8535 大阪市浪速区湊町一丁目2番3号
問い合わせ:0120-400-937