払いすぎた利息分を、貸金業者から取り戻すのが過払い金請求ですが、その請求方法や交渉は複雑で時間もかかるため、多くの方が弁護士、または司法書士などの事務所、つまり「専門家」に依頼することも多いでしょう。
ただ、そうすると着手金や成功報酬など、いろいろな費用もかかってきます。それを節約するため、しっかりと準備をして、海千山千の貸金業者と交渉をする覚悟さえあれば、専門家の手を借りなくても費用をかけずに「自分で」過払い金請求をすることも可能です。
とはいえそれには「メリット」だけでなく、「デメリット」が存在するので十分な注意が必要です。そこで今回は、過払い金請求を自分でやる場合のメリットとデメリットについて、詳しく説明していきたいと思います。
過払い金請求を自分でやる場合のメリット
専門家に払う報酬がかからなくてすむ
冒頭でも少し触れましたが、自分で過払い金請求をすれば、専門家に依頼するときにかかる着手金や基本手数料などの費用が節約できます。経済的に困って過払い金請求始め、借金の整理に望んでいることも多いので、着手金と呼ばれる前払金や基本報酬など初期費用がかからない自分での過払い金請求は、大きなメリットが出てきます。
また、取り戻した返還金の金額に対して15%から25%とられる「成功報酬」を払うことなく、取り戻した過払い金がすべて手元に残るのもうれしいメリットのひとつです。
過払い金請求を自分でやる場合のデメリット
手間と時間がかかる
とにかく、取引履歴の請求から引き戻し計算、そして本格的な交渉まですべて自分で行うには膨大な時間と手間がかかります。請求先の貸金業者の態度にもよりますが、専門家はその豊富なノウハウと、交渉能力の高さから、3~5カ月程度の比較的短期間で和解を取り付けることができますが、自分で過払い金請求をした場合、多くのケースでその倍以上の時間がかかってきます。
さらにもし、裁判にはいった場合は、そのかかる時間はさらに長期間になるうえ、自分で出廷する必要があるので仕事への影響や、精神的負担はもっと大きくなります。結果、挫折をして低い返還額で和解に応じて公開するケースもあるので、これが自分で過払い金請求をするときの、最大のデメリットだとさえ言えます。
取り戻せる過払い金が少ない
前の項目で説明した妥協で返還金が減ることに合わせて、そもそも個人での過払い金請求では、和解金額が低く提示されるケースが多いのが現実です。その理由は、やはり専門家に比べると知識も少なく、貸金業者にとっては面倒で余計な経費がかかるうえ、大きな過払金返還命令可能性のある裁判に持ち込まれることも少ないからです。
それに加えて、多くの過払い案件のデータを持っていて適切な和解金額を熟知している専門家ではないため、業者側が「足元をみる」つまり甘くみて、不当に低い和解金額で納得させようとする事が多いからです。
また、もし強い気持ちで裁判に持ち込んだとしてもその態度を変えずに、判決に不服だと控訴し時間を稼ぎ、心が折れるのを待ち、解金を下げようとする業者もなかにはいますので注意しなければなりません。
返済中の過払い金請求の場合、返済の督促がストップしない
もし、返済途中の業者への過払い金請求を専門家に依頼した場合、請求先の業者に専門家から「受任通知」が届きます。そうするとその返済への督促は「債務整理中」との判断から、法律の規定によって自動的にストップし、違反すると業者には厳しい行政罰が課せられます。
これは、厳しい返済への督促に苦しんでいる方にとっては非常に助けになる制度ですが、自分で過払い金請求をする場合では、弁護士や司法書士の権限である「受任通知」が発行されるわけもなく、この制度は適用されず、返済への督促が止まることはありません。
家族に借金があったことがバレてしまう可能性がある
自分で過払い金請求をした場合は、どうしても業者からの電話に応じる必要や、取引履歴や和解文書などの書類を、主に自宅への郵送で受けとる必要があります。
もし、家族などに借金を秘密にしていたとしたら、結果的に借金をしていた、もしくは現在でもしている事実がばれてしまう可能性が出てきます。
とりあえず専門家に相談してみるのを一つの方法
何はともあれ、自分で過払い金請求をするときには労力と時間、そして秘密がばれてしまうリスクは付きまといます。また、裁判になった場合は裁判費用などもかかり、全くお金がかからないかと言えばそうではありません。
貸金業者はそれぞれ過払い金請求に対しての態度が違い、なかには個人で請求するのはとても難しい、厳しい対応をとってくる業者も少なくありません。
「費用が安く上がる」などといった、簡単な考えで個人での過払い金請求に取り組まず、無料で相談に乗ってくれる専門家の事務所なども多くあり、その業者の過払い金請求に対する態度や大まかな返還金額の相場、過払い金請求の仕方などをレクチャーしてくれます。
時間も手間もかかることを覚悟の上で、自分で過払い金請求に挑戦するにしても、とりあえずはそれらを利用して、専門家の意見を聞いてみるのも、過払い金請求に成功する1つの有効な手段だと思います。