過払い金が見つかっても、過払い金請求すると家族に借金がバレてしまうのではないかと心配する人もいます。過去に借金をしていた、現在も家族に内緒で借金を返済している人にとっては、家族にバレずに請求できるのか気になるところです。
過払い金請求は自分ですることも可能ですが、様々なリスクがあり、家族にバレてしまう恐れがあります。家族にバレずに過払い金請求を行いたいなら、弁護士か司法書士に依頼することをおすすめします。
家族に内緒で過払い金請求はできる?
過払い金請求は家族に内緒で行うことができます。
まずは過払い金請求の仕組み、どうすれば内緒で請求できるのかについて知っておきましょう。
過払い金請求とは?
過払い金とは、高く設定されていた借金の金利を現在の利息制限法で定める金利に計算し直すことで見つかる、払いすぎたお金のことです。
過払い金請求とは、消費者金融などに払いすぎた過払い金を返還してもらうことをいいます。
2010年以前に貸金業者にお金を借りたことがある人、長期間借金の返済を続けている人は、過払い金が発生している可能性があり、過払い金請求によってお金を取り戻せるチャンスがあります。
弁護士に過払い金請求を依頼するときの流れは、以下の通りです。
- 弁護士への問い合わせ
- 面談
- 過払い金請求
- 業者からの過払い金の返還
過払い金は自分で請求することも可能ですが、弁護士や司法書士などに依頼した方がスピーディーで正確に手続きを進めることが可能です。
弁護士や司法書士への依頼は報酬が必要ですが、個人で請求するよりも取り戻す額が多くなる傾向にあり、結果的に手元に残るお金も増える可能性があります。
過払い金請求に要する期間は大体3か月から半年程度ですが、貸金業者との交渉が長引く場合は裁判に発展することもあります。裁判をした場合は、過払い金請求が6か月以上かかることもあります。
過払い金請求には貸金業者に対して取引履歴を開示してもらい、過払い金が発生していたかどうか、どのくらい発生していたかを計算します。計算は複雑なケースも多く、法律の知識が必要です。無理に自分ひとりで計算すると間違った金額が算出されたり、本当は請求できる金額を請求せずに損をしてしまう恐れがあります。過払い金に関する情報収集の段階から弁護士や司法書士に依頼すると安心です。
2010年以前の借金であれば過払い金が発生している場合がある
法改正が行われる2010年(平成22年)6月18日より前の借金については、過払い金が見つかる可能性があります。
しかし、実際は2007年前後から大手消費者金融などが金利を見直しています。
気を付けなければならない点は、貸金業者が経営不振により倒産している場合は、過払い金請求ができないことです。取引をした消費者金融やクレジットカード会社が倒産してしまうと過払い金請求はできないため、請求先の経営が悪化する前に請求する必要があります。
また倒産だけでなく、貸金業者の経営不振によって取り戻せるはずの過払い金が減ってしまったり、時間がかかる場合があります。疑問があれば早めに弁護士などに相談しましょう。
過払い請求は内緒で行うことが可能
過去の借金を家族に内緒にしている、周囲にも話していないということはよくあるケースです。
完済した借金であれば、せっかく内緒で返済し終えた借金なのに過払い金請求でバレたくない、という人もいるでしょう。
しかし、過払い金請求は弁護士や司法書士に依頼すれば、家族や職場、周囲の人にバレずに手続きをすることが可能です。
借金を返済中か完済したかに関わらず、周囲にバレずに過払い金請求はできますが、過払い金請求後の対応はそれぞれで異なります。自分の借金の状態に合わせて対処することが求められます。
家族に過払い金請求がバレる理由
家族に過払い金請求がバレるケースは、いくつかのパターンがあります。
ここでは、家族にバレる事例をご紹介します。
- 弁護士事務所などからの連絡や郵送物
- ローンやクレジットカードなどの審査
- 過払い金の振込先口座
弁護士事務所などからの連絡や郵送物
過払い金請求をする際は、弁護士事務所などと電話や書類でやり取りをします。そのため、借金をしている貸金業者から電話で連絡がかかってきたり、郵送物が届くことがあります。
貸金業者からの連絡が何度もある場合、借金をしていることが疑われることがあります。
例えば、家族が貸金業者からの電話を取ってしまったり、業者名で送られてくる郵送物を目にすると、勘づかれてしまうのです。
また、過払い金請求ははじめ交渉からスタートしますが、交渉で合意が得られない場合は裁判に発展します。裁判がスタートすると裁判所から郵送物が届くようになりますが、普段は裁判所名義で郵送物が届くことはまずないため、家族に見られると勘づかれてしまうのです。
弁護士に依頼すれば業者や裁判所との窓口になってくれますが、自分で過払い金請求を行う際には、書類の郵送先や連絡先を検討しなければなりません。
ローンやクレジットカードなどの審査
借金を返済している人が自分で過払い金請求を行う場合は、家族にバレるリスクが高まります。
過払い金請求では、過払い金よりも借金の残高の方が多い場合、債務整理の手続きをしたという扱いになり、信用情報に傷がつきます。いわゆる、ブラックリストに載せられた状態になるのです。
ブラックリストに載ると、各種ローンやクレジットカードの発行審査が通らなくなり、家族に知られると疑問を持たれる恐れがあるのです。
ブラックリストに載るかは、過払い金請求の前に借金の状況や過払い金の発生額を確認することで確かめることができます。
しかし、過払い金の計算は複雑で法律知識も必要なため、なれない人が自分で計算すると計算を誤ったまま請求してしまい、ブラックリストに載ってしまうことがあるのです。
過払い金は請求するのに10年という時効がありますが、最後の返済から10年経っていなければ請求権は消滅していません。
過払い金の振込先口座
過払い金の手続きでは請求時だけでなく、返還時にバレるリスクもあります。
過払い金の返還は自分が指定した銀行口座に振り込まれますが、まとまったお金が一度に入金されるため、銀行口座の残高を見られて家族に不審に思われますリスクもあるのです。
また入金時にはバレなくても、銀行通帳などから後々バレてしまうということも考えられます。家族と中身を共有している口座など、普段から使っている口座を振込先として指定する際には注意が必要です。
家族に内緒で過払い金請求するには
家族に内緒で過払い金請求をする際は、
- 郵便物は自宅で受け取らない
- 連絡はメールや時間指定の電話にしてもらう
- 過払い金の入金口座は普段とは別の口座を指定する
などの対策を行いましょう。
郵便物は自宅で受け取らない
過払い金請求を弁護士に依頼しすれば、貸金業者と連絡窓口はすべてを事務所が引き受けてくれます。そのため、貸金業者から直接電話で連絡が来たり、郵送物が自宅に届いたりするとはなく、家族に知られることなく過払い金の請求を進めることができます。
また、借金の返済中に弁護士や司法書士に手続きを依頼すると、窓口が事務所に変わることで貸金業者からの督促がなくなり、返済を一時的にストップすることができます。過払い金請求を弁護士や司法書士に依頼することは、借金返済中で貸金業者からの督促に悩まされている人にとって大きなメリットがあるのです。
連絡はメールや時間指定の電話にしてもらう
弁護士との連絡手段はあらかじめリスクのない手段で行うように決めておくと、家族にバレる心配を減らすことができます。弁護士に相談する際に「家族にはバレたくない」と伝えれば、様々な対処をしてくれます。
例えば、連絡手段をメールに限定する、家の電話には特定の時間にのみ連絡する、携帯電話にしか連絡をしないなど、できるだけ詳細な連絡手段を決めておきましょう。
また、郵送物も事務所ではなく個人名義で郵送してもらうなどすれば、家族が郵送物を目にした際にも不審に思われるリスクは減らせます。
過払い金の入金口座は普段とは別の口座を指定する
過払い金請求をした後、交渉の合意や判決を経て貸金業者から過払い金の返還が行われます。返金は手渡しでお金を受け取ることはできず、指定の口座に入金されます。
弁護士や司法書士に過払い金請求を依頼すると、本人が持つ口座ではなく事務所の口座に入金してもらうことも可能です。家族が口座を把握している場合、突然高額な入金があれば不審に思われますが、事務所を窓口にすれば口座の残高から家族にバレることはなくなります。
また、個人でも新たに過払い金返還用の口座を開設したり、普段使っていない口座や家族に知られていない口座を指定することで、バレるリスクを減らすことができます。アナログの通帳に記帳しないことでもリスクを減らせるでしょう。
過払い金請求の注意点
ここでは、過払い金請求をする際に知っておきたい注意点を以下2つに分けて解説します。
- 過払い金請求の時効
- 借金返済中の過払い金請求
過払い金請求の時効
過払い金請求は、最後に借金を借入た日、返済をした日から10年経過すると、時効が成立して請求する権利が消滅してしまいます。
例えば、2000年以前から借入をしていても、最後に返済した日が2000年10月1日だった場合、2010年10月1日が時効だったということになります。
ただし、借入と完済を複数繰り返している場合、その取引が一連のものと見なされるか別々の取引と見なされるかによって過払い金の時効は変わってきます。
貸金業者との取引が複数回ある場合は、いつ時効になるか判断が難しいこともあるため、弁護士に相談することをおすすめします。
時効が成立すると、過払い金を取り戻せなくなってしまいます。自分で判断することは難しいことも多いため、過払い金が取り戻せなくなってしまう前に弁護士や司法書士まで相談するのがいいでしょう。
借金返済中の過払い金請求
過払い金で借金残高がゼロにならなかった場合は、ブラックリストに載ってしまいます。ブラックリストに載ると約5年間は借入やクレジットカードの発行、ローンの契約ができなくなります。
ブラックリストに載りたくない場合は、過払い金の額がいくらか、借金総額はいくらかを正確に把握し、過払い金で借金残高をゼロにできるか確認してから請求をするべきです。
家族に内緒で借金を減らせる方法
過払い金請求以外にも借金を減らす方法はあります。
ここでは、利息をカットして返済の負担を減らせる任意整理という方法について解説していきます。
任意整理で借金を減らす
任意整理は、借金の返済総額を減らす「債務整理」の方法のひとつです。任意整理は、裁判所を介さずに貸金業者と直接交渉を行い、将来発生する利息をカットしたり、3~5年で無理なく返済できるようにします。
実際の手続きは弁護士が行い、貸金業者に対して金利のカットや毎月の返済額の見直しなどの和解案を提出することになります。
任意整理で提示する和解案では、通常3年の返済期間が設定されますが、貸金業者の合意が得られれば最長で5年での返済も可能です。
任意整理は弁護士に依頼すれば、家族にバレずに手続きを行うことができます。裁判所を介さない手続きのため準備もそれほど時間がかからず、生活への影響を最小限にしながら借金の整理ができるのです。
任意整理の手続きには過払い金請求も含まれる
任意整理は、将来の利息をカットしたり、返済金額を見直します。
借金がいくらあるか調べる際に過払い金が発生しているかも調べ、過払い金が見つかれば貸金業者に対して請求を行うことになります。つまり、任意整理では、過払い金の調査も借金の整理方法のひとつとして実施されるのです。
任意整理では、過払い金請求によって返還される金額を残りの借金に充当することになります。これにより借金の元本を減らすことができます。
また、過払い金の方が借金残高よりも大きかった場合は、借金も完済することができるのです。余った分の過払い金は口座に振り込まれることになります。
任意整理のメリット・デメリット
借金を返済中に過払い金請求をする人は、現在の利息を返済できずに困っていることが多いため、任意整理で利息がカットできれば返済も楽になります。
任意整理を進める中で過払い金があれば借金の元本を減らすことができ、過払い金が発生しない場合でも金利のカットや返済期間の見直しなどによって月々の返済を見直すことができます。
また、任意整理の手続きを行うと、依頼した弁護士が貸金業者と交渉し、郵送や電話の督促を止めてくれます。借金の返済が滞っている場合や、督促に悩まされている場合でも落ち着いて手続きに集中することができます。
ほかにも、裁判所を介さないために手続きが比較的簡単であったり、家族にバレずに進められるなど、借金に悩む人にはメリットが大きい手続きです。
一方、任意整理のデメリットは、手続きをするとブラックリストに載ってしまうことです。ブラックリストに載ると、約5年間クレジットカードの発行やローンの契約が難しくなります。
過払い金請求は弁護士への依頼がおすすめ
過払い金請求は個人で行うこともできますが、複雑な計算や手続きがあります。
また、個人で行うと取り戻せる過払い金が少なくなることもあるので、はじめから弁護士に依頼することをおすすめします。
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過払い金請求の流れ
過払い金請求を弁護士に依頼した場合、以下のような流れで手続きが進みます。
- 弁護士に相談する
- 貸金業者に取引履歴を開示請求する
- 取引履歴をもとに過払い金を算出する
- 業者と交渉する
- 交渉が成立しなければ訴訟へ
まず、過払い金があるかどうかを把握する必要があります。過払い金請求の実績がある弁護士に相談すれば、借金の状況などから過払い金があるかどうか知ることができます。
過去もしくは、現在取引をしている貸金業者に対して取引履歴の開示請求を行います。この段階で業者から督促を受けていた場合、督促が止まります。
次に、弁護士が取引履歴をもとに過払い金の額を算出します。計算は、これまでに支払った過去の利息を現在の利息制限法に基づき再計算するというものです。
過払い金の額がわかったら、弁護士は業者に対して過払い金返還請求書を送付して交渉を行います。
交渉によって双方が金額に納得すれば和解が成立し、過払い金が返還されることになります。
しかし、交渉で全ての過払い金が返還されることはあまり期待できません。早めに過払い金を返還してほしい場合は、この段階で合意することもあります。
お互いが条件について合意できない場合、過払い金返還訴訟を裁判所に提起することになります。
過払い金返還訴訟では、裁判所で1か月に1回程度双方が主張をします。裁判所は双方の言い分を聞いて和解に向けて検討をしますが、ここでも和解しない場合は、裁判所が判決を下すことになります。
判決で過払い金の返還額が決定すれば、過払い金が返還されます。
過払い金請求を自分で行うリスク
過払い金の計算は複雑になることがあります。特に時効の問題は個人で判断できないことが多々あり、空白期間があったり、借入と返済を繰り返していると、どの過払い金が時効でどの過払い金が請求できるか正確に判断することは困難です。
間違った計算や間違った時効の認識をしてしまうと、本来取り戻せるはずの過払い金を見逃してしまうリスクがあります。
反対に、過払い金で借金が返済できると思っていても、実際は借金をゼロにできず、ブラックリスト入りしてしまうというリスクもあります。
法律などの専門的な知識が必要になるため、弁護士に依頼することをおすすめします。
弁護士に依頼したほうが多くのお金を取り戻せる
過払い金請求の実績ないと、過払い金の返還を貸金業者との交渉しても、相手に有利な条件で話が進んでしまう恐れがあります。この場合、当然本来取り戻せるはずの金額が取り戻せなくなり、損をする可能性もあります。
弁護士に依頼すると一定の費用はかかりますが、過払い金がそれ以上に多く取り戻せるのであれば、費用対効果はあります。
過払い金請求の経験豊富な弁護士であれば、相談は無料で受け付けていることも多いため、まずは相談してみましょう。
また、弁護士と司法書士には扱える金額や業務範囲の差があるため、依頼する際には注意が必要です。
司法書士は、個別の債権である借金や過払い金が140万円までの相談、交渉、訴訟は可能ですが、140万円を超える業務はできません。
一方、弁護士であれば140万円を超えてもすべての相談、交渉、訴訟に対応できます。過払い金が140万円を超えると考えられる場合は、はじめから弁護士に相談すると安心です。
おわりに
過払い金請求は家族に内緒で行うことができますが、郵送物や電話の連絡、口座への返還金の入金でバレてしまうケースもあるため、細心の注意が必要です。
対策としては、弁護士事務所に窓口になってもらい、貸金業者や裁判所との連絡窓口になってもらうこと、事務所との連絡手段をあらかじめ共有しておくことなどが具体的にあげられます。
また、過払い金請求には、時効に注意する必要があります。過払い金は最後の返済や取引から10年が経過すると請求する権利を失ってしまうため、過払い金があると思ったら早めに手続きをすることが必要です。
借金の返済中に過払い金請求をした場合も注意が必要です。
過払い金を取り戻しても借金がゼロにならない場合、ブラックリストに載ってしまいます。ブラックリストに載ると、新たな借入などが難しくなります。過払い金の額や借金総額を正確に把握することが重要です。