借金

借金返済に行き詰まったとき 〜借金生活からの脱出方法は?〜

「毎月、返済しているのに借金が減らない」「数年にわたって借金の返済に追われていて辛い」といった悩みを抱えていませんか。

借金を返すためにと、給与から無理をして返済をしたり、新たに消費者金融から借入をしたりすることだけが借金生活から脱出するための方法ではありません。

ここでは、借金返済に行き詰ったときの対策として、借金の状況を把握する方法や借金返済でやるべきではない行動、そして債務整理についてご紹介します。

はじめに自分の借金の状況を確認する

借入先がわかる場合の借金残高の確認方法

借金が膨れ上がっていると、ついつい現実から目を背けてしまい、借金の総額を正確に把握していないケースは少なくありません。

しかし、借金の状況を把握しなければ、対処方法を考えたり誰かに相談したりすることは難しいです。借金生活から脱出するためには、まず自分の借金がいくらあるのか、借入状況を把握して現実を受け止めることが必要です。

すべての借入先と借入金残高、返済期限、利息をリストアップすることからはじめましょう。

借入先がわかっている場合は、借入状況を把握するのは比較的容易です。

借入をしているクレジットカード会社や消費者金融の各社に問い合わせれば借金残高などを把握できます。借金残高や返済期限などを確認するには、いつも借入や返済に使用しているATMやホームページの会員ページで残高照会をする、電話で問い合わせるといった方法があります。

また、これまでの借入や返済などの取引履歴は、クレジットカード会社や消費者金融に電話で連絡して開示を求めることが可能です。大手消費者金融の場合、ホームページの会員ページから取引履歴を確認することもできます。

借入先がわからない場合の借金残高の確認方法

借金を重ねて借入先を把握できなくなってしまっている場合は、個人信用情報機関に問い合わせする方法があります。

個人信用情報機関とは、加盟するクレジットカード会社やローン会社、消費者金融、銀行、携帯電話会社などから、クレジットやローンの申込や契約内容、返済状況、借入残高などの信用情報を収集して管理を行っている機関です。加盟会社からの照会があった際には情報提供を行っています。また、個人が信用情報機関に請求して自分の信用情報の開示を求めることも可能です。

個人信用情報機関は株式会社日本信用情報機構(JICC)と株式会社シー・アイ・シー(CIC)、全国銀行個人信用情報センター(KSC)の3社があり、クレジットカード会社や消費者金融などは通常1社以上に加入しています。

JICCは消費者金融や銀行系のローンを網羅する信用機関です。CICは消費者金融やクレジットカード会社に強いという特徴があり、KSCは銀行系カードローンが中心ですが日本学生機構の延滞者の情報も扱っています。

一般的にはJICCやCICのいずれかを選べば良いのですが、銀行系カードローンを何本も借りている場合は、KSCも加えるとよいでしょう。

信用情報の開示の請求方法は個人信用情報機関によって異なりますが、インターネットや郵送、窓口による方法があります。インターネットによる開示の請求がスピーディーにできておすすめです。

JICCはスマートフォンでアプリをダウンロードした後、アプリの指示に従って必要事項の入力や本人確認資料の送信などを行うと開示結果が郵送で届きます。

CICは電話で受付番号を取得してパソコンやスマートフォンから必要事項の入力を行うと開示情報を取得することができます。

KSCは郵送のみの受付です。

信用情報の開示請求には手数料が必要となり、JICCやCICへのインターネットでの請求やKSCへの郵送による請求の場合、いずれも1,000円です。

借金があるのに信用情報が無かった場合に考えられる理由

個人信用情報機関に問い合わせても、借金があるのに信用情報がなかったり、ほかにも借金があるはずなのにすべての情報が揃わなかったりする場合があります。

そうしたケースで考えられる理由としては主に2つ考えられます。

借入先が個人信用情報機関に加盟していない

まず考えられるのは、クレジットカード会社や消費者金融、銀行といった金融機関以外から借金しているパターンです。

個人信用情報機関に加盟しているのはクレジットカード会社や消費者金融、銀行などの金融機関です。生活福祉資金や年金担保融資といった国や自治体による貸付けや、民間であっても質屋や個人間での融資、生命保険の契約者貸付けといった本人への審査が行われない融資の場合は個人信用情報機関を利用していません。

また、日本学生機構は2008年にKSCに加入していますが、信用情報が記載されるのは3ヶ月以上延滞をした場合のみです。そのため、延滞をしたことがなければ個人信用情報機関に情報が載っていません。また、大学独自の奨学金も個人信用情報機関への情報の記載はありません。

こうした国や自治体、質屋からの借入があるケースや奨学金を借りているケースでは、個人信用情報機関に問い合わせても情報は得られません。直接借入先に問い合わせましょう。

規模が小さな消費者金融は個人信用情報機関に無加盟のケースも

もうひとつは規模の小さな消費者金融から借金していて、その金融会社が個人信用情報機関に加盟していないケースです。大手の消費者金融と異なり、小さな消費者金融の場合は個人信用情報機関に加盟せず、緩い審査でお金を貸していることがあります。

この場合も個人信用情報機関に信用情報の照会を行っても記載されていないため、請求書や利用明細書に載っていないことを確認したい場合は借入先に問い合わせることが必要です。

借金返済でやってしまいがちなNG行動

借金返済に行き詰っている人の多くは、借金返済でやってはいけないことをしてしまっている傾向があります。

借金を抱えているときは、対応の仕方によってますます借金を膨らませることになってしまうことがあるので注意が必要です。

借金を借金で返す

借金地獄に陥っている人は複数の会社から借入があり、借金を借金で返すことで借入残高が膨らんでしまっているケースが少なくありません。

はじめはA社から借入をしていて返済が苦しくなり、借入限度額に達してしまって借りられなくなると、今度はB社から借入をしてA社の返済に充て、B社も借入限度額に達してしまって今度はC社から借入をする、といった連鎖的な借金を繰り返し、総額が膨らんでしまうパターンが多いです。

借金を借金で返そうとすると、利息分がかさむ状態になります。返済しても残りの元本に利息がついていくため、借入残高はどんどん膨らんでいってしまうのです。

借金を借金で返すという自転車操業状態に陥ってしまうと、自力で建て直すのは難しいと言えるでしょう。そのため、最初に借金をした会社に対する返済が苦しくなった時点で対策を考えること必要があります。

1人で借金の悩みを抱える

借金の悩みは職場の人や友人はもちろん、家族にも知られたくないと考えている人が多く見受けられます。家族に借金のことを打ち明けるのは、借金をした理由を聞かれたり、叱責を受けたりすることが考えられるため、怖いと感じてしまうのが要因です。職場の人や友人に相談するのはよりハードルが高く、さらに弁護士などの専門家への相談はもっと敷居が高いと考えてしまうケースが少なくありません。

しかし、借金の悩みを1人で抱え込んで自分で解決しようとすると、状況をさらに悪化させてしまう可能性があります。現実的にはできるだけ早い段階で相談した方が家族のサポートによって返済をしやすいのです。

弁護士や認定司法書士に相談する場合でも、なるべく早い方が複数の解決方法の提案を受けることができ、希望に沿った形での解決が図りやすくなるので返済の負担も軽減しやすいという面があります。

毎月の返済額の元金と利息の割合を知らない

毎月の返済額のうち、元金と利息の割合を知らず、毎月返済しているので借金が大きく減っていると思い込んでしまうことも、NG行動です。

特にリボルビング払いで借りている場合、返済額の半分程度を利息が占めているので、返済していてもなかなか借金総額が減らないといったことが起こり得ます。

たとえば、年利18%で50万円を借りて毎月元金を1万円ずつ返していく場合、当初は月々の利息が1万円程度となるため、2万円返済して元金が1万円減るといった形になります。

毎月の返済額の元金と利息の割合を知らずにいると、元金が大きく減っていないにもかかわらず再び借金をしてしまい、返しても返しても残高が減らないという状況に陥ってしまいやすいのです。

クレジットカード会社や消費者金融などから借入をした場合は、利用明細書を確認して毎月の返済の元金と利息の割合を把握するようにしましょう。

借金返済に行き詰まったときの2つの対策

では、実際に借金返済に行き詰まったときには、借金残高を把握したうえでどのような行動をとればよいのでしょうか。

借金問題を解決するには月々の返済額を減らしたうえで、元金を減らしていくことが必要です。

借入先が複数ある場合は「おまとめローン」で借入を一本化

借入先が複数ある場合には、いわゆる「おまとめローン」を利用して借金の一本化を図る方法があります。

おまとめローンとは、今の借入先よりも低い金利で借入をして複数の借入先を1社にまとめることを言い、消費者金融や銀行では専用の商品が展開されています。

おまとめローンで借入を一本化することには、返済が月1回になるため管理がしやすくなる、金利が低くなることで利息の負担が減るといったメリットがあります。また、これまでの借入先にはおまとめローンによる借入によって返済するため、信用情報が傷つかないという点もメリットです。

一方、必ずしも金利が低くなるとは限らず、おまとめローンの方が通常のカードローンより金利が高く設定されているケースもあります。また、金利が低くても月々の返済額を抑えるために借入期間が長くなると、返済総額が増えてしまう可能性がある点もデメリットです。

追加融資が受けられない商品の場合、急な出費が必要になったときに別口から借入をしてしまうと、おまとめローンに一本化した意味がなくなってしまいます。何より、必ずおまとめローンの審査が通るとは限らないという点には注意が必要です。

弁護士に債務整理を依頼

自分では借金問題が解決できそうにない場合には、弁護士や認定司法書士に相談して債務整理を依頼する方法があります。

弁護士や認定司法書士に依頼した時点で督促が行われなくなるのがメリットです。ただし、債務整理を行うと個人信用情報機関に記載され、数年間は新たに借入するのが難しくなる点に注意しましょう。

債務整理には「自己破産」と「任意整理」「個人再生」の3種類があります。

自己破産とは、裁判所に借金が支払えない状態であることを申し立てて財産の清算を行い、借金を免除してもらうことを言います。

住宅や車といった財産を手放さなくてはならないことや家族に隠すのが難しい点がデメリットですが、収入がなくても可能な方法で借金がなくなることがメリットです。

自己破産は財産を所有しておらず、生活保護の受給者や無職の人、収入が少ない人に向いている制度と言えるでしょう。

任意整理は弁護士や司法書士が借入先と交渉を行い、借金の減額や金利の引き下げを行うなど、新たな返済条件を取り決めることを言います。

合意後の利息をカットして返済額を減らすケースが一般的です。任意整理は車や家といった財産を失わずに済むことや家族に秘密にすることもできる点がメリットですが、借金を減らせる額が少ない点がデメリットに挙げられます。また、安定した収入がある人でなければできません。

個人再生は裁判所に申し立てを行い、借金残高を大幅に減らしてもらう方法です。

借金残高が5,000万円以下の場合、最大で10分の1まで減るケースもあるなど大きく借金を減らせる点や、住宅などの財産を残せる点がメリットです。ただし、個人再生も安定した収入がないとできない点がデメリットとなります。

債務整理は弁護士のほか、司法書士のうち、国が定めた認定試験に合格して簡裁訴訟代理関係業務を担える認定司法書士に依頼することも可能です。

ただし、弁護士と認定司法書士では取り扱える債権額の範囲に違いがあります。認定司法書士は個別の債権額が140万円以下の場合に限って、債務整理の法律相談や代理人として借入先との交渉、訴訟といった業務を取り扱うことができます。

一方、弁護士には債権額による制限がないのがメリットです。

まとめ

借金返済に悩んでいるなら、まずは自分の借金の状況を正確に調べることが大切です。そのうえで、借金を減らしていくために毎月の支出から不要な出費をできる限り抑えていくなど、返済できるように生活を改めていく必要があります。

借金問題に自分だけで対処するのが難しく、債務整理によって借金残高の減額や免除を受けることを希望する場合には、弁護士に相談することを検討すると良いでしょう。