ブランドバッグ欲しさにアイフルで借金
10年前、旅行に出かけた先でブランド物を扱うリサイクルショップに立ち寄りました。そこで見つけた海外スーパーブランドのバッグに一目ぼれし、金額が10万円で諦めきれなかったのがきっかけです。
10万円という価格はそのバッグの低価をはるかに下回っており、中古市場でも相場が18万円ほどの物でした。バッグの内側にひどい汚れがあったので価格が下がっていると知り、外から見てわからないのであれば欲しいと思ったのです。
しかし、手元にあったのは5万円程度で、明らかに予算オーバーでした。地元のリサイクルショップで同じ金額で販売されることが考えにくく、ここで諦めたら出会えないと思ってしまったのです。
クレジットカード類は作ったことがないので持っておらず、頭に浮かんだのは消費者金融でした。近くに無人契約機があったのを思い出し、借りてみようという気持ちになったのが始まりです。お店の人に頼んで取り置きしてもらい、そのまま無人契約機に駆け込みました。
本人確認の免許証についてや、自宅と職場への確認電話などの説明がありましたが、バッグが買えるかもしれないという気持ちで高揚していたので耳に入っていなかったと思います。説明もほとんど聞いていないまま手続きを進め、30分程度で融資してもらえることになりました。
希望金額はバッグ代金の10万円だったのですが、初回のため5万円のみでした。それでもバッグが買えることに気持ちが傾いていたので、買えるならいくらでもいいと思っていました。
無人契約機のアイフルで5万円を融資してもらいました。借りた後すぐにリサイクルショップへ戻り、取り置きしてもらっていたバッグを購入しました。バッグを買ったので借りた金額はその場でなくなったのと変わりません。
しかし、あこがれのバッグが買えたことで、借金をしたという気持ちはどこかへいっていたと思います。どうせ返すのだからと、甘い気持ちだったと思います。
以前は借金なんてとんでもないと思っていました。お金がないなら買わなければいいと思っていたので、消費者金融にいいイメージはなかったです。しかしブランドバッグが買えるという気持ちが勝り、結果として何も考えていなかったと思います。あんなにいけない事だと思っていたのに、こうもあっさり手を出した自分が信じられないです。
1人暮らしの追いうち
軽い気持ちで人生で初めての1人暮らしをしたことが、さらに借金生活に追い打ちをかけました。
具体的にどのくらいお金がかかるのかわからないまま部屋を借り、光熱費や家賃がどのくらいかも考えたことがありませんでした。実家暮らしでは借金の返済額がたいした事ないと思っていたのですが、その考えが甘かったと思います。
自分だけの生活なので食べる物もどれくらい必要か見当がつかず、多く買いすぎたりして負担が増えたのです。払うのがきつくなってきたとき、ちょうど融資枠の引き上げの電話が来たのが分かれ道だったと思います。その電話で融資を断らず、返済苦からまた借金を増やしてしまいました。
結果100万円ほど上乗せになりましたが、まだ返せる範囲だと高をくくっていたことでどん底に落ちたと思います。冷静に考えると14万円の給料で1人暮らしするだけでいっぱいなのに、借金までしていたのですからお金が回るはずありません。今を乗り切れば大丈夫と考えていたので増えた借金だと思っています。
はっきり言って何も買えませんでした。給料が入っても支払いに全て消えるので、財布に3000円以上入っていたことがありません。スーパーで安い食材を探し、お米は高くて買えないのでおかずだけの生活でした。
そんな中インフルエンザで病院に行ったらお金が底を付き、100円の惣菜さえ買えないこともありました。携帯電話の支払いが間に合わず止まってしまい、督促状がきていた状態です。連絡手段もないので交友関係も無に等しかったです。
頼れる人がいない現実
これ以上払えないと思った時に、親にお金を借りようかと考えました。借りたお金で返済してこの生活を抜け出そうと思いましたが無理だと気付きました。実家も裕福ではなかったので、私の借金を背負うのは到底無理だと思ったからです。
しかし、部屋を出て実家に戻るにもお金がかかり、その金額さえ用意できませんでした。給料日に支払いをしても当たり前に生活できたらと考えましたが、このままでは先すらみえません。周りの人が羨ましくて、自分だけこんなに苦しいのは耐えられないと感じ、問題解決のためにどうにかできないかと思ったのです。贅沢はしなくてもいいので、普通の生活がしたいと毎日思っていました。この気持ちが行動するきっかけになったと思っています。
ポスターがきっかけの債務整理
返済のために向かったアイフルの無人契約機の中に、債務整理のポスターがありました。「その借金、困っていませんか?」「借金の悩みきかせてください」というキャッチコピーが頭から離れず、返済手続きの後にじっくり読んでみたのがきっかけです。
数社から借金をしていても今より生活が楽になる、今より返済額が少なくなると書いてあったので、藁にもすがる思いで電話をかけてみました。相談だけなら無料というのも私にとってはありがたかったです。携帯電話が止まっていたので使えなかったのですが、公衆電話から電話できたので助かりました。
ポスターを見て電話した相手が司法書士だったらしく、後日面談した際に教えてもらいました。はっきり言って「過払い金」や「債務整理」という言葉も聞いたことがなく、初耳だったので驚きました。自分から願って借金したのだから、苦しくなって当たり前だという考えがあったのです。
人に相談しても、甘えるなと言われそうで相談する気にもなれませんでしたが、このような手段があると教えてもらって信じられなかったです。現に私は自分のせいで苦しいので、自分で何とかしなければと思っていました。しっかりした司法書士に借金問題を相談できたのは、運が良かったと思います。
司法書士の指導が重要
相談相手が司法書士なので、債務整理のプロだったので任せようと思いました。また、弁護士のように相談だけで金額が絡むと思っていたのですが、全くお金がかからなかったので思い切って聞いてみたのです。すると、依頼するにあたって高額な金銭は発生せず、こちらの今の生活が底辺以下であることもわかったうえで、私の借金問題を解決すると言うのです。
ここまでお金に困っている人間に手伝うと言ってくれたので、この人に決めました。借金の問題をお金をかけずに解決できるなんて思っていなかったので、貧乏な私には本当にありがたかったです。
最初に電話した時から親身に話を聞いてくれ、ちゃんと解決策を教えてくれたので信頼できました。何もわからない私に1から丁寧に説明してくれたのは助かりました。また、私がどん底の生活をしていると知っていながら協力すると申し出てくれたのも決め手です。お金がない人を救う気があるのだとわかったので、全力でお願いしました。
的確な指示で問題解決
電話口での対応が穏やかで話しやすい雰囲気でした。緊張しないで下さいと、こちらを気遣う言葉もかけてくれ、安心して相談できました。
そのため会って面談することを決めました。実際に会ってみても印象は変わらず、穏やかな口調と丁寧な説明で相談しやすかったです。弁護士や司法書士というものにキツいイメージがあったので、拍子抜けしたと言うのが正直な感想です。
無知な私に対し、子供に教えるようなわかりやすさで説明をしてくれました。まったくわからない仕組みの金融関係の話も、すんなりと頭に入ってきたのを覚えています。ホワイトボードと紙に、図や金融関係の単語を書いて1から説明してくれたので非常に助かりました。専門用語を使わないように話すのは大変だったと思います。
しかし、そういった面から人柄が感じられたので、このまま最後までお願いしようと思えました。その人に相談した結果、携帯電話があった方がいいという結論に至りました。実家から少しだけお金を工面してもらって携帯を復旧し、連絡を取れるようにしましたが、こちらを気遣ってかけなおしてくれたりとても優しい人でした。
任意整理に必要なものや、今どこまで進んでいてこれからどういう手続きに移るかを逐一連絡をくれて、わかりやすかったです。準備する書類も全くの無知でしたが、しっかり教えてくれました。こまめに私に連絡をくれたので、信頼できると改めて感じました。面談の頻度は多くはなかったので、必要最低限に済ませてくれたのだと思います。
任意整理のおかげで念願のお米が食べられた
依頼料は1件2万円、減額できた借金の額は40万円でした。依頼料も少なくしてもらって助かったのを覚えています。
私の場合は借り入れからの年数が少なかったので、これでも少額だと知りました。年数や借入先が多ければ、減額される金額ももっと多いと知って驚きです。
それでも、毎月の返済額は20000円ほど減ったので、今までのどん底生活に比べるとかなり楽になりました。給料日にきちんと支払いができることで、これまで感じていた罪悪感もなくなりました。滞納しないで払えることが重要だと思い知らされ、今後も払っていけることが嬉しかったです。少しならお米も買えるようになり、栄養面でも安心しました。
本当にここまで減らせるとは思っておらず、ただただ驚いたのが1番心に残っています。たったの20000円ですが、この20000円に苦労したのだと思うと情けなくなりました。元はと言えば、ブランドバッグ欲しさに作った借金なので、これまで何度も後悔したのを思い出します。
本当に抜け出せるかわからない不安
とにかく不安に感じていたのは、「いくら払わなければいけないのだろう」という点です。司法書士に払うお金もそうですが、任意整理という手続きでどんなお金がかかるのか見当もついていませんでした。
そのため、きっと後日高額な費用の請求がくるのだと思っていたのを覚えています。しかし、司法書士から言われたのは、「1件20000円です」「他にはかかりません」。信じられず、これがはたして本当なのかと、かなり疑っていたのは事実です。実はあとから高額請求が来るのではと、強い不安がありました。ですが、実際に依頼した結果を見て本当だとわかりました。
また、任意整理で生活が楽になるなんて信じられず、何度も同じ質問をした覚えがあります。これについても、根気よく教えてくれた内容で間違いありませんでした。良い話ばかりでなく、大きな金額の整理は期待できないという正直な意見もくれましたので、総合して気になっていた不安は全て解決できたと思います。
計画的な生活の基礎になった経験
任意整理後に大きく変わったのは、何よりも自分です。生活ももちろん回復したのですが、1番変化があったのは自分自身です。あの時借金のきっかけを作ったバッグを処分し、高価なものは持たなくなっています。自分の身の丈に合わないものは持つべきではないと学べたと思っています。
また、必要以上に物を買わなくなりました。
以前はブランドの他に宝くじにもハマっていたのですが、あれ以来購入していません。自分で稼いだお金でなければすぐに無くなってしまうと気付かされました。親に迷惑はかけましたが、結果的にいい勉強になったと感じています。今後借金をするつもりはありませんので、計画的にお金を使う事を続けていきたいと思っています。
自分と向き合えた借金体験
任意整理をして、良かったことしかありません。生活に必要な金額と自分が稼げる金額の差が、はっきりと感じられました。今までフワフワした感覚で捉えていましたが、これではいけないのだと気付かされました。
無駄なものは買わない癖がついたので、貯金もなんとかできそうです。前向きな気持ちが出てきたので家計簿をつけるのが楽しいです。以前は給料日に落ち込んでいましたが、今ではそれはありません。
まだ少し返済が残っていますがしっかり返せる予定です。仕事のキャリアアップについて勉強するので何かとお金はかかります。でも今後もお金は借りずに、自分の貯金から工面していくつもりです。困ることがないよう、しっかり計画を立てて生活したいです。