ラジオやテレビなどのCMでもおなじみの過払い金請求ですが、2010年以前に借金をしていた人は、完済してから10年以内なら払いすぎたお金を取り戻すことができます。
ブラックリストに載るのではないか?という不安をもつ人も少なからずいるかもしれませんが、ほとんどの人は、消費者金融などの業者に過払い金請求をしてもブラックリストに載りません。
長く借金を返し続けた人ほど返ってくるお金も多くなります。もしかすると払いすぎていたかも、と思っている人はなるべく早くお金を取り戻しましょう。
過払い金請求できるのはどんな人?
過払い金というのは、払いすぎたお金のことで、サラリーローンや学生ローンの全盛期に借金をした人たちや、クレジットカードでキャッシングを利用した人などはお金が返ってくる可能性があります。
グレーゾーン金利と呼ばれている利息制限法の上限の20%を超えた金利でお金を借りていた人が対象ですが、一般的には2010年までに消費者金融やクレジットカード会社などを利用して借金をした人があてはまります。
過払い金は借金が多く、長い期間返済を続けていた人ほど戻ってくる金額が大きいので、長い間、借金に苦しみ続けてきた人は過払い金請求を行うことで思った以上のお金を手にすることになるかもしれません。
請求できるのはこんな人
1.2010年までに消費者金融、クレジットカードで借金をした人
2.最後に借金の契約や返済をしてから10年以内の人
3.融資を受けた消費者金融やクレジットカード会社が倒産していない人
過払い請求をしてブラックリストに載るのはこんな人
過払い金請求をするとブラックリストに載ると考えている人は今でもいます。実際に消費者金融などが加盟している日本信用情報機構(JICC)が過払い金交渉の履歴を表示していた過去があるからです。
平成22年までに過払い金請求をした人たちの多くがブラックリストに載って、新規の借入れができない状態になったのは紛れもない事実です。
しかし金融庁の「過払い金請求は正当な権利なので、信用情報として扱ってはならない」という指導がなされた平成22年4月からは、ブラックリストに載ることはなくなっています。
それでは全ての人がブラックリストに載らないのかというと、そうではありません。
ブラックリストに載らないのはこんな人
1.既に借金完済している人
2.借金返済中だけど過払い金請求をしたら借金がゼロになる人
3.複数の業者の中で過払い金がある業者だけと交渉した人
ブラックリストに載るかもしれないのはこんな人
1.借金の返済を延期してもらう交渉をした人
2.債務整理をしてしまった人
どうすれば過払い金請求できるのか
過払い請求というのは、消費者金融やクレジットカード会社から借金をした時の払いすぎたお金を取り戻すための交渉です。
その手順は
1.取引のある金融業者の全てに取引履歴を請求して過払い金の正確な金額を調査する
2.取引している金融業者の中で過払い金が発生している会社だけをターゲットにして、過払い金の返還請求をする
3.返還請求が成功したら過払い金が全額返還
このような流れになっていますが、相手は専門知識を持った金融業者なので、個人で交渉をしたことで、過払い金の額がいつのまにか減らされ、対応してもらえるまで長い期間かかることもあります。
個人での直接交渉で成功する自信がないときは、過払い金などの金融問題のエキスパートの司法書士や弁護士に依頼をすると、精神的、肉体的な負担を感じること無く、払いすぎたお金を取り戻すことができます。
専門の弁護士や司法書士に過払い請求を依頼するときに必要な情報は、お金を借りていた金融機関の名前と、現在の借金総額の2つです。
これらがわかれば、ブラックリストに載ることなく、過払い請求を成功させることができます。また交渉をすると債務整理とみなされる可能性があれば、事前にアドバイスをしてもらえるので、安心して交渉を進めることができます。
過払い金がもらえないこともある?
長年借金をしていたから過払い金が必ずあるはずだと思っても利息制限法に基づいた低い金利でお金を借りていた人は、過払い金がもらえないことがあります。
過払い金がもらえない可能性の高い金融機関は、銀行や地方の信用金庫などのように、もともと金利を低く抑えている金融機関で、金利が高いというイメージの強い消費者金融の中にも過払い金の対象にならない業者があります。
また買い物をするときに、利用しているクレジットカードのショッピング枠ですが、これに関しては、過払い金はありません。
手数料などを取られているのに過払い金が発生しないのはおかしいと思うかもしれませんが、買い物をしたお金を信販会社などが一時的に立て替えるシステムなので、お金を借りるのとは扱いが違います。
弁護士や司法書士の過払い金交渉の現実
過払い金請求をする人の理由として多いのが、借金の限度額を超えてしまってどうしようもなくなった、というものです。
とくに2006年12月に施行された総量規制の影響が大きく、それまでは借金が多くてもお金を融通してくれた業者が、多重債務者などにはお金を融資できなくなりました。
総量規制というのは、年収の3分の1以上の借金を厳しく制限して、さらに業者に対して、返済能力の調査義務、信用情報機関のデータ使用を義務付けるものです。
総量規制の施行でお金が借りられなくなった人を救うことのできる一つの手段として過払い金請求がありますが、弁護士や司法書士に仕事を依頼すれば費用がかかります。
どのくらいのお金が必要になるかというと、着手金として、交渉をする金融業者の数×1万円から2万円、報酬金として、過払い金請求で手にしたお金の20%未満です。
しかし確実に過払い金が返ってくると判断された場合は、着手金などの初期費用を無料にして、あとで相殺するというシステムが一般的になりつつあるので、「手持ちがないから」とあきらめずに専門家に相談をしてみることをおすすめします。
弁護士費用(日本弁護士連合会調べ)の相場はこのようになります。
1.着手金=金融業者×1万円~2万円
2.報酬金=過払い金×20%
3.報酬金(訴訟)=過払い金×25%
過払い金のデメリットのウソとホント
過払い金請求をするときに一番心配なのはブラックリストに載ることですが、債務整理をして借金減額の交渉をしなければ、その心配はありません。
それでも不安な人は、自治体が行っている弁護士の無料相談などを利用して、過払い金請求について聞いてみるとブラックリストに載るかどうかわかります。
デメリットとして良く言われるのが、過払い請求をした金融業者では二度とお金を借りることができないということですが、収入が安定していて、信用力の高い人ならば、カードの再発行に応じる信販会社もあります。
また過払い請求をしたら、カードの審査にパスできなくなる人もいるという噂もありますが、債務整理をしてブラックリストに載らなければ、審査に落ちやすくなるというデメリットはありません。
過払い請求には10年という時効があるので、2010年より前から借金をしているひとは、躊躇することなく、弁護士の無料相談を利用して取引のある貸金業者から、取引履歴を取り寄せるなどの行動をとりましょう。
とくに多重債務で長年返済を続けている人は、過払い金が数百万円を超える可能性もあるので、返済の苦しみから解放されるだけでなく、新しい人生を送るための助けにもなります。