借金返済が苦しいときには債務整理手続きが有効な解決方法になりますが、債務整理の中でも自己破産や個人再生を利用すると、住所や氏名などが「官報」に掲載されます。
一般にはあまり耳慣れない「官報」ですが、これはどのようなもので、官報に氏名等が掲載されるとどのような影響があるのでしょうか。
今回は、債務整理した場合に氏名等の情報が載る「官報」について解説します。
官報とは
そもそも官報とはどのようなものなのでしょうか。
官報は、国が発行している、法律や政令、条約等の法令関係や、国による諸報告、資料等を公表するための機関誌です。国の規定にもとづきいろいろな公告も掲載しています。
官報は、「国の広報紙」としての役割を持っており、いわば国が発行する新聞のようなものです。その歴史は古く、明治16年7月2日創刊となっています。
債務整理したら官報に掲載されるの?
債務整理をした場合、手続きの種類によっては官報に氏名等の情報が掲載されることがあります。
具体的には、自己破産や個人再生手続きを利用すると、氏名等が官報掲載されます。
具体的に掲載される情報は、事件番号と住所氏名、決定があった日時や決定内容(主文の部分のみ)決定のあった日時と破産管財人の氏名(選任される場合)、債権届出等の期間と債権者集会などの期日の内容や開催場所、管轄の裁判所です。
任意整理や特定調停では官報掲載はありません。
官報にはいつ名前が載る?
自己破産や個人再生をすると、官報にはいつのタイミングで名前などの情報が載るのでしょうか。
まず、個人再生の場合には以下の3回情報が掲載されます。
1回目は再生手続開始決定のとき、2回目は書面による決議に付する旨の決定があったとき、3回目は再生計画の認可決定があったときです。
自己破産の場合は、以下の2回情報が掲載されます。
1回目は破産手続き開始決定のとき、2回目は免責許可決定があったときです。
掲載の具体的なタイミングは、上記の決定があってからだいたい2週間後に掲載が開始され、公告期間は約1ヶ月となります。
債務整理をして官報に載るとどうなるの?
自己破産や個人再生をして官報に氏名等が掲載されると、どのような影響があるのでしょうか。
官報掲載により、何か直接の不利益が及ぶことはありません。ただ、貸金業者などが官報を閲覧していることがあるので、自己破産後に自宅住所に借り入れの勧誘の連絡などが来ることがあります。
官報は誰でも見ることができるの?
官報によって債務整理したことがばれることがあるのか、官報を誰でも見ることができるのかどうかも気になります。
まず、官報は誰でも見ることが出来ます。ただ、実際に見ている人は相当少ないです。官報という言葉が一般的に耳慣れない言葉であることからもわかります。
よって、官報から周囲に債務整理の事実を知られる可能性について、ほとんど心配する必要はありません。
官報を見ている人は、たとえば債務者の情報を集めて金銭貸し付けの勧誘を行いたいと考えている貸金業者や、自己破産者の不動産などの財産売却を仲介してもうけようとしている不動産業者や古物取り扱い業者などです。
役所でも官報をとっているので、役所の人も見ることはあります。
官報はどこで見れるの?
官報を最も簡単に見る方法は、インターネット上で読むことです。また、図書館(すべてではありません)にも官報を置いていますし、官報の定期購読も可能です。
チェック
官報については一般の人はその存在すら知らないことが多く、一般人で詳しく官報をチェックしている人は非常に少ないです。ただ、先にも説明したように、官報に掲載されたことによって、闇金業者などの悪徳業者から融資を勧誘するためのダイレクトメールなどが自宅宛に送られてくる可能性はあります。くれぐれもこのような勧誘に乗って借り入れをしないように注意しましょう。
まとめ
債務整理手続きの中でも個人再生や自己破産をすると「官報」に氏名や住所、事件番号や決定内容などの情報が掲載されます。個人再生では3回、自己破産では2回官報公告の掲載があります。
官報は誰でも見ることができますが、実際に閲覧している一般人はほとんどいません。
官報を見たい場合にはインターネットを利用したり図書館を利用します。
官報に掲載されたとしても、一般の人はほとんど見ないので債務整理の事実がばれる心配はほとんどありませんが、悪質な貸金業者などが官報をチェックしていて、貸付の勧誘などをしてくる可能性がありますので、決して利用しないよう注意が必要です。