過払い金

オリックスに自分で過払い金請求するには?失敗しない方法・手順と注意点

オリックス(オリックス・クレジット株式会社)はオリックス株式会社の完全子会社です。オリックスグループはもともと、リース事業でトップクラスのシェア率を獲得し、のちに銀行業務や消費者金融にまで業務範囲を広げていきました。今ではオリックス銀行やオリックスVIPローンカードが有名です。また、プロ野球チームの買収を行ったこともあり、知名度がかなり高い企業といえます。

オリックスは上限金利を超えた貸付を行っていた期間が少なく、過払い請求の件数はあまり多くありません。しかし1990年以前にオリックスを利用したことがある方は過払い金が発生している可能性があります。

過払い金の返還を請求するにあたり、弁護士や司法書士などの専門家に依頼するか、自分で交渉するかが大きな分岐点となります。

専門家に依頼した場合は、解決報酬(成功報酬)として返還された過払い金の20%~25%を支払わなければなりません。その他に着手金をとる事務所もあります。

その点、自分で交渉する場合は情報収集の手間がかかりますが、返還された過払い金のほぼ全てを取得できます。また、手続きの途中から依頼することも可能なので、交渉や訴訟準備などが困難だと感じたら専門家に任せるという選択肢もあります。

本記事を通してオリックスに過払い金を請求する際の手順や注意事項などを確認しておきましょう。

オリックスの過払い金請求の対象期間と当時の金利は?

オリックスでは1990年を境に、すべての金利を19%以下に引き下げました。他の多くの消費者金融の引き下げ時期が2007年ごろということを考えると、良心的な対応であったと言えます。

そのため、1990年以前にオリックスを利用したことがある方に過払い金が生じている可能性があります。しかし、過払い金の返還請求ができる期間は、消費者金融との最後の取引(借金の返済も含む)から10年以内です。

継続的にオリックスを利用している方ならば、時効とみなされない可能性もあります。オリックスへは早急に過払い請求を行う必要があります。

オリックスの過払い金請求で多い傾向や特徴

オリックスはリース事業において日本でトップクラスの利益をあげています。また、金利の引き下げ時期が早いこともあり、過払い請求による業績への影響もほとんどありません。オリックスグループの子会社であることを考えると、経営・資金面での不安は存在しないといっても過言ではありません。

以前と比べてオリックスの過払い請求への対応は、良心的になりました。和解成立の金額が7割~9割ほどに増え、訴訟を強引に長引かせるというようなこともありません。

しかし、20年ほど前の取引に過払い請求するばあいは争点が発生しやすく、きちんとした主張や反論を行わなければならない可能性もあります。

オリックスに過払い金請求したらいくら戻ってくるかの目安(返還率)

裁判(訴訟)を起こさず、話し合いにより和解した場合

返還率は過払い金のおよそ6割~9割となります。しかし経験豊富な弁護士や司法書士に依頼した場合は不当な減額交渉を受け入れず、引き際も心得た駆け引きにより返還率は8割~9割ほどが見込めます。

裁判(訴訟)を起こした場合

返還率は基本的に過払い金の10割+過払い利息5%が認められますが、8割~10割程度で和解することも可能です。

オリックスから過払い金が戻ってくるまでの目安(返還期間)

裁判(訴訟)を起こさず、話し合いにより和解した場合

およそ2~3ヶ月となります。請求書を発送してから1ヶ月以内には担当者と和解交渉することができます。和解が成立するとおよそ2か月以内に過払い金が支払われます。

裁判(訴訟)を起こした場合

およそ4ヵ月~1年となります。重大な争点がない限りは初回の口頭弁論か、その後により良い条件での和解の提示があることが多いです。ただしオリックスの場合、過払い請求の対象が1990年以前の取引になるため、争点が発生する可能性は高く、訴訟が長引く可能性もあります。

そして過払い金の満額や利息までの返還を希望するならばさらに裁判を続ける必要があり、返還期間はその分長くなります。

オリックスに過払い金請求するデメリット

オリックスを利用できなくなる

過払い請求を行うとオリックスカードは自動的に解約処理となり今後は使用不可能となります。また、オリックスカードのショッピング機能もキャッシング機能と併せて解約扱いとなり、その後はオリックスカードの再発行が出来ない可能性があります。

しかし完済した取引の過払い金請求であれば、過去の返済で延滞などが生じるなどしていない限り、再びカードが発行される傾向にあります。

オリックスに返済中で過払い金請求する場合はブラックリストに注意

借金が残る場合は信用情報(ブラックリスト)にのる

オリックスに過払い金額で相殺できないほどの借金を返済中の場合、それでも過払い金を返還請求した時はブラックリストに載ることになります。

ブラックリストはオリックスだけではなく全ての金融機関で共有され、もし登録された場合はキャッシングや新規クレジットカードの発行ができなくなり、ショッピング・自動車・住宅ローンなどの利用も5年間制限されることになります。

過払い金で借金がゼロになれば信用情報(ブラックリスト)にのらない

返済中に過払い金を請求し、今現在の借金が全て相殺された場合はブラックリストに載ることはありません。返還請求を行う前に、先ずは過払い金の正確な計算を行い、現在の借入残額と比較しておくことが重要と言えます。

オリックスに過払い金請求する注意点

関連業者からの借入れも完済していないとブラックリストにのる

オリックスカードのショッピングの支払い

オリックスカードのショッピング枠を利用中で返済が残っている場合、たとえキャッシングは完済していても、過払い金請求を行うとブラックリストに登録されてしまいます。またショッピング枠には過払い金の請求ができませんのでご注意ください。

オリックス銀行ローンカードなど複数のカードを所持している方

オリックス関連のカードを複数所有している場合、すべてのカードを完済させておかなければ、過払い請求の際にブラックリストに登録される可能性があります。

オリックスカードで自動引き落としを利用している方

オリックスカードでETC利用料、携帯電話代、インターネットサービスの利用料など、毎月引き落としが発生している場合、事前に他の支払い方法に切り替えておかなければ完済状態とは見なされません。過払い請求前に必ず確認しておきましょう。

オリックスが保証会社になっている銀行からの借り入れについても注意

オリックスはオリックス銀行の保証会社です。そのため、オリックス銀行に借入が残っている場合にオリックスに過払い請求を行ってしまうと、完済扱いにならないことがあるので事前によく確認しておきましょう。

オリックスに過払い金請求するなら時効に注意

過払い金請求の時効

過払い金請求の権利は、最後の取引から10年で消滅してしまうのでご注意ください。過払い金請求の時効は借入した日ではなく、最後に返済した日からカウントされます。

また、完済した後すぐに新規借入をおこなっていた場合は、併せて1つの取引とみなすか、別々の取引とみなすかで過払い金請求の時効のカウントが始まる日が異なるので、過払い訴訟の争点となる場合があります。

オリックスでは過払い請求の対象が1990年以前の取引になるため、ここが争点となる可能性が高いです。訴訟が通常より長引く可能性があり、しっかりとした反論が求められる傾向にあります。

時効が間近に迫っている場合

最も手軽な方法としてオリックスに内容証明郵便を送付する「催告」を行います。催告は過払い金請求を行うという意思表示です。催告によって時効の進行が停止している半年間の間に、改めて過払い金を請求する手続きを取ります。

オリックスに過払い金請求する流れ

【1】オリックスから取引履歴を取り寄せる

電話で取り寄せる

電話にてオリックスに「契約内容を確認したいので、契約当初からのキャッシング部分の取引履歴が欲しい」と伝えます。本人確認の後、受け取り方法を指定すると2週間ほどで取引履歴を取得できます。

FAXか郵送で取り寄せる

以下のURLから取引履歴開示請求書をダウンロードし、必要事項を記入してオリックスに送付します。ここでは例として名古屋消費者信用問題研究会のフォーマットを紹介しています。大体2週間~1ヶ月ほどで取引履歴がオリックスから送られてきます。
http://kabarai.net/format/index.html

もちろん弁護士や司法書士に依頼した場合は取引履歴の取得の手続きも全て任せることができます。

【2】過払い金の計算(引き直し計算)をする

引き直し計算とは

引き直し計算とは取引履歴を元に正確な過払い金を計算することです。引き直し計算は通常パソコンを使い、エクセルや専門の計算ソフトを用いて行います。

以前は既に引き直し計算された取引履歴が送られてきましたが、オリックスの対応が少し変わり、最近は自身で計算しなければならない傾向にあります。

無料の引き直し計算ソフト紹介(名古屋式、外山式)

よく利用されているソフトとして外山式、名古屋式の2つが上げられます。
外山式・名古屋式はエクセルの試用が必須ですが、無料で利用することが出来るのが特徴です。また公式サイトではよくある質問などがまとめられています。

外山式(現:アドリテム司法書士法人)
http://www.vector.co.jp/soft/win95/business/se432123.html
名古屋式(名古屋消費者信用問題研究会)
http://www.kabarai.net/index.html

【3】オリックスへ過払い金返還請求書を送る

過払い金返還通知書の書き方

書き方などに厳密な規定はありませんが、ここでは名古屋消費者信用問題研究会のフォーマットを紹介します。過払い金返還通知書のフォーマットを以下のURLからダウンロードし、必要事項を記入します。
http://kabarai.net/format/index.html

内容証明郵便にて送付する

封筒(形式自由)1通と記載した過払い金返還通知書をコピーして合計3部、引き直し計算の表をプリントアウトして3部、そして内容を修正する際に必要な印鑑を持って郵便局へ行きます。内容証明郵便を扱わない郵便局もあるので、事前に調べておきましょう。

内容証明郵便の郵送には内容証明料430円、書留料430円、任意で配達証明料430円がかかります。また、請求書類が1枚増えるごとに260円の費用が追加されます。

【4】電話での話し合いによる交渉(和解交渉)

過払い金請求書を送付後、1ヶ月以内に担当者から連絡が来ます。そしてオリックスでは過払い金の6割~7割ほどを目安に和解の提案をしてきます。専門家に依頼していない場合、担当者もなんとか減額しようとします。根気と労力が必要となりますが、納得できなければとことん粘り、減額に応じない姿勢を維持しましょう。

やはり弁護士や司法書士に依頼した場合の一番のメリットはこの交渉です。経験豊富な専門家であれば貸金業者側の減額交渉にも慣れているので不当な減額を受け入れず、さらに依頼者の都合を考えた引き際も心得ています。弁護士に依頼した場合、過払い金の回収率はおよそ8割~9割に増加します。

この交渉で和解が成立しなかった場合は裁判を起こすことになります。

【5】過払い金返還請求訴訟の提起(裁判)

裁判に必要な書類

・訴状
・取引履歴
・引き直し計算書
・登記簿謄本
・証拠説明書(提出を求められない事も多い)

訴状と証拠説明書は以下のURLからフォーマットをダウンロードし、必要事項を記入します。

訴状:http://kabarai.net/format/index.html
証拠説明書:
http://how2-inc.com/in-overpaid-claims-yourself-1482/f3fdf6e67834255018b2b1dcf256ba89

登記簿謄本は法務局でオリックスの本店所在地を用紙に記入することで取得出来ます。その際費用として600円かかります。

裁判費用

裁判所から貸金業者に訴状を郵送する代金が6000円ほどかかります。
さらに返還請求額に応じて印紙代がかかります。具体的な金額は以下のURLを参考にして下さい。

http://www.courts.go.jp/vcms_lf/315004.pdf

訴訟の提起

提訴はオリックス本社の所在地である東京裁判所か、自身の住所を管轄する裁判所に行います。そして請求金額が140万円以下の場合は簡易裁判所に、140万円を超える場合は地方裁判所に提訴します。過払い金の利息は上記金額には含まないので注意が必要です。

訴訟を起こした後は月に1度ほど口頭弁論が行われます。裁判はだいたい平日の午前中に行われますが、事前に出席できる期日に設定しましょう。もちろん弁護士や司法書士に依頼すれば裁判も代理で行ってくれますし、自身が出席する必要もありません。

【6】過払い金額の和解交渉

大半は第2回口頭弁論までの間に担当者から連絡があり、さらなる和解交渉をすることとなります。ここで納得いく金額・日程の提示があれば、判決を待たずに裁判外で和解を成立させることも可能です。

【7】過払い金の返還

裁判での勝訴もしくは裁判外での和解がまとまれば、ようやく過払い金が返還されます。弁護士や司法書士事務所に依頼した場合、そこから報酬が引かれて事務所から振り込まれることになります。

過払い金の返還請求で特に難しいのは担当者との交渉です。弁護士や司法書士に依頼せず交渉する場合はどうしても訴訟に及び腰となり、担当者の不当な減額交渉に応じがちです。

さらにオリックスとの訴訟は、主張や反論をしっかりと行わなければならない可能性があります。訴訟期間も長引く傾向にあるため、自分で行う余裕がなかったり難しいと感じた場合は無理をせず途中からでも、ぜひ弁護士や司法書士などの専門家に相談しましょう。

オリックスの会社概要

商号:オリックス・クレジット株式会社
本社所在地:〒190-8528 東京都立川市曙町二丁目22番20号 立川センタービル
問い合わせ:0120-68-7000