本来借りたお金は返済する義務がありますが、利息を必要以上に返済していた場合取り戻すことが可能です。過払い金とはこの払い過ぎていた利息のことを意味しています。
過払い金の有無や返還の請求自体はご自身で行うことも可能ですが、訴訟になることもあり、法律家へ依頼をすることが一般的です。では、弁護士に依頼をする場合にはどんな費用が発生するのでしょうか。
弁護士は過払い金の請求はどうやって行うの?
弁護士に過払いの請求を依頼すると、一体どのような方法で返還請求行うのでしょうか。この項では過払い金請求のしくみについて解説します。
弁護士による過払い金請求の4つの流れ
①法律相談を経て受任する
まずは弁護士に過払い金について法律相談を行います。弁護士は過去の借金や現在の状況について細かくヒアリングし、受任をするかどうか判断します。過払い金発生の条件に該当しない場合は法律相談のみで終了します。
過払い金について調査を行う際に、既に過去の貸金業者が倒産している場合もあります。この場合は請求が出来ませんので、法律相談のみで終了します。過払い金に関しては多数の弁護士が相談無料で受けています。
②受任通知を送付し取引履歴を取得する
受任に至った場合、弁護士はまず過去の借金について取引履歴の開示を請求します。貸金業者にもよりますが数週間から1か月程度で開示されることが一般的です。
③引き直し計算を行う
取引履歴が開示されたら、利息制限法の上限金利を使った引き直し計算と呼ばれる計算を行います。この計算により、実際に払い過ぎていた過払い金がいくらなのか判明します。
④任意交渉や訴訟提起を行う
過払い金があることが判明したら、貸金業側に通知を行い返還請求を開始します。任意交渉で返済を求める方法もありますが、相手方が譲歩しない場合には訴訟提起を行うこともあります。
過払い金があることが判明しても全ての請求が成功するわけではありません。相手方の経営が既に難航しており、訴訟をしても回収が見込めない場合はこの時点で調査を打ち切ることもあります。
過払い金の発生条件をおさらいしよう
過払い金の発生については、弁護士や司法書士への相談を行うことで調査を行ってもらえます。しかし、発生条件についてはご自身でも把握しておくと良いでしょう。
過払い金はグレーゾーン金利があった時代に遡ります。2010年6月の出資法改正以降は過払い金の発生はないと言えるでしょう。出資法の改正は過払い金を是正するために行われたからです。
2006年1月の最高裁判所判決により過払い金の是正が決定的となったため、大手の消費者金融やクレジットカードは2006年半ば以降から順次契約の見直しも行っています。
加えて、過払い金に関しては時効が成立していることも良くあります。時効は借金の完済後や最終取引から10年と決められています。10年放置してしまうと時効が成立してしまうので、過払い金があっても請求できません。
過払い金請求における弁護士費用とは?相場や費用のしくみを解説
弁護士がに過払い金について受任をすると、紹介したような流れで請求を行います。では、こうした一連の弁護士の仕事にはどのような費用が発生するのでしょうか。相場や費用のしくみを解説します。
過払い金請求における弁護士費用のしくみと相場/h3>
弁護士に仕事を依頼する場合、様々な名目の費用が発生します。この項では、過払い金請求における弁護士費用の細やかなしくみと相場について詳しく解説します。
①法律相談料
弁護士に法律のアドバイスを求める場合、まずは相談を行うところから始まります。ここで発生する費用は「法律相談料」と呼ばれています。一般的に30分5,000円(税別)で設定されていますが、無料の法律事務所もあります。
過払い金や債務整理に関しては、各弁護士会や自治体などで定期的に無料相談会も実施しています。こうした機会を生かして過払い金の回収に成功する方もたくさんいます。
②着手金
弁護士が過払い金請求に関して受任をしたら、依頼者に「着手金」を請求します。着手金とは調査など、事件を着手する際に必要な経費を事前に請求するものです。取引履歴の開示費用代などに着手金を使用しています。
着手金は法律事務所ごとに仕組みが大きく異なっています。分割払いに応じているところもあれば、不要とする場合もあります。相場としては1社あたり数万程度が多く、2~5万の範囲内です。
③報酬金
弁護士が過払い金請求に成功をしたら、報酬金を支払うことになります。こちらは弁護士会の規定に準じる形が基本ですが、難易度が高い訴訟によって回収に成功した場合は高額になることもあります。基本的な相場は回収した金額の20%程度です。
訴訟による回収の成功は25%の範囲内で請求する弁護士が一般的です。報酬金に不安がある場合には、多くの弁護士が費用説明に使用している下記の日本弁護士連合会ルールをご一読ください。
日本弁護士連合会 債務整理の弁護士報酬のルールについてhttps://www.nichibenren.or.jp/legal_advice/cost/legal_aid/saimuseiri.html
④実費
この他に、訴訟に発展した場合には裁判所に納める印紙代や郵券代等も「実費」として請求します。また、裁判所に出向く際の交通費や日当が別途生じることもあります。
弁護士費用はどのようなタイミングで支払うの?
過払い金の請求を検討する方は、現状においても借金に悩んでいる人が多い傾向があります。そこで、気になるのは弁護士費用を支払うタイミングでしょう。ではいつどのように弁護士費用は支払うのでしょうか。
法律相談料は相談毎に支払いを行います。着手金は弁護士に事件を依頼する段階が基本ですが、分割払に応じる法律事務所もあります。また、実費や報酬金は過払い金の回収時にまとめて清算を行うことが一般的です。
現在お手元に弁護士への費用が準備できない場合、相談を躊躇っていると時効が成立してしまう場合があります。弁護士費用に関しては柔軟に対応する法律事務所も多いので、まずは相談は開始することが大切です。
弁護士費用を安く抑えて、過払い金請求を依頼するコツはある?
過払い金を弁護士に依頼する場合、安く費用を抑えて依頼する方法はあるのでしょうか。この項では費用を抑えるコツについてご紹介します。
1.まずは法律相談無料の弁護士へ相談する/h3>
多くの法律事務所では、過払い金に関する法律相談に関しては無料で応じています。まずは過払い金に関する疑問や過去の借入に関して無料で相談をしてみましょう
費用に関する疑問は多くの依頼者が抱えています。そこで、弁護士は初回相談時に一般的な弁護士費用についても説明を行っています。ざっくりと費用がどの程度になるのか、一人一人に合わせて解説しています。
弁護士への依頼に関する費用は事務所ごとに異なっています。初回相談を複数の箇所で受けて、自分に合った予算を確認することもおすすめです。また、弁護士との相性も確認すると良いでしょう。
2.着手金の有無や分割払いを確認する
過払い金の請求に関して、法律事務所によっては着手金を求めない事務所もあります。着手金がない場合はその分依頼者の負担は少なくなるので、依頼費の削減につながります。
着手金がある法律事務所の場合でも、分割払いが可能な事務所もあります。この場合も依頼者にとっては負担が少ないのでメリットがあるでしょう。また、報酬金が入ってから清算が可能な法律事務所もあります。
3.報酬金が低い法律事務所を探す
法律事務所によっては弁護士の報酬金を低く設定しているところもあります。報酬金が少ないと、その分回収できた過払い金を多くもらえるので、メリットが大きいでしょう。
報酬金は先に紹介のとおり、弁護士会のルールに沿って請求することが多く、あまり法律事務所ごとの差異はありません。しかし初回相談などを活用して報酬金が低い法律事務所を探ってみることもおすすめです。
4.法テラスを活用する
弁護士費用全般を安く抑える方法として、法テラスも1つの方法です。しかし、法テラスは収入が大きい方は使用できない等細かい要件があります。使用の際には事前に資力要件のクリアが必要です。
法テラスは複雑な書類作成や審査を求めます。そのため法律事務所によっては法テラスを使用せずに法テラス基準で過払い金を受任している場合があります。気になる法律事務所がある場合は、法テラスの費用と比べてみるようにしましょう。
過払い金の請求は、実績豊富な弁護士へ依頼しよう
この記事では弁護士に過払い金の請求を依頼する際の費用について解説しました。安く抑えるコツもありますが、大切なことは実績豊富な弁護士に依頼し回収を成功させることです。
過払い金の回収については司法書士も対応しており、一般的に弁護士よりも費用が安く対応できます。しかし、訴訟時には訴額の制限(140万・簡易裁判所の範囲内)があります。
過払い金は発生してからすでに時間が経過しており、時効が回収の行く手を阻んでしまうことが頻繁に起きています。まずは早急に法律相談を開始し、過払い金の回収を目指しましょう。