借金

合法的借金減額のススメ! 〜債務整理は怖くない〜

借金の額が増えてしまったり、返せるはずだった金利が重くなってきたり、返済が追い付かなくなり焦っている人は少なくありません。

そんな人に知って欲しいのが「借金は合法的に減らせる」ということです。

弁護士に依頼することで、状況に合わせて支払額を減らしたり、借金全てを免除にすることもできます。ただしそれらには条件があり、当然ながらデメリットもあります。

この記事では「借金減額の仕組み」について説明していきます。

3つの借金減額の仕組み

債務整理

借金を合法的に減らすには、3つの方法があります。その中で最も代表的な物が「債務整理」。

文字通り債務(借金)を整理することで、「任意整理」「個人再生」「自己破産」に大別されます。

任意整理

債権者と交渉し、返済可能な額まで借金を減額してもらう手続きです。

裁判所を介さないため書類が簡便で、人に知られるリスクも低いですが、信用情報機関の事故情報には登録されます。また、安定収入があることが絶対条件となります。

個人再生

裁判所に債務の減額を申し立て、3年~最長5年で元本を完済した後は、残額が免除となる手続きです。

任意整理と比べて減額の幅は大きくなりますが、安定した収入があることや、債務の総額が5,000万円を超えないなど様々な条件があります。

事故情報、官報ともに記載されますが、マイホームのローンは継続できます。

自己破産

裁判所に破産申し立てを行い、全ての借金を免除してもらう手続きです。

破産法による「支払い不能」と判断された場合にのみ認められます。

債務者が所有する規定額以上の資産と現金は没収され、事故情報、官報ともに記載されます。

なお、保証人が存在する場合は、自己破産と同時に債務の支払い義務が保証人に移行します。

過払い金請求

借金そのものの減額ではなく、既に返済した金利の「払い過ぎた分」を取り戻すのが過払い金請求です。2020年現在、「利息制限法」により金利上限は15~20%と定められています。

しかし、貸金業法が改正される2010年6月までは、上限金利は「出資法」で29.2%と決められていました。

この利息制限法と出資法の金利差は、民事上無効でありながら刑事罰に科せられない「「グレーゾーン金利」と呼ばれ、金融業者の中にはこれを利用して高金利を取り続けていた会社がありました。

そのため、法改正前から借り入れをしていた人の中には、気づかずにこのグレーゾーン金利を支払い続けていたケースがあります。

これが「過払い金」と言われるもので、本来は支払う必要のなかったお金です。

過払い金請求はこれを貸金業者に返還請求するものであり、まずは自分が該当するか確認する必要があります。

もしも借り入れを始めたのが2010年6月以前であれば、過払い金が発生しているかもしれません。

返還率や返金までの期間は業者によって異なりますので、返還請求の際は違債務整理に強い弁護士に相談することをおすすめします。なお、過払い金は完済から10年間さかのぼって請求することが可能です。

おまとめローン

銀行や消費者金融などで提供されているサービスのひとつが「おまとめローン」です。

複数の業者から借り入れている借金を、一本化して金利を減額するのが目的で、ローンやキャッシングなどよりも一般的に金利が低く設定されています。

おまとめローンを利用するには「総量規制」に該当しないことが条件です。

総量規制とは、貸金業者が一人の顧客に貸せるのは「年収の1/3まで」と決められた貸金業法の規則で、まとめた金額がこれを超える場合は利用できないことになります。

なお、おまとめローンは金利を低くして毎月の返済が楽になるメリットがある反面、そのぶん返済期間が長くなるため、場合によっては総支払額が増える可能性もあります。

債務整理は法的に返済計画を見直す借金減額の方法

3つの借金減額方法のうち、多くの人が選択しているのが「債務整理」です。

債務整理は「任意整理」「個人再生」「自己破産」に分けられ、それぞれ減額される金額や利用条件、生じるデメリットなどが異なります。

任意整理の借金減額

債務整理の中で、もっとも利用者が多いのが「任意整理」です。

裁判所を介さず、貸金業者と直に和解交渉することで減額に応じてもらう方法で、裁判外の交渉になるため書類が少なく、家族や職場にバレにくいメリットがあります。

ただし裁判所の強制力がないため、業者によっては交渉に応じてもらえないリスクもあります。

任意整理で借金を減額する仕組みは、主に元本ではなく金利のカットです。

債務整理専門の弁護士が様々な角度から借金を見直し、将来利息の免除や過払い金の返還請求、さらには遅延損害金の免除や分割回数を増やすなど、返済可能な条件を交渉します。

お金を貸している業者にとっては利がないように思えますが、返済が長期にわたって滞ったり、踏み倒し(消滅時効)されると損害が大きくなるため、元本だけでも確実に完済してもらう方が有利な場合もあります。

ただし、あくまでも毎月の返済を前提にした交渉なので、本人に安定した収入があることが不可欠です。

また、他人に知られず債務整理ができるとは言え、信用情報機関の事故情報(ブラックリスト)に一定期間登録されることは避けられず、その間は各種ローンやクレジットカードの新規申し込みはできません。

個人再生の借金減額

任意整理に比べて、借金を大幅に減額できるのが「個人再生」です。

原則的に借金額の1/5、条件によっては1/10にまで減額でき、3年から最長5年かけて返済することで、残額が免除になるという仕組みです。

ただし、個人再生は裁判所への申し立てが必要になるため、家族や周囲に秘密にしておくことが難しくなります。また、借金の総額が5,000万円以下という条件があり、決められた返済額を毎月支払える安定収入が必要です。

さらには借金が複数あった場合、その全てが対象になるため、保証人を立てている場合は要注意となります。

個人再生は任意整理と同じく、ブラックリストに5年~10年登録されるほか、裁判所を通した債務整理になるため「官報」という広報物に住所と氏名が掲載されます。

一般人が通常目にすることはないものですが、内密にしたい人にとってはデメリットとなるでしょう。

メリットとしては、住宅ローンの継続が可能なことが挙げられます。本人の名義で登録されており、現在本人が居住している住宅であれば、そのまま住み続けることが可能です。

ここが次項の「自己破産」とは大きく違う所で、現在の暮らしを維持しながら借金返済をしたい人には、非常に重要なポイントになります。

自己破産の借金減額

どうやっても返済の目途が付かないときの、最終手段が「自己破産」です。裁判所に破産申立書を提出し、破産法に照らして審査のうえ、認められれば全ての借金が免除されます。

自己破産の手続きには非常に多くの書類が必要で、期間も最低半年はかかります。個人で行うのは難しいため、弁護士への依頼が必要です。

自己破産は借金がゼロになるのと引き換えに、多くのものを失います。当座の生活を維持するために最低必要と考えられる、99万円以下の現金、20万円以下の預貯金や家財を除いて、家屋や車などの財産は没収され債権者で配分されます。

ブラックリストや官報にも記載されますし、一部の職業に就労できない決まりもあります。

任意整理ができる条件とは

債務整理の中で、もっとも代表的な「任意整理」について掘り下げていきます。裁判所を介さないため手続きがシンプルですが、それだけに法的な強制力がありません。

債務者が自分で交渉しても断られる場合が多いため、専門の弁護士に依頼することをおすすめします。

まずは任意整理を行うにはどのような条件が必要になるのか、項目をリストアップしてみました。

任意整理の条件

  • 交渉に応じてもらえる……近年、拒絶されるケースも増えています。
  • 安定した収入がある……毎月決まった額の分割返済が必要です。
  • 返済期限を守れる……基本的に3年~最長5年で完済となります。
  • 返済の意思……継続して返済をする気持ちがあること。

任意整理の注意点

  • 弁護士への依頼が必要……個人では交渉が難航します。
  • 一部の債務整理も可能……複数の借り入れの中から選択ができます。
  • 滞納している人は不利……滞納分の損害金など、条件が不利になる場合があります。
  • 保証人がいる場合……債務者が任意整理をすると保証人に請求がいきます。

「一度も払っていない」「滞納している」「借りたばかり」などのケースは、交渉の余地はあるものの、不利な条件を突き付けられることがあります。

また、すでに貸金業者から書面の督促が届いていたり、すでに裁判が始まっている場合は、早急に弁護士に相談してください。裁判所に強制執行の申し立てをされると、強制的に財産を差し押さえられてしまいます。

任意整理後の生活について

「任意整理をしたら、もう以前の生活に戻れないのでは」と考える人は多いと思いますが、基本的な日常生活には影響はありません。

ただし、経済面ではいくつかの制約があります。注意点を以下の項目にまとめました。

任意整理後は無理のない返済ができるようになる

任意整理の目的は、金利などをカットして総借金額を減らし、現在の収入で完済をめざすことです。

借金額がどれくらい減額されるかはケースバイケースですが、月々の返済額は債務者が弁護士と相談して「これならば返済が続けられる」という額を設定できるため、以前より返済が楽になることはあっても、苦しくなることはありません。

例えば、任意整理の結果100万円の残額があるとして、3年で完済するなら毎月3万円弱、それでは苦しいということであれば、5年払いにすることで1万7000円弱にまで減額することができます。自分の生活や収入を熟考し、弁護士に希望を伝えましょう。

ただし、必ず返済を終わらせるという約束の上での減額なので、返済期間中は安定した収入を確保する必要があります。せっかく減額してもらったのに滞納するようなことがあれば、その金融業者からの信用は二度と回復できなくなります。

クレジットカードは使えなくなる可能性が高い

基本的な日常生活には影響が少ない任意整理ですが、「クレジットカード」に関してはいくつかの制限があります。

まず、任意整理をすると信用情報機関の事故情報(ブラックリスト)に登録されてしまうので、5~10年は新規でクレジットカードの審査に通らなくなります。

また、現在使用しているクレジットカードも、基本的に使えなくなります。

注意したいのが、家族カード。主たる契約者の親カードを任意整理した場合、子カードも使用できなくなります。また、子カードで債務が発生した場合、子カードのみの任意整理はできないため、返済の責任は親カードの契約者になります。

そして、もっとも注意が必要なのが社員証付きのクレジットカードです。

カードの支払い名義は本人であるため、事故情報に登録されるとクレジット機能が停止し、会社によっては社員証を作り直す必要が発生します。

そうなると、会社に任意整理した事実が知られてしまい、信用を失う恐れがあります。

自動車ローンや住宅ローンはどうなるか

任意整理をする際、住宅や車のローンが心配になる人は多いでしょう。結論から言うと、住宅や車のローンは継続できます。理由は、任意整理は個人再生や自己破産と違って、対象を選択することができるからです。

特に住宅は、ローンを組む際に「抵当権」が設定されているのが普通なので、任意整理の対象にはなりません。

抵当権とは、もしも債務者が返済不能になった場合、土地や建物を担保とする権利です。そのため、住宅ローンを維持しながらその他の借金を任意整理することは可能です。

ただし、そのぶん毎月の返済額は増えるので、継続して支払いが可能かどうか熟考しましょう。

車のローンに関しては、任意整理の対象から外せば車を回収されることはありません。

ただし、例外的に自動車ローンと同じ会社の債務を任意整理した場合は、車のローンも契約を解除されてしまうことがあります。

また、ブラックリスト登録が終わっても、同じ会社で再びローンを組むことは難しくなります。

まとめ

借金の減額にはいくつかの方法がありますが、非常に手続きが複雑です。

また、債務者が直に金融業者にお願いしても、応じてもらえないことがほとんどです。そのため借金減額に関しては、弁護士に任せることをおすすめします。

債務整理を専門とする弁護士事務所には、無料相談サービスも用意されています。

まずは借金の内容をメモなどに整理し、プロに相談してみてはいかがでしょう。借金の苦しみから解放されるかもしれません。