過払い金

過払い金は過払い金請求の裁判をして取り戻すこともできます

貸金業者から入手した取引履歴(いつ幾ら借り、いつ幾ら返したかを時系列でまとめた一覧表)を利息制限法に従って再計算した結果、過払い金があることが判明したときは、貸金業者から過払い金を取り戻すことになります。とはいえ、貸金業者と交渉をすることはほとんどなく、通常はすぐに裁判をすることになります。

裁判前の担当者には裁判後の担当者より小さい交渉権限しかない

弁護士・司法書士が貸金業者に依頼を受けた旨を通知すると、大抵の貸金業者は担当者を付けます。担当者は、通常、取引履歴の開示担当、裁判前の過払い金交渉担当、裁判後の過払い金交渉担当の1名ずつです。

弁護士・司法書士が裁判をせずに過払い金の返還交渉をすると、裁判前の過払い金交渉担当者と交渉することになります。ところが、裁判前の交渉担当者には、通常、裁判後の交渉担当者よりも小さい交渉権限しか与えられていません。

したがって、裁判後の和解の方が、裁判前の和解よりも一般的に取り戻すことができる過払い金の金額は多くなります。

法廷で面倒な言い訳をする貸金業者は、裁判前の任意交渉ではもっと面倒な言い訳をしてくる

裁判をすると、1か月に1回、裁判期日が開かれます。裁判官は事件が無駄に滞留することを非常に嫌います。そのため、裁判官は、双方に対し、次の裁判期日までにやるべき宿題を出し、事件を強力に進行させようとします。

過払い金請求でもっとも重要なのは、初回取引以降の全ての取引履歴を貸金業者に開示させることです。取引履歴がなければ再計算することができませんし、一部の取引履歴しか開示されなければ未開示期間分の過払い金の金額が減るからです。

別の言い方をすれば、全ての取引履歴が開示されたのであれば、過払い金請求者の側でやるべきことはもう何もありません。1回目の裁判期日ですぐに裁判を終わらせ、判決を求めても一向に構わないのです。

そのため、貸金業者が何も争わなければ、訴状を提出して判決が出るまで2~3か月程度しか掛かりません(なお、判決が出れば、大抵の貸金業者はすぐに支払ってくれます)。

つまり、裁判が長引くのは、貸金業者がさまざまな言い訳をして争ってくるからにほかなりません。裁判になっても観念せず、裁判官の面前でさまざまな言い訳をして争ってくるわけですから、そのような貸金業者と裁判前に和解交渉しても無駄な言い争いをすることになるだけで、和解がまとまるはずがありません。

したがって、いきなり裁判をした方が、裁判前に和解交渉するよりも一般的に解決までに掛かる時間は短くなります。

裁判費用は貸金業者に払わせれば良い

たしかに、裁判をすると裁判費用が掛かります。とはいえ、裁判費用といっても、印紙代、切手代、貸金業者の登記簿代程度です。印紙代は過払い金の金額が増えるにつれて多額になりますが、切手代と登記簿代は、裁判所によって若干の違いはあるものの7000円から8000円程度です。

過払い金の金額からすれば大した金額ではありませんし、大抵の貸金業者は、過払い金の金額に上乗せする和解を法廷で求めれば、拒否したところで判決が出て強制執行を受けるだけですので、大抵は素直に上乗せに応じます。

心配なのは、裁判をするとその分だけ弁護士・司法書士の費用が上乗せされるかどうかでしょう。しかし、そもそも、弁護士・司法書士が裁判をするのは、裁判をした方が、弁護士・司法書士費用を支払ってもなお依頼者の手取りの金額が増えると考えるからです。

依頼者の手取りの金額ではなく、自らの報酬のために裁判にする弁護士・司法書士がいたとしたら、それはいわゆる悪徳弁護士・司法書士にほかならず、悪徳弁護士・司法書士に引っかからないためにはどうしたらよいかという別の話になります。したがって、弁護士・司法書士費用を心配して裁判をしないのは全くのナンセンスです。

自分でやったらどうなのか

一言で言えば、とても大変です。まずは、全ての貸金業者からすべての取引履歴を送ってもらわなければなりません。これだけでも一苦労です。なかには過払い金を少なく見せかけるため、一部の取引履歴を隠したり、途中から開示したり、昔の物は捨てたと嘘をつく貸金業者もいます。正直な貸金業者など存在しないと思った方が良いです。

苦労してすべての取引履歴を集めることができたとしても、利息制限法に基づく再計算をし、過払い金が幾らかを確定させる必要があります。再計算と言っても、簡単にできるものではありません。たとえば、会社は同じでも複数のブランドと取引があったらどうするかとか、契約書を何度も書き換えていたときはどうするかとか、キャッシングの1回払と分割払があったときにどうするかとか、その他にもさまざまなケースに応じた計算方法を勉強しなければなりませんし、勉強しなければならないことにすら気付かないまま不利な(過払い金が少なくなるような)計算方法で再計算をしてしまう可能性の方が高いかもしれません。

ようやく再計算が終わり、過払い金の金額が確定したとしても、貸金業者と交渉しなければなりませんし、交渉が決裂すれば裁判をしなければなりません。交渉するのも裁判するのも、平日の午前9時から午後5時までの間です。裁判になれば、毎月1回、裁判所に通わなければなりません。

これに対し、弁護士・司法書士に頼めば、これらの全てを任せることができます。しかも、素人が一生懸命やるよりも、極めて簡単により多額の過払い金を回収してくれるでしょう。

信頼できる弁護士・司法書士に任せるのが一番です

このように駆け足で説明してきましたが、もっとも簡単で良い結果を得るには、信頼できる弁護士・司法書士に依頼し、信頼してすべてを任せることだといえます。