借金

借金返済に遅れた場合の延滞金の計算方法は?借金問題解決の方法もご紹介

借金の返済に遅れた場合、延滞金が発生します。

延滞金を放置したままだと、返済時に大きな負担が発生し、余計に返済が苦しくなってしまいます。

返済ができないと、最悪の場合一括請求や差し押さえに発展し、生活に大きな影響が出てしまいます。

そこで、本記事では延滞金の仕組みや計算方法、延滞金を放置してしまった場合に生じることを詳しく解説します。また、借金問題を解決するための具体的方法もあわせてご紹介します。

借金には延滞金がある

借金の返済期間を過ぎても返済ができないでいると、延滞金が発生します。

ここでは、延滞金の発生条件や利息との関係について解説します。

延滞金が発生する条件

借金を延滞した場合の延滞金は、正確には「遅延損害金」と言います。

延滞金は返済日の翌日から発生すると法律上定められており、たとえ1日だけであっても返済が遅れた場合は支払う必要があります。

延滞金は本来返済する予定の金額に上乗せして支払う必要があります。延滞金の支払期日は、発生日の翌々月以降になることが一般的です。

利息と延滞金の関係

借金には元金の他に金利に応じて利息が発生しており、返済時は元金に利息を上乗せして返済しています。

利息と延滞金は似ていますが別の性質を持つため、両者が同時に発生することはなく、二重で支払う必要はありません。

利息は返済日までの期間中に借入金に対して発生するものですが、遅延損害金は返済期日を過ぎてから発生するという性質を持ちます。

利息と延滞金の発生期間は異なる

例えば、10月27日に利息5万円を付けて50万円を返済する約束であり、実際は11月1日に返済をしたとします。

この場合、借金をした50万円と利息5万円の返済に加えて、10月28日から11月1日までの延滞金もあわせて返済する必要があります。

このように、延滞期間が長いほど返済総額も増えてしまうため、うっかり延滞しないように注意が必要です。

延滞金が発生すると記録される

借金の返済期日に遅れた場合、消費者金融やカードローン会社、クレジットカード会社は延滞者の返済記録を取ります。

延滞日数やその後の対応、延滞回数などにもよりますが、延滞した貸金業者やそのグループ会社のサービスが一時的に利用できなくなることがあるため、注意しましょう。

延滞は日数が多いほど深刻度が高まります。

数日から1か月程度の返済の遅れであれば、延滞金は発生しますがブラックリスト掲載されることはありません。

しかし、2~3月程度借金の返済が遅れてしまうと、長期間滞納した事実が信用情報機関に登録されてしまい、一定期間金融事故の記録が残ります。

これがブラックリスト状態で、新たに借金をしたりクレジットカードを作ることが困難になります。

借金の長期滞納により金融事故が記録された場合、約5年間信用情報機関に記録が残ることが一般的です。

借金の延滞金はどのくらいかかるのか

借金の延滞金は上限があります。ここでは、延滞金の仕組みやどの程度の負担になるのかについて解説します。

延滞金の上限

延滞金(遅延損害金)には「遅延損害金利率」を用いて計算します。

利息制限法では遅延損害利率の年率の上限が定められています。借入をする際は契約書に割合が明記されているので、必ず確認しましょう。

金銭を目的とする消費貸借上の債務の不履行による賠償額の予定は、その賠償額の元本に対する割合が第一条に規定する率の一・四六倍を超えるときは、その超過部分について、無効とする。

(引用元:利息制限法4条1項|e-Gov

利息制限法では、利息の上限利率の1.46倍を延滞金の上限とすると明記されています。

利息と延滞金の上限額は金額ごとに次の表のようになります。

利息 延滞金
10万円以下 20% 29.2%
10万円~100万円 18% 26.28%
100万円以上 15% 21.9%

一方で、上記の利息制限法4条1項は消費者金融などから借りた借金には適用されません。そこで、利息制限法7条1項には別の規定があります。

第四条第一項の規定にかかわらず、営業的金銭消費貸借上の債務の不履行による賠償額の予定は、その賠償額の元本に対する割合が年二割を超えるときは、その超過部分について、無効とする。

(引用元:利息制限法7条|e-Gov

このように、消費者金融などで借金をした場合、延滞金の利率は最大で20%まで設定されることがあります。

そのため、消費者金融の多くは遅延損害金の利率を20%としており、この利率で計算しても問題ないでしょう。

また、消費者金融などでもし利率を超えた合意をしてしまったとしても、合意自体が無効とされるため、支払う義務はありません。

延滞金には支払い義務がある

延滞金は積み重なるほど返済金額が増えてしまいます。

借金の延滞金は法律上支払い義務が認められるため、例外を除いて支払いは免除されません。

借入当初の契約時には、借金の返済を滞納したときの対応が決められており、借金を滞納した日数に応じて延滞金を支払うことが合意されているからです。

そのため、借金を滞納して延滞金が膨らんだとしても、特別な手続きをしなければ支払いから逃れることはできません。

高額で支払いや家計の都合で支払いを免れることはできないのです。

延滞金の計算方法

借金を滞納している場合、延滞金の計算方法を知っておくと、自分がいくら延滞金を支払う必要があるかわかります。

延滞金は次の計算式で算出することができます。

延滞金(遅延損害金)=借入残高×遅延損害金利率÷365×延滞日数

遅延損害金の計算は利息の計算式と似ています。

延滞金は返済期日を過ぎてから発生します。

そのため、延滞金の計算には借入総額ではなく借入残高に延滞金の利率を乗じて金額を算出することになります。

銀行や消費者金融などの貸金業者の多くは、利息制限法に規定された延滞金の上限利率である20%で延滞金を計算します。

この条件を前提とし、借金100万円を30日間滞納した場合の計算をしてみましょう。

100万円×0.2(20%)×30日÷365日=1万6438円

このように、1か月間滞納しただけでも多くの延滞金が発生してしまいます。

延滞日数や借入額で負担は異なる

延滞金の計算式を見れば分かる通り、延滞金は借入残高と延滞日数が大きくなるほど高額になります。

一例として、上記の条件を変更し、借入残高が大きくなった場合と延滞日数が長くなった場合の延滞金を見てみましょう。

延滞日数 借入残高 延滞金
30日 100万円 100万円×0.2(20%)×30日÷365日=1万6438円
60日 100万円 100万円×0.2(20%)×60日÷365日=3万2876円
30日 200万円 200万円×0.2(20%)×30日÷365日=3万2876円

このように、延滞日数や借入残高が大きいほど延滞金は高額になるため、借入残高が高額な場合は特に延滞に注意が必要です。

延滞金を払わず滞納しつづけるとどうなるか

延滞金を支払わずにそのまま放置していると、

  • 督促状が届く
  • 内容証明郵便による催告状が届く
  • ブラックリストに載る
  • 貸金業者から一括請求される
  • 給料などの差し押さえが行われる

などのリスクが生じます。

督促状が届く

滞納が続くと、数日から1か月程度で貸金業者より督促状や電話が来ます。

初めのうちは滞納の事実があることや、いつ返済できるかの確認の意味合いが強いです。この時点でしっかり担当者に対応し返済予定を伝えれば、その後のリスクに繋がる心配はありません。

滞納への負い目を感じていたとしても、貸金業者からの電話や督促状には必ず応じるようにしましょう。

内容証明郵便による催告状が届く

督促状を無視し続けると、内容証明郵便によって催告状が届きます。

催告状の内容は、「これ以上滞納を続けると一括請求する」というものです。

この時点で貸金業者の催告に応じ、返済すれば一括請求されることを避けられます。

また貸金業者にもよりますが、催告に応じればブラックリストに掲載されることを避けられる場合もあります。

ブラックリストに載る

滞納から2~3か月が過ぎると、滞納の事実が信用情報機関に登録され、ブラックリスト状態になります。

ブラックリスト状態になると、借入やクレジットカードの新規作成ができなくなります。また、同一業者からの新たな借入もできなくなります。

貸金業者から一括請求される

ブラックリスト入りするタイミングとほぼ同じくして、貸金業者から一括請求がなされます。

一括請求とは、これまでの債務を一括して返済するように求める請求のことです。

借金の額が大きい場合、一括請求に応じて返済できる人はほとんどいません。この段階になってしまった場合、早めに弁護士に相談することをおすすめします。

給料などの差し押さえが行われる

貸金業者から届いた一括請求に応じられない場合、貸金業者は一括請求の準備をします。具体的には、裁判所に一括請求の手続きを申し立てます。

手続きが終わると、裁判所から差し押さえ予告通知が送付されます。

通知は受け取ってから2週間何もしないでいると、財産や給与が差し押さえられてしまいます。

給与の差し押さえは給与の4分の1が対象になり、債務残高が0になるまで差し押さえは続きます。ただし、給与の4分の3に該当する額が33万円を超えていた場合、33万円を超える分全額が差し押さえになります。

給与の差し押さえではボーナスや退職金も対象になり、差し押さえの事実は会社に知られることになります。

勤務先はの会社が差し押さえを理由に解雇することはできませんが、社内での信用を失うなど大きなリスクもあります。

延滞金の計算をして返せないとわかった場合

すでに借金の返済が滞っており、延滞金を計算した結果借金を返済できそうにないとわかった場合、借入先への相談や債務整理を検討しましょう。

返済ができそうにない場合、滞納前にあらかじめ貸金業者の担当者に相談しておくと大きなトラブルになりません。数日程度の返済の遅れであれば、事情を説明すれば待ってもらえる可能性があります。

また、借金を滞納してしまった場合もすぐに取引をしている貸金業者に連絡をし、事情を説明するようにしましょう。

返済の見込みがある場合は、いつまでに返済できるかを明確に伝えることも大切です。

もしも数日程度では返済の見込みがない場合は、他の方法を検討する必要があります。

最低弁済額を支払えば延滞金を支払わなくても良いケースも

「最低弁済額」とは、毎月必ず返済しなければならない最低限の返済額のことです。最低弁済額は現在の借入残高によって金額が異なります。

契約当初の返済額を支払えなくなっても、最低弁済額を支払えば延滞金が発生しない貸金業者も存在します。

ただし、最低弁済額の支払いはあくまで延滞金を支払わずに済ませるための一時的な対策にすぎず、元金を減らすことはできないので注意が必要です。

出費がたまたま重なるなどの事情によって一時的に返済ができず、その後は通常通り返済できる場合は、最低弁済金だけとりあえず支払うという方法が有効です。

借金滞納時にやってはいけないこと

借金を滞納しているとき、決してやってはいけないことがあります。

具体的には、

  • 督促や催告を無視する
  • 新たに借金をする
  • 闇金から借金する
  • 夜逃げする

などがあります。

督促や催告を無視する

督促や催告を無視し続けると最終的には一括請求、差し押さえにまで発展します。

そのため、利息や延滞金の負担が大きく返済が難しくなっていたとしても、貸金業者の連絡を無視してはいけません。

新たに借金をする

借金の返済ができなくなると、さらに借金を重ねて目先の返済を乗り切ろうとする人がいます。

しかし、このような自転車操業を続けていると、多重債務に陥り、さらに借金問題を深刻にしてしまう恐れがあります。

特に、慢性的に収入不足が続いている場合などは、家計そのものに問題があるため、さらに借金をしてしまうとその分の利息なども工面できず、事態が悪化してしまう恐れがあります。

常に返済に追われている状態であれば、新たに借金はせずに弁護士に相談するのがおすすめです。

闇金から借金をする

消費者金融や銀行カードローンなどから借金ができなくなると、違法な貸付を行っている闇金業者に手を出してしまう人がいます。

しかし、闇金業者は法外な高金利で貸付を行っており、すぐに高額の利息に苦しめられることになります。

また、闇金業者は借金を長期間借りさせて多額の利息を取ろうとしてきます。そのため、いつまでも返済が終わらないことも多々あります。

もし違法な闇金業者からお金を借りてしまっても、返済する義務はありません。

夜逃げする

滞納やそれに伴う延滞金などに苦しめられると、夜逃げをして借金の返済義務から逃れようとする人がいます。

しかし、夜逃げは根本的な解決にならないばかりか、ほとんどの場合その後の生活に深刻な影響を及ぼします。

実際に夜逃げで借金から逃れることは難しく、本人が元の住所からいなくなっただけでは借金の消滅時効は完成しません。借金の消滅時効は債権者が権利を行使しないことで成立しますが、貸金業者が何もせずに放置することは期待できません。

債権者である貸金業者は、債務者の居場所がわからなくても「公示送達」という手段で訴訟を起こすことができます。

債権者が法的措置に乗り出せば、借金の消滅時効が完成することを防げます。つまり、夜逃げをしても借金を帳消しにすることは困難なのです。

さらに、夜逃げの最中も延滞金は発生しているため、どんどん借金は増えていきます。住民票も変更できず保険証なども更新できないため、いざというときの医療も十分に受けることができないなど、生活上のリスクは図り知れません。

借金から逃れたくても、短絡的な思考で夜逃げを選択してはいけません。

借金問題は債務整理で解決できる

借金を滞納して延滞金の支払いも必要になってしまった場合、債務整理によって借金問題を根本的に解決できる可能性がありあます。

ここでは、任意整理、個人再生、自己破産についてそれぞれ解説します。

任意整理

任意整理は債務整理の中で比較的手続きが簡単でデメリットも小さいため、債務整理の中で最もハードルが低い手続きです。

任意整理では弁護士が借入先の業者と直接交渉をし、将来発生する利息をカットしてもらったり、毎月の返済額を見直してもらうことができます。

利息のカットや毎月の返済額の見直しだけで返済が継続できるのであれば、任意整理を選択するべきでしょう。

また、任意整理では貸金業者に延滞金も免除してもらうように交渉することができます。返済が滞って延滞金が大きな負担になっている場合は任意整理を検討する価値があるでしょう。

さらに、「過払い金」が見つかった場合は請求することができます。過払い金とは、本来支払う必要がないのに払ってしまったお金のことで、過払い金を取り戻せた場合その分の借金は減ります。

個人再生

個人再生は、借金の額に応じて大きく返済額を減額できる手続きで、裁判所を介して手続きが行われます。

個人再生では、借金の金額が大きいほど減額率が上がります。

例えば、借金が100万円以上500万円以下の場合の最低弁済額(最低返済しなければならない額)は100万円ですが、借金が1500万円超3000万円以下の場合は300万円となり、大きな減額が期待できます。

借金額 最低弁済額
100万円未満 全額
100万円〜500万円未満 100万円
500万円〜1500万円 借金額の5分の1
1500万円〜3000万円 300万円
3000万円〜5000万円 借金額の10分の1

このように、個人再生では借金が大きいほどメリットが大きくなります。任意整理では元金を減らすことはできませんが、個人再生では元金も含めて大きく負担を減らせるため、「そもそもの元金を返済できそうにない」という人には適した手続きです。

多額の借金を抱えて返済が難しい場合は、個人再生を検討しましょう。

自己破産

自己破産とは、所有する価値のある財産を処分することで借金をゼロにする法的手続きのことです。

債務整理の中でも最も効果が高く、返済が滞っている人や多額の借金を抱えて支払いができない人は、結果的に自己破産を選択するしかない場合もあります。

裁判所が発表している司法統計年報の「民事・行政事件数」では、平成30年度に地方裁判所が取り扱った自己破産件数は8万12件とされており、多くの人が自己破産を選択しています。

自己破産のメリットは、借金をゼロにできることです。これにより、借金問題を解消して生活再建に集中できます。また、自己破産の手続き開始後は、債権者は給料の差し押さえなどの強制執行もできなくなります。財産は処分されますが、最低限の現金や生活必需品は手元に残すことができます。

一方、自己破産のデメリットとしては、クレジットカードの新規発行や新たな借入が5~10年間できなくなることや、国の機関紙「官報」に事実が掲載されること、免責決定を受けるまで一部の職業に就けなくなることなどがあげられます。

自己破産のメリット 自己破産のデメリット
・借金がゼロになる
・差し押さえなどの強制執行をされない
・最低限の財産は手元に残せる
・借入などが5~10年間できなくなる
・官報に掲載される
・免責決定まで就けない職業がある

借金の延滞金が返せないときは弁護士に相談

借金の返済に困っていたり、延滞金が膨らんで返済が難しくなっている場合は、弁護士に相談してください。借金問題の経験豊富な弁護士であれば、適切なアドバイスができます。

借金の延滞金は債務整理でカット可能

借金の滞納が続き延滞金が膨らんでいる場合は、債務整理によって延滞金のカットを検討してみましょう。

延滞金や利息をカットするだけで借金を返済できる場合は、任意整理によって裁判所を介さずに手続きをすることが可能です。

また、滞納が続いている場合はそもそも元金だけでも返済が不可能になっているケースも少なくありません。

このような場合はより強力な効果を持つ個人再生や自己破産を選択することもできます。

まずは弁護士に相談し、適切な手続きを検討してください。

弁護士は督促を止めることができる

滞納や延滞金が発生している場合、貸金業者からの督促に悩まされている人が多いでしょう。

弁護士に債務整理を依頼すれば、手続きをした時点で貸金業者からの督促を止めることが可能です。督促を止めることで、借金の返済に向けた手続きに集中することが可能です。

毎日のように電話や手紙で督促が届くと、精神的に追い込まれて正常な判断ができないことがあります。また、放っておくと一括請求や差し押さえなどの大きなリスクが生じることになります。

まずは弁護士に相談し、返済に向けた適切な環境を整えることからはじめてみてください。

おわりに

借金には延滞金があり、返済日を過ぎた日からすぐに発生します。

延滞金は「借入残高×遅延損害金利率÷365×延滞日数」の計算式で算出することが可能です。延滞金は借入残高や延滞日数が増えるほど高額になります。

借金は滞納し続けると督促や催告が届くようになり、その後一括請求、差し押さえへと至ります。

借金の返済ができない場合は、借入先に相談をすれば数日間であれば待ってもらえる可能性があります。

また、最低弁済額を支払うことで、一時的に延滞金を発生させずに済むこともあります。

しかし、借金問題を根本的に解決するには、債務整理が有効です。債務整理であれば借金の利息や元金を減らすことができます。

弁護士法人きわみ事務所では、借金問題の経験豊富な弁護士が債務整理についてアドバイスすることが可能です。相談は無料で受け付けていますので、ぜひお問い合わせください。