借りたお金は返さないといけませんが、何らかの理由によりそれができなくなってしまうこともあるでしょう。
こうした借金問題の解消法には債務整理をはじめ、いくつかの方法があります。
本記事では、こうした借金問題の解消法をお伝えすると共に、状況別の対処法や債務整理の種類と向いている人などご紹介します。
借金問題を解決する方法
借金に関して問題を抱えている場合、どのような解決法があるのでしょうか?
ここでは、借金問題を解決する方法についてご紹介していきたいと思います。
まずは状況整理しよう
まずは借金に関する状況を整理しましょう。
具体的には、借金の総額と毎月の返済額を調べたうえで、実際に毎月返済していける額はいくらなのか、毎月いくら不足しているのかを把握するようにします。
借金問題を解決する方法にはいくつかの方法がありますが、自己破産など後々の生活に制限が掛かってしまうケースもあります。
借金の状況によってどの方法を選べばよいか把握するために、最初に状況整理をしておくことが大切です。
身内を頼る
借金問題を解決する方法として、最初に考えたいのが身内を頼るという方法です。
ご両親にお金を借りて借金を完済できるようであれば、それが一番でしょう。
個人信用情報に傷をつけなくてすみますし、借金を返済していくにしても、大きな利息負担なく返済できます。
場合によってや友人・知人を頼ることも考えられますが、その場合はお互いの人間関係を考慮して慎重に検討することをおすすめします。
おまとめローンを利用する
複数の借入があり、返済額が大きくなってしまっているという場合にはおまとめローンの利用を検討するのも一つの方法です。
例えば、100万円の借入と200万円の借入を別々にしているのであれば、それらをおまとめローンでまとめて300万円の借入とできます。
ローンは返済期間が長いほど返済額を少なくできるため、より返済期間を長くできるローンにすると効果が高いでしょう。
なお、住宅ローンの返済に困っている場合には住み替えローンの利用を検討するのもおすすめです。
住み替えローンでは、家を売却して新居を購入する場合に、新居を担保にローンを組むことで元の住宅ローンの残債についても借入できます。
例えば、住宅ローンの残債が1,000万円あるケースで、家を売却して500万円にしかならない場合には、差額の500万円を現金で用意できないとそもそも売却できません。
しかし、住み替えローンであれば、1,500万円の住宅を購入するのに不足分の500万円を加算して2,000万円で借りるといったことが可能です。
住宅ローンの返済に困っていて完済もできないという場合におすすめだといえるでしょう。
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時効の援用を利用する
一般的なローンであれば5年間の時効が定められています。
5年間経過してから時効の援用を申し立てれば借金の返済が免除される可能性があります。
ただし、期間中に裁判を起こされるなど時効の中断となる行為が実施された場合、その時点からまた5年間は時効の援用を利用することはできなくなります。
大手の金融機関から借り入れたお金であれば、基本的には時効の援用はできないと考えた方がよいでしょう。
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債務整理をする
最後にご紹介するのが、債務整理する方法です。
債務整理することで、返済を免除されたり、リスケといって返済額の調整を行なうことが可能になります。
債務整理にはいくつかの種類があるため、どの方法がよいのかについては弁護士に相談することをおすすめします。
返せない借金があるときにやってはいけないこと
何らかの理由で借金を返せなくなってしまうことがあります。
ここでは、そうしたときにやってはいけないことについてご紹介していきます。
借金を返すために借金する
まずは借金を返すために借金するということです。
例えば、100万円の借金があり毎月5万円返済しており、毎月5万円返済するために、新たに50万円借金するケースを考えてみましょう。
金利や借入期間について考慮せず単純に計算すると、50万円借金したことで毎月5万円の返済資金は確保できるかもしれませんが、借金の総額は150万円に、毎月返済額は7.5万円に増えることになります。
毎月の返済が厳しい中、借金を返すために借金をしてしまうと一時的に問題を解決できたとしても根本的な解決には至りません。
そのため、数カ月後にはまた借金に苦しむことになる可能性が高いでしょう。
ヤミ金に手を出してしまう
借金を返すためにヤミ金に手を出してしまうのは絶対にやめましょう。
ヤミ金の金利は非常に高く、近い将来同じく借金に困ってしまう可能性が非常に高くなってしまいます。さらに、ヤミ金の場合返済できなかったときの督促も悪質です。
万が一ヤミ金にお金を借りてしまった場合には、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談することをおすすめします。
借金を放置する
借金を返済できなかったからといって放置しても何も解決しません。むしろ、遅延損害金により借金が増えてしまう可能性があります。
また、借金を放置すると最終的には給与や財産の差し押さえにつながってしまうでしょう。
返済できない借金があるときは、債務整理を検討するなどできるだけ早い段階で行動を起こすことが大切です。
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返せない借金を放置した場合の流れ
借金を返せないからといって放置してしまった場合、どうなるのでしょうか?
以下で、借金を放置した場合の流れを見ていきたいと思います。
滞納の通知
借金の返済ができずに放置すると、金融機関から電話や郵送で滞納の通知がきます。
この段階では、まだ返済を忘れている可能性もありすぐに対処することで差し押さえなどに進むことはありません。
ただし、金融機関によってはこの段階で滞納に関する情報が個人信用情報に登録されてしまうことがある点に注意が必要です。
返済の督促
滞納の通知をしても債務者から返済のアクションがない場合には、電話や郵送で返済の督促がなされます。
金融機関側も本格的にこの後の法的手続きについて検討しはじめます。
一括請求
返済の督促がきても放置していると、債務者は「期限の利益」を喪失して債権者である金融機関から一括請求を求められます。
例えば、200万円の借入をしており毎月10万円の返済をしているのであれば、債務者は期限の利益により毎月10万円返済していればよかったのですが、返済を滞納したことにより契約違反となり、200万円一括で返済しなければならなくなるのです。
多くの場合、一括請求されても返済できません。そのため、一括請求がなされる前に返済するよう行動しなければなりません。
取り立て
電話やメールにより取り立てが行なわれます。
金融機関が直接行うこともありますが、サービサー(債権回収会社)に債権が売却されているケースもあります。
この場合、執拗な取り立てがなされることもあるようです。
ここまで放置する前に弁護士に相談するなどして、借金問題を解消しておくことが大切です。
給料や財産の差し押さえ
最終的には債権者により裁判所への申立てがなされ、給料や財産の差し押さえがなされます。
給料の差し押さえの上限額は以下のように定められています。
- 給料の4分の1まで
- 給料が33万円以上のときは超過分
例えば、給料が30万円の場合は差し押さえ額の上限は7.5万円となります。一方、給料が100万円ある場合は、33万円を超える67万円が差し押さえの対象です。
また、自己所有の不動産など財産がある場合も差し押さえの対象となります。
【状況別】借金問題の解決方法
借金問題の解決法にはいくつかの方法がありますが、借金を作った理由によっては選択できない方法もあります。
ここでは、状況別に借金問題の解決方法をお伝えしていきます。
投資やギャンブル
FXなどの投資やパチンコなどのギャンブルが原因で借金を作ってしまった場合、債務整理の中でも自己破産については認められないケースがあります。
とはいえ、投資やギャンブルが借金理由の場合は絶対に自己破産できないというわけではありません。
確かに借金の理由が投資やギャンブルによる割合が大きい場合は自己破産できない事由に該当することもありますが、明らかに反省している様子が見て取れれば裁判官により破産が認められることも多くなっています。
消費者金融
消費者金融で借りたお金は、法改正前の高金利でお金を借りていた場合、超過分について過払い金請求できる可能性があります。
一気に100万円以上返済額を圧縮できるケースもあるため、まずは弁護士に相談するとよいでしょう。
ポイントは、平成22年の法改正前から借りているローンかどうかという点です。
クレジットカード
クレジットカードには買い物の際に利用するショッピング枠とお金を借りるキャッシング枠がありますが、キャッシング枠は消費者金融と同様、過払い金請求できる可能性があります。
キャッシング枠の返済に困っている場合は消費者金融と同様、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
銀行
銀行からの借入は、消費者金融のように高金利で借りていることは考えにくいです。
返済を延滞してそれを放置している場合、口座の凍結や給料の差し押さえの可能性があるためできるだけ早い段階で借金問題を解消することが求められます。
ヤミ金
ヤミ金からお金を借りてしまうと法外な金利を請求されたり、悪質な取り立てをなされたりします。
そもそも法律で定められた金利を守られておらず、取り立ても債務者が嫌がることを徹底して実施し、お金を回収しようとするでしょう。
ヤミ金から借りたお金は返さなくてもよいこととなっています。
そもそもヤミ金とは関わらないようにすることが大切ですが、万が一ヤミ金からお金を借りてしまった場合にはすぐに弁護士に相談することが大切です。
債務整理の4つの種類とそれぞれに向いている人
借金問題の解消法として債務整理があります。
ここでは債務整理の4つの種類について、それぞれの特徴と向いている人をお伝えします。
債務整理とは借金の法的な解決法の総称のことで、主な種類は以下の4つがあります。
- 任意整理
- 特定調停
- 個人再生
- 自己破産
それぞれ詳しく見ていきましょう。
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任意整理
任意整理とは、裁判外で弁護士が債務者と交渉して返済状況の見直しなど行なう方法です。裁判外の行為のため、他の債務整理と比べて柔軟な対応が可能となっています。
通常は最低限の生活が送れるよう返済条件を変更してもらうよう交渉しますが、法的な強制力はありません。
任意整理を実施すると信用情報機関に事故情報が記載されてしまいますが、官報公告などがない点はメリットだといえるでしょう。
特定調停
特定調停とは裁判所が債務者と債権者の間に入って話し合いを進めるもので、以下のような調整が行なわれます。
- 利息や損害金の減額や免除
- 返済期間の猶予や変更
- 返済額の一部免除
任意整理と同じく、特定調停を実施しても官報に公告されることはありません。
また複数の債務がある場合、その内の一部だけ選ぶといったことが可能です。そのため、マイカーローンや住宅ローンを対象から除外することで、自動車や住宅を残したまま返済を続けることができます。
個人再生
個人再生とは個人民事再生のことで、債務の一部を免除したうえで残りを分割払いで支払っていくといった手続です。
任意整理と異なり、裁判を起こして手続きを進めていくため法的な強制力がありますが、官報に公告されてしまいます。
一方で債務の免除を受けられるのにも関わらず、自己破産のように実施後に資格が制限されませんし、財産の処分についても必須とはなっていません。
特に住宅ローンの返済で困っている場合には住宅資金特別条項を利用することで、住宅ローンの残債がある状態で自宅を処分せずに債務を整理できるという特徴があります。
自己破産
自己破産とは、裁判手続により債務者の財産を処分しその金銭を債権者に公平に分配した後、債務者の借金が免責されます。
財産を処分するといっても、生活必需品については免除可能です。
ただし、官報公告される、公的な資格を使った仕事ができなくなるなどのデメリットがあります。
借金を免除されるという大きなメリットがありますが、4つの債務整理の中で実施後の制限が一番大きい方法だといえるでしょう。
それぞれの手続きに向いている人はどんな人?
それぞれ4つの債務整理にどんな人が向いているのでしょうか?
4つの債務整理に向いている人を詳しくご説明します。
任意整理が向いている人
任意整理は裁判外の交渉で返済額を調整するという特性から、収入が一定程度あり返済額を調整することで自分で返済していけるという方におすすめです。
任意整理の場合は、官報公告がないため家族や職場、知人に債務整理したことが知られません。
また、債務整理を実施すると連帯保証人に一括請求を求められることがありますが、任意整理の場合はこの影響を最小限に抑えられます。
複数の借金がある場合に、特定の借金だけ任意整理するといったことが可能だからです。
特定調停が向いている人
特定調停は利息や損害金を調整することはできますが、元本を免責してもらうことはできません。このため、少なくとも元本は自分で返済していけるだけの収入がある方に向いているといえます。
特定調停と任意整理は似た特徴がありますが、任意整理は裁判所を介さずに行ない、特定調停は裁判所が間に立って行います。
そのため、特定調停を行なうには平日日中に裁判所に足を運ぶ必要があります(もちろん、弁護士や司法書士に手続を代行して貰うことは可能です)。
任意整理より特定調停の方が高い効果を見込める場合で、手間や時間をかけてよいという方には特定調停がおすすめだといえるでしょう。
個人再生が向いている人
個人再生は住宅資金特別条項の存在が大きく、住宅ローンの返済中で家を残したまま債務の一部を免除してもらいたいという方におすすめです。
また、自己破産には投資やギャンブルなど免責不許可事由がありますが、個人再生にはありません。投資やギャンブルで作った借金の免責を受けたいという場合にも候補になるでしょう。
ただし、一般的に自己破産より個人再生の方が条件が厳しくなっています。
自己破産が向いている人
借金の額が大きく、任意整理や個人再生しても借金を返済していけないという方には自己破産がおすすめです。
自己破産をすると自宅や自動車などの財産は処分されてしまいます。財産を処分されてでも借金の免責を受けたいという方は自己破産を選ぶとよいでしょう。
処分される財産を保有していないという方にはよりおすすめだといえます。
返していない借金を債務整理するメリット・デメリット
返していない借金を債務整理するメリット・デメリットを解説します。
借金を債務整理するメリット
借金を債務整理するメリットとしては以下のようなことが挙げられます。
- 一定期間経過後は再度ローン組むことができる
- 借金に追われなくなる
- 早く立ち直ることができる
それぞれ見ていきましょう。
一定期間経過後は再度ローン組むことができる
債務整理を実施すると信用情報機関に事故情報が登録されてしまうため、任意整理や特定調停の場合で5年程度、個人再生や自己破産の場合で10年程新しくローンを借りられなくなります。
一方で、5~10年経過後は、信用情報機関から事故情報が抹消され、新しくローンを組むことが可能です。
借金を返せなくて困っている場合には、できるだけ早い段階で債務整理を実施することで再度ローンを組むことができるようになるのも早くなります。
借金に追われなくなる
借金を延滞すると督促や取り立てを受けることになりますが、任意整理や特定調停、個人再生することで毎月返済できるようになったり、自己破産することで借金を免除してもらったりすれば、それ以降は借金に追われなくて済みます。
「いつかよくなる」と考えてだらだらと先延ばしするより早い段階で対処したほうがいいでしょう。
早く立ち直ることができる
債務整理を実施することで借金問題を解消し早く立ち直ることができます。
借金を返済できなくなり放置していると、そのことが頭を離れなくなる方は多いでしょう。取り立てによる心理的負担も大きいです。
借金の返済額が大きく自分の収入では返済していくことが難しいと感じるのであれば、できるだけ早いタイミングで債務整理を検討することをおすすめします。
借金を債務整理するデメリット
借金を債務整理するデメリットには、以下のようなものがあります。
- 官報に公告される
- 財産を処分される
- 法的制限を受ける
それぞれ見ていきましょう。
官報に公告される
債務整理のうち、個人再生や自己破産を選ぶと官報に公告されます。
そのため、債務整理したことが家族や職場に知られてしまう可能性があるでしょう。
どうしても家族や職場に知られたくないというのであれば、任意整理や特定調停による借金問題の解決を目指すことをおすすめします。
財産を処分される
債務整理の中でも自己破産を選択すると、自動車や自宅など財産を処分されることになります。生活必需品などは除外されるとはいえ、財産を処分されることに抵抗を感じる方は多いでしょう。
返済能力があるかにもよりますが、まずは任意整理や個人再生を利用できないか検討することをおすすめします。
特に個人再生については、住宅支援特別条項を利用することにより、住宅を処分することなく債務の一部の免責を受けることが可能です。
法的制限を受ける
自己破産をすると、弁護士や税理士など公的な資格を持った仕事ができなくなります。
公的な資格を使った仕事に従事している方は、債務整理する場合でも個人再生や特定調停、任意整理で返済していくことができないか再度検討するとよいでしょう。
おわりに
借金は返済できないまま放置すると、最終的には給料や財産の差し押さえにあってしまいます。借金の解消法にもいろいろな方法があるため、返済できないと感じた段階で、できるだけ早く弁護士など専門家に相談することが大切だといえます。