借金

自己破産はどんな流れで手続きする?受任から免責許可の流れとは

自己破産の方法には、「同時廃止」と「管財事件」の2種類があります。裁判所によって必要書類や手続き方法に相違がありますが、基本的には破産管財人を要する管財事件の方が解決までの時間は長くなります。財産の調査や債権者への配当が発生するためです。

自己破産はいつでも誰でも出来るものではありません。過去7年以内に自己破産をしていないこと、返済出来ない状態であること等が条件です。司法書士や弁護士に相談の上で、自己破産が出来る場合には申立準備に入りましょう。

自己破産の基本的な流れとは

自己破産の流れはまず、司法書士や弁護士に法律相談をするところから始まります。現在の債務状況によっては自己破産以外の選択肢も考えられるので、まずは相談を重ねて方針を決めましょう。自己破産の流れは以下の通りです。

自己破産の申立~免責許可までの流れ

①司法書士・弁護士に相談

まずは借入の状況をまとめて、司法書士や弁護士に相談しましょう。司法書士の場合は書類の作成の代行や債務調査が可能です。財産が少ない同時廃止の自己破産の場合は司法書士の範囲で可能です。弁護士は破産申立や債権者集会への同行について受任できます。財産がある方や個人事業主の方が行う管財事件の場合は難解な手続きが多く、一般的に弁護士が受任しています。

②受任通知の発送

司法書士や弁護士に依頼すると、債権者に受任通知を発送します。受任通知を受けると債権者からの取り立てが止まり、連絡窓口は士業側へ移行します。ここからは返済もしなくてよくなります。自己破産の準備はここからがスタートです。

③申立準備

受任通知の発送後は自己破産の申立準備に入ります。必要書類の準備、財産の調査を行います。準備段階で申立の内容を同時廃止と管財事件のどちらにするか、方針を決めます。管財事件の場合は裁判所へ納めるための予納金を用意することになります。準備は最短でも3か月、最長で1年を超えるケースもあります。

④裁判所へ申立

準備が整ったら裁判所へ申立を行います。居住地を管轄している裁判所へ申立を行うことになります。管財事件の場合、申立後に裁判所が破産管財人を選任します。同時廃止の場合は裁判所が同時廃止が可能な案件か審査します。同時廃止で申立をしても裁判所が管財事件とするケースもあるので注意が必要です。破産手続が出来る、と裁判所がみなすと破産手続開始決定が下されます。同時廃止の場合はこの後に免責許可に向けて速やかに手続が進行します。

⑤管財事件の場合は調査・債権者集会・配当

管財事件の場合は破産管財人による調査、債権者集会の開催、配当の実施が行われます。財産が多く、配当に時間がかかるケースでは半年以上の時間を要することも一般的です。

⑥免責許可

同時廃止の場合は破産開始決定後、管財事件の場合は全ての管財人手続の終了後に免責許可が下されます。自己破産の流れは以上です。免責許可は自己破産の手続きの終わりを意味します。ここからが人生の再スタートです。

自己破産の手続きにかかる時間の目安とは

自己破産手続の流れは裁判所によって異なります。そのため、かかる時間には若干の差異があります。自己破産は準備期間にも時間を要することが多いので注意が必要です。ここでは一般的な自己破産に要する時間の目安について解説します。

自己破産の準備にかかる時間

自己破産は同時廃止、管財事件と2種類ありますが、どちらを選ぶにせよ申立には準備が必要です。債務状況の調査には3か月はかかります。同時廃止なら受任通知の発送後から申立まで最短3~4か月、一般的には半年程度とみておきましょう

管財事件の場合は申立を行う際まで、半年から1年を要します。管財事件はどの財産を手元に残し、どの財産を処分するか決める必要があるためです。土地や建物を所有している場合は登記簿の取得や財産としての価値を調べる必要があります。退職金や財形貯蓄なども調べる必要があり、時間を要します。全ての調査を終えてから、申立を行う流れです。

自己破産の申立後にかかる時間

自己破産は同時廃止の場合、申立後に開始決定を受けたら、速やかに免責許可に至る流れです。そのため、申立~免責許可までは順調に進めば3~4か月です。つまり、同時廃止は準備から解決まで最短半年、と理解しておきましょう。

一方の管財事件の場合、申立後に開始決定を受けたら、破産管財人による調査や配当が始まります。債権者集会の開催もあるため、申立~免責許可までは半年~1年です。つまり、管財事件の場合は準備から解決までは最短でも1年以上と理解しておきましょう。

自己破産後の信用情報の回復までの流れ

自己破産をする際には借金がなくなる代わりにブラックリストに登録されるデメリットがあります。しかし、登録はあくまでも一定期間に過ぎません。登録情報が抹消されれば、再び新規の借入も可能となり、社会的な信用も回復します。登録の流れ、回復の目安は次のとおりです。

信用情報機関の登録から抹消の流れ

信用情報機関は様々な金融機関が個人の借入状況などの情報を共有している機関です。返済遅延や債務整理の情報なども共有されています。日本には株式会社シー・アイ・シー(CIC)、株式会社日本信用情報機関(JICC)、全国銀行個人信用情報センター(KSC)の3つの機関があります。

弁護士や司法書士が自己破産を受任し、受任通知を発送した段階で信用情報機関に情報が登録されます。返済不能に陥った人、として登録されるので新たな借入はできなくなり、クレジットカードも使えなくなります。

自己破産後、信用情報機関の回復には5~10年かかります。消費者金融等の情報は5年を目安に回復し、銀行や信用組合などの情報は10年を目安に回復します。ブラックリストの情報は最長10年で回復するので、住宅ローンなども組める日がきます。

借金に悩んだら、司法書士や弁護士に相談を

自己破産は借金がなくなるという大きなメリットがありますが、申立準備から解決までは半年から1年を要します。しかし、事前に準備の流れを知っておけば、しっかりと準備を進めることができます。借金に悩んだら、まずは司法書士や弁護士に相談し、早期の解決を目指しましょう。