借金の返済が難しく悩んでいませんか?ただ、貸金業者からお金を借りている場合、総量規制の適用を受けるため借入できる限度額が決まっています。
そのため、総量規制の対象から外れる銀行カードローンなどで新たな借入ができないか考えている方もいるかもしれません。
この記事では、
- 総量規制の内容
- 総量規制の対象になる借入と対象外になる借入
- 銀行カードローンでの借入の状況
などについて解説します。
借金の返済が苦しくて悩んでいる方に向けて、その解決方法についても解説するので、借金から解放される方法もわかります。ぜひ最後まで読んでみて下さい。
総量規制の制度により年収3分の1以上の借入ができない
平成22年の貸金業法改正により総量規制と呼ばれる法律が施行されました。総量規制の制度は、借金の返済に苦しむ多重債務者を防止するためにできた制度です。
総量規制の主な内容は、以下の通りです。
- 消費者金融、信販会社、クレジットカード会社など貸金業者からの借入が対象
- 借金額を年収の3分の1までに制限する
- 収入証明書の提出義務化
順番に解説します。
総量規制は貸金業者での借入に適用される
総量規制は貸金業者での借入に適用される法律です。
貸金業者とは、国や都道府県から貸金業者として登録を受け、お金を貸す業務を行っている会社です。
- 消費者金融
- クレジットカード会社
- 信販会社
では、総量規制では、どのような制度が定められたのでしょうか?
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借入額を年収の3分の1までに制限する
総量規制の対象である貸金業者からお金を借りる場合は、貸金業法第13条の2により借金額が年収の3分の1までに制限されました。
第十三条の二 貸金業者は、貸付けの契約を締結しようとする場合において、前条第一項の規定による調査により、当該貸付けの契約が個人過剰貸付契約その他顧客等の返済能力を超える貸付けの契約と認められるときは、当該貸付けの契約を締結してはならない。
2 前項に規定する「個人過剰貸付契約」とは、個人顧客を相手方とする貸付けに係る契約(住宅資金貸付契約その他の内閣府令で定める契約(以下「住宅資金貸付契約等」という。)及び極度方式貸付けに係る契約を除く。)で、当該貸付けに係る契約を締結することにより、当該個人顧客に係る個人顧客合算額(住宅資金貸付契約等に係る貸付けの残高を除く。)が当該個人顧客に係る基準額(その年間の給与及びこれに類する定期的な収入の金額として内閣府令で定めるものを合算した額に三分の一を乗じて得た額をいう。次条第五項において同じ。)を超えることとなるもの(当該個人顧客の利益の保護に支障を生ずることがない契約として内閣府令で定めるものを除く。)をいう。
(引用元:貸金業法第13条の2|e-Gov)
貸金業者からお金を借りる場合、すでに他社から借りている金額と新たに借り入れを行う金額の合計が年収の3分の1を超えてはなりません。
年収 | 借り入れが可能な金額 |
---|---|
600万円 | 200万円 |
300万円 | 100万円 |
150万円 | 50万円 |
年収の3分の1を超える金額を貸した貸金業者は、業務指導や営業停止処分を受けることになります。
そのため貸金業登録業者で年収の3分の1を超える金額を貸す貸金業者は存在しません。また、お金を借りた債務者には罰則がありません。
実は、総量規制の制度ができる前は、貸金業者がお金を貸す上限額について定めている法律がありませんでした。
そのため、多重債務者が増加し、社会問題になった背景があります。
収入証明書の提出が義務化
総量規制では、借入額が一定の金額を超える場合、収入証明書の提出が義務化されました。
ただ、すべての借入で収入証明書の提出が必要になるのではなく、以下のケースで収入証明書の提出が求められます。
- 1社からの借入額が50万円を超える場合
- 複数社から100万円を超えた借金がある場合
収入証明書とは、所得や収入がわかる書類です。会社員の方の場合、源泉徴収票や給与明細書があれば証明になります。
会社員やパート・アルバイトなど | ・源泉徴収票 ・給与明細書 |
---|---|
自営業者や不動産収入がある・複数の所得がある | ・確定申告書 ・課税証明書 ・納税通知書 |
年金をもらっている | ・年金証書 ・年金通知書 |
収入証明書は、一度に50万円を超える借金をする場合や他社からの借金が100万円を超えている場合に提出するものです。
そのため、他社からの借入がなく借入額が50万円に満たない場合など、収入証明書を出さなくてもよいこともあります。
このように総量規制の誕生により、多くの金額を借入れする場合や複数の貸金業からの借り入れがある場合の審査が厳しくなりました。
総量規制の対象になる貸金業者でお金を借りた場合の計算方法
総量規制施行後は、年収の3分の1を超える借金ができなくなりました。
ただ、他社からの借金がある場合では、どのように計算をすればよいのかわからない方もいるのではないでしょうか?
そこでどのようなケースなら年収の3分の1の範囲内で、逆に年収の3分の1を超えるのはどのようなケースなのか解説します。
借入額が年収の3分の1を超えていなければ借入が可能
他社からの借入がなく、借入希望額が年収の3分の1を超えていなければ、借入が可能です。
たとえば、年収が750万円の場合は、250万円までの借入が可能になります。そのため、借入を行う際には、自分の年収についても把握しておく必要があります。
当然のことですが、自分の年収の3分の1を超える金額を借入希望額にしても、審査に落ちてしまいます。
借入額が年収の3分の1未満でも、希望借入額が総量規制に触れると借入ができない
他社からの借入額が年収の3分の1を超えていないケースでも、希望借入額を借りた場合に年収の3分の1を超えることがあります。
このようなケースでは、他社からの借入額と希望借入額を足した結果が年収の3分の1に収まらなければなりません。
たとえば、年収300万円の方が他社から50万円の借金をしているケースで考えてみましょう。
年収300万円の方が借りられる金額は、3分の1にあたる100万円までです。すでに他の業者から50万円を借りているので、新たに借入ができる金額は50万円です。
100万円ー50万円=50万円
つまり、借入希望額を50万円までにすれば、借入の審査に通る可能性があります。しかし、間違えて借入希望額を60万円と書いてしまった場合は、100%審査に落ちます。
なぜなら、他社からの借金と借入希望額を足すと110万円になるため、年収の3分の1にあたる100万円を超えてしまうからです。
このように総量規制の制限は1社のみの金額ではなく、すべての借金の合計額が年収の3分の1を超えてはなりません。
他社からの借入をしている場合は、いくら借りられるのか事前に計算する必要があります。
年収の3分の1に近い借入はできないことがほとんど
総量規制の制度上、年収の3分の1までを限度に借入ができます。
しかし、実際には年収の3分の1をぎりぎり超えない金額を借りようとしても、審査に落ちることがほとんどです。
なぜなら、年収の3分の1に近い金額の借入をする方がいれば、審査の担当者は資金状況に余裕がないと考えらるからです。また、貸金業者の審査では、他社からの借入件数が多いほど審査に通りません。
そのため、借入額だけでなく他社からの借入件数が原因で借入ができない可能性があります。
ただし、返済能力や信用状況次第で、希望の金額よりも低い金額で審査に通ることはあります。
総量規制の対象外になる借入とは?
すべての借金が総量規制の対象に含まれるわけではありません。
日本貸金業協会のホームページによると、以下の貸し付けは総量規制から除外されます。
除外された貸付けを利用して借金をした場合は、借入額は借入残高に含まれません。
①不動産購入のための貸付け(いわゆる住宅ローン)
②自動車購入時の自動車担保貸付け(いわゆる自動車ローン)
③高額療養費の貸付け
④有価証券を担保とする貸付け
⑤不動産(個人顧客または担保提供者の居宅などを除く)を担保とする貸付け
⑥売却予定不動産の売却代金により返済される貸付け
総量規制の除外貸付けのうち代表的なものは、銀行からの借入です。
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銀行からの借入
銀行からの借入は総量規制の対象外です。
なぜなら、総量規制は貸金業法で定められた規定であり、銀行での借入には銀行法が適用されるからです。
たとえば、銀行で取り扱われている以下の借入は総量規制の対象から外れます。
- 住宅ローンや車のローン
- 銀行カードローンも対象外
住宅ローンや車のローン
多くの銀行で取り扱われている住宅ローンや車のローンは総量規制の対象外です。
住宅ローンや車のローンの借入額が高額にもかかわらず契約を結べるのは、貸金業法が適用されないからです。
総量規制は貸金業者からお金を借りる場合に適用されます。
銀行カードローンも総量規制の対象外
銀行が取り扱う銀行カードローンも総量規制の対象外です。貸金業者で総量規制が導入された当初、総量規制の対象外である銀行カードローンの申し込みが増加したほどです。
クレジットカードのショッピング枠の金額は対象外
貸金業者の提供する商品のなかにも総量規制の対象から外れるものがあります。
たとえば、クレジットカード会社のショッピング枠です。クレジットカード会社は貸金業者ですが、キャッシング枠は総量規制の制限を受けます。
しかし、ショッピング枠の金額は貸金業者の総量規制の対象から外されます。
というのも、クレジットカードのショッピング枠を利用した際に毎月入金しているお金はは借金ではなく手数料です。
ただ、ショッピング枠については、割賦販売法の総量規制が適用されます。クレジットカード会社のショッピング枠の総量規制は、包括支払い可能見込額をもとに決められます。
(年収ー生活維持費)×0.9=「包括支払い可能見込額」
そのため、クレジットカードに申し込むを行う場合は、包括支払い可能見込額を超えるような借入額を希望しないようにしましょう。
総量規制の例外貸し付けなら、貸金業者からも年収の3分の1を超える借入が可能
総量規制が適用される貸金業者でも、例外貸付に該当する場合は年収の3分の1を超える借入が可能です。
たとえば以下のようなケースが例外貸付に該当します。
- おまとめローン
- 債務者や親族が緊急に必要な医療費
- 配偶者の年収の3分の1を超えない場合
おまとめローンが認められる理由は、顧客に一方的に有利となる借り換えだからです。
また、病気や怪我をして緊急に医療費が必要になった場合の借入も年収の3分の1を超える借入ができます。
そして、配偶者貸し付け制度を提供している貸金業者であれば、専業主婦が配偶者の年収の3分の1を超えない範囲で借入が可能です。
ただし、配偶者貸付制度を利用する場合は、必ず配偶者の同意が必要です。また配偶者貸し付けを取り扱っていない貸金業者もあるので、事前に確認をしましょう。
このようにすべての借入に対して総量規制が対象になるわけではありません。
あくまでも貸金業法が適用される貸金業者が規制の対象です。
総量規制の対象外になる銀行カードローンを利用する際の注意点
銀行カードローンに適用される法律は銀行法のため、総量規制の対象外です。
しかし、銀行カードローンの利用は、総量規制の法律が施行された頃と比較すると、審査が厳しくなりつつあります。
- 即日での融資を受けられない
- 総量規制の対象外だが、年収の3分の1を超える借入は難しい
- 継続的に安定した収入がなければ、銀行カードローンでの借入もできない
- 借金の返済が厳しい状態で新たな借入を行えば、自分の首をしめることにつながる
具体的にどのような点で審査が厳しくなったのか解説します。
即日での融資を受けられない
銀行カードローンの借入は即日融資に対応できなくなりました。即日融資を行わなくなった理由は、銀行カードローンの利用者が急激に増え、社会問題に発展したからです。
そのため、融資を受けられるのは最短でも翌日です。
総量規制の対象外でも、年収の3分の1を超える借入は難しい
銀行カードローンは総量規制の対象外ですが、年収の3分の1を超える借入が難しくなっています。
なぜなら、総量規制の影響を受けた債務者が銀行カードローンを利用するようになったからです。
その結果、日本弁護士連合会や金融庁から批判を受けました。
さらに、地方銀行や大手銀行に対して、金融庁が立入検査を行うなどの動きもあったため、全国銀行協会が「銀行による消費者向け貸付けに係る申し合わせ」を出す事態に発展しました。
その後、多くの銀行は借入額の制限を従来年収の2分の1にしていましたが、年収の3分の1に引き上げざるを得なくなります。
そのため、銀行カードローンは総量規制の対象外ではあるものの、以前のように年収の3分の1を超えるお金を借りるのは難しくなったのです。
継続的に安定した収入がなければ、銀行カードローンでの借入もできない
銀行カードローンでお金を借りる場合も、審査では継続的に安定した収入があることが求められます。
また、個人信用情報機関の情報を見るため、他社からの借入件数や借入金額が多い場合は、審査に落ちる可能性も高いです。
借金の返済が厳しい状況で新たな借入を行えば、自分の首をしめることにつながる
消費者金融やクレジットカード会社などからお金を借りたものの、毎月の返済が苦しくてお金を借りたいと思っていませんか?
銀行カードローンは貸金業者とは違い総量規制の対象から外れるため、お金を借りたくなるのも無理はないかもしれません。
ただ、借金の返済が厳しい状態で新たな借入を行えば、返済の利息が更に増えるため、自分の首をしめることにつながります。
そのため、借金の返済が厳しいのであれば、借入額を増やすのではなく、別の方法を考える必要があります。
では、どのような方法があるのでしょうか?
借金の返済が難しいなら債務整理や過払い金請求を検討する
借金の返済が難しい場合は、まずなぜ返済が難しいのか探る必要があります。
返済が難しい理由によって解決方法は異なります。
借金の負担を減らす方法 | 手続きを検討してもよい方 |
---|---|
任意整理 | ・毎月の返済額が多くて困っている ・利息の負担をどうにか減らしたい |
個人再生 | ・借金額が多すぎて困っている ・借金額は減らしたいけど自宅を処分したくない |
自己破産 | 借金額が多いので返済できる見込みがない |
過払い金請求 | ・返済を長期間続けているにもかかわらず、返済額が一向に減らない ・過去に年利15%〜20%を超える金利で借金をした |
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毎月の返済負担が重いのであれば任意整理を行う
毎月の返済金額が多すぎて負担がかかる場合は、任意整理を検討しましょう。任意整理を行えば、借金の返済期間を3年〜5年に延ばせます。
また、最後に返済をした日からの利息や遅延損害金などもカットできるかもしれません。貸金業者との交渉が必要ですが、検討の余地はあります。
任意整理を行う場合は弁護士への依頼をおすすめします。自分で手続きをしようとした場合、ほとんどの貸金業者は交渉に応じてくれないからです。
借金額を減らしたいのであれば、個人再生や自己破産を行う
借金額を減らしたいのであれば、個人再生や自己破産を考えた方がよいかもしれません。
個人再生 | 借金額を大幅に減らせる(一般的には借金額が5分の1になる) |
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自己破産 | 借金返済の免除ができる |
個人再生を行えば、借金を大幅に減らせる可能性が高いです。ただし、一部の借金については3年〜5年かけて返済を続けなくてはなりません。
一方で自己破産は借金返済が免除されます。しかし、自宅や20万円を超える財産があれば、処分する必要があります。
またどちらの手続きも裁判所を通した手続きが必要です。そのため、手続きに手間がかかり、費用も高い点には注意しましょう。
長期間借金の返済を行っているのであれば、過払い金請求ができる可能性がある
借金の返済が長期間に及んでいるケースでは、過払い金が発生しているかもしれません。過払い金は、過去に年利15%〜20%を超える金利でお金を借りたことがある場合に発生します。
貸金業者が年15%〜20%を超える金利でお金を貸していたのは、平成19年頃までです。取引期間が長ければ過払い金も多くなるため、借金の完済ができるほどの過払い金が発生している可能性もあります。
もし、貸金業者との取引期間が長い場合は、一度弁護士への相談をおすすめします。
借金の負担が重いなら、弁護士に相談するのがおすすめ
借金の負担が重い場合は、弁護士に相談するのがおすすめです。
債務整理や過払い金請求の相談をすれば、
- 必要書類の準備
- 債権者との交渉
- 裁判の代行
などさまざまな業務を行います。
一方で、自分で手続きを行った場合、手続きの負担が重いです。また債権者や裁判所とのやりとりもすべて自分で行わなければならないため、精神的な疲労もたまります。
また、司法書士は、さまざまな手続きを行いますが、簡易裁判所での業務しかできません。
そのため、地方裁判所での手続きが必要な個人再生や自己破産を行う場合、弁護士一択です。
さらに、司法書士は過払い金請求を行う場合、債務額が140万円を超える場合も業務ができません。以上のことから弁護士への依頼をおすすめします。
おわりに
総量規制はすべての借入に適用されるわけではありません。そのため、年収の3分の1を超える借入ができることもあります。
ただし、銀行カードローンでの借入審査は年々厳しくなっているため、年収の3分の1を超える借入は難しいです。
借金の返済に悩んでいるのあれば、債務整理や過払い金請求を行うことをおすすめします。新たに借り入れをしなくても借金の負担を減らすことが可能です。