借金がどんどん増えてしまって、返済が滞りがち、そんな人たちの頼みの綱が債務整理です。
債務整理には借金を減額したり、過払い金が戻ってきたりなどのメリットがありますが、ブラックリストに載ってしまいます。
一度ブラックリストに載ると信用情報機関にデータが保有されている期間は新規の借り入れが難しくなり、クレジットカードの審査にパスできないという厳しい現実が待っています。
過払い金請求の場合は、一定の条件をクリアしていればブラックリストに載ることがないので、安心して金融業者と交渉をすることができます。
債務整理というのは一体何か
債務整理というのは、借金の減額をして返済を猶予してもらうことで、借金の負担を減らすための手続きの総称です。
債務整理の手続には、過払い金請求、任意整理、民事再生、自己破産、特定調停の5種類があります。
債務整理にはデメリットもありますが貸金業者からの取り立てをストップさせることができるので、精神的な負担を減らすこともできます。
また司法書士などに依頼をすれば、高い利息をとる違法な金融業者(ヤミ金)から借金をしてしまったときのトラブルの解決をすることもできます。
債務整理の種類は以下の5つですが、特定調停は裁判所と個人で行うことが多いので、弁護士事務所によっては債務整理に含まないこともあります。
1.過払い金請求・・・グレーゾーン金利が存在していた時期に支払いすぎたお金を貸金業者などから取り戻すことができます。長期間借金を返済し続けていた人ほど返ってくる金額が多くなります。
2.任意整理・・・返済の負担が大きすぎるときに借金の減額や金利を下げる交渉をして、確実に返済ができる状態にする手続きです。過払い金が発生していることが判明することもあります。
3.民事再生・・・返済困難な借金を裁判所の仲介で減額する手続きで、借金の額が5千万円以下ならば、返済額が10分の1まで減額されることもあります。
4.自己破産・・・借金を返済するための財産がないことを裁判所に認めてもらうことで、支払いの義務を免除される手続きです。住宅などの不動産や自動車などを手放さなければなりませんが、収入をすべて生活費にあてることができるメリットがあります。
5.特別調停・・・裁判所が仲裁をしてそれぞれの金融業者と利息カットなどの交渉をするものです。個人で行うことができますが、過払い金を考慮した交渉をするのが難しいとされています。
ブラックリストに載ってしまう債務整理
債務整理の中でブラックリストに載ってしまうのは、任意整理、民事再生(個人再生)、自己破産、特定調停のすべての手続きです。
これらは、程度の差はありますが、借金の利息や元本が減るという借りた人に対するメリットがあります。
しかし金融業者側の立場を考えると、本来返済されるはずのお金を支払ってもらえないことで、いわゆる貸し倒れ状態になります。
そのため事故情報として信用情報機関に申告をして、交渉をした契約者をブラックリスト状態にします。
債務整理は手続きの方法によって、ブラックリストとしてデータが残される期間が異なるので、金融業者との交渉内容とそれをいつ始めたのか調べておくことが重要です。
過払い金請求でのブラックリスト入りを防ぐ
過払い金がある人は、2010年までに、消費者金融業者やクレジットカードでお金を借りたことがある人です。借金完済した人でも返済中の人でも関係なく発生しています。
とくに契約が長期間におよんでいる人は高額な過払い金が発生している可能性もあるので、弁護士事務所の無料相談などを受けてみる価値は十分にあります。
ブラックリストに載るのは、過払い金請求をしたにも関わらず借金が残った場合で、この場合は契約変更として個人信用情報に表記されます。
不安な人は、法律の専門家に仲介を依頼することで、事前に契約書などを取り寄せて任意整理にならないか判断してもらえます。
また個人で行う場合は、自分で業者からデータを取り寄せて、専門サイトなどを利用して計算をすることもできます。
債務整理によって違うブラックリストの期間
任意整理や個人再生、自己破産はどれも債務整理として分類されていますが、借金が減額される割合が違うので、ブラックリスト扱いされる期間も違います。
任意整理は手続き完了後の将来利息だけを免除するものなので、借金の減額の割合も個人再生や自己破産に比べると小さいのですが返済の負担を軽くすることができます。
ブラックリストへの記載は5年間とされているので、新規借入が出来ない期間は他の債務整理よりも短くなります。
個人再生は債務が5分の1になるので、金融業者側への負担がかなり大きくなります。そのためブラックリスト期間は7年から10年と長めに設定されています。
自己破産はすべての債務を裁判所によって免除されるもので、借金を返済する必要がなくなるので、将来の生活設計がしやすくなるメリットがあります。
しかし借金全額免除は債権者の負担が非常に大きいので、個人的な信用はかなり低下します。ブラックリスト期間は7年から10年とされています。
個人再生と自己破産は国の広報誌の官報に住所氏名が記載されるので、10年を経過しても大手消費者金融業者や銀行ローンなどの審査に落ちる可能性はあります。
債務整理するのに必要な費用
過払い金請求以外の債務整理にはお金がかかります。金額は正式に決められたものではないために、司法書士事務所、弁護士事務所によって異なります。
任意整理の場合は、1社あたり3万円から4万円で、業者が複数になると料金が少し割引されて1社あたり2万円程度になります。
任意整理をすると過払い金が発生することもありますが、その場合には回収額の20%を報酬として支払うのが一般的です。
個人再生は住居にしている不動産の有無で料金が異なります。不動産なしでは30万円ですが、不動産ありの場合は特別な手続きが必要なので35万円になります。
自己破産は30万円くらいが相場ですが、裁判所に実費として22万円支払わなければならないので、合計すると50万円以上になります。
お金に困っているのにこれほど高い料金を支払うのは厳しい場合は、お世話になった弁護士事務所に分割払いを申し出ることができます。
また法テラスという国の機関を利用すると、資金的な問題があっても債務整理ができます。
債務整理のメリットとデメリット
債務整理をすれば、借金の返済の負担が非常に軽くなるので、人生を再スタートすることができます。また取り立ての電話などがなくなるので、精神的なストレスからも解放されます。
借りた人にとってのメリットは、お金を貸した金融業者にとっては、リスクや負担になるので、お金を貸してくれた債権者に対する反省の気持ちは持たなければなりません。
デメリットは、ブラックリストに載ってしまうことがありますが、信用情報機関の個人信用情報のデータ保有期間は5年なので、最低でも5年間はお金を借りるのが難しくなります。
また個人再生や自己破産は、金融業者やその他の債権者に与える負担も大きいことから、官報にも個人情報が記載されて7年から10年は新規借入れが難しくなります。
ブラックリスト入りしていてもお金を融資する消費者金融などもありますが、債務整理をしたらお金の使い方を見直して、なるべく借金に頼らない人生設計をすることも大切です。