借金地獄から抜け出す方法は、主に4つあります。
高齢になるまで払い続けることも珍しくありません。
4つの方法も重要ですが、借金地獄に陥ってしまう理由も知っておきましょう。現在借金による悩みを抱えているなら、今すぐに手を打ってください。
借金地獄から抜け出す方法
借金地獄から抜け出す方法は、主に4つあります。
毎月の返済負担が大きい場合または数社から借入がある場合は、すぐに手を打った方が良いでしょう。
また、借金といっても、さまざまな種類があります。
- 住宅ローン
- カードローン
- 奨学金
- 消費者金融
細かく分ければまだまだいくつもあります。
「消費者金融から借りていないから大丈夫」と勘違いしがちですが、「お金を借りる」のは全て借金です。
ローンもクレジットも借金です。私たちは、お店でクレジットカードを提示するだけでお金を支払わずに商品を購入することができます。しかし、クレジットカードの利用も、消費者金融からの借入れと同じ「借金の契約」です。その契約に基づいて、あなたは後でお金を支払わなければなりません。
(引用元:安易に借金をしてはいけません|金融庁)
「消費者金融から借りてなければ借金地獄に陥らない」という考えは危険なので、まずは「借金をしている」自覚を持ちましょう。
抜け出す方法以前に、借金地獄に陥っている自覚を持たなければ、今の状況から改善されません。
また、借金していても、どこからが借金地獄なのか分からない人も多いでしょう。「どんな状態が借金地獄」と明確な境界線はありません。
単純に借金している本人が返済に対して「苦しい」と感じていれば借金地獄といえます。
借金に対して、苦しいと感じるケースには、以下のようなケースが多いです。
- 毎月借金を返済している
- 返して借りてを繰り返している
- 返済が全く終わらない
- 数社から借り入れしている
- 借金の返済で生活が苦しい
もしこのような状況に陥っているなら、借金地獄の中にいるのではないでしょうか。
多くの人は感情的な部分から「自分のした借金だから仕方ない」と思ってしまいがちです。しかし、現実的に生活が苦しくなっているならば、借金地獄に陥っています。
感情ではなく、まずは現実的に自分の生活を見直してみましょう。
借金地獄に陥っていると感じられれば、次に抜け出す方法を考えてください。
多重債務者は約9.6万人
「日本信用情報機構の統計情報」では、2020年7月末現在、消費者金融などから借り入れのある多重債務者は9.6万人というデータが出ています。
5件未満の借り入れをしている人数は以下の通りです。
- 1件:690.1万人
- 2件:232.4万人
- 3件:84.8万人
- 4件:26.7万人
「2007年金融庁のデータ」では5件以上の借り入れをしている人数は、130万人以上でした。
過去に比べれば多重債務者は大幅に減少しています。しかし、現在でも多重債務に悩まされている人は少なくありません。
借り入れしている会社によりますが、1社あたり30万円借り入れ、年率12%で24回払いとした場合、1社あたりの毎月返済額は約1万5,000円です。
- 1社:月の返済額約1万5,000円
- 2社:月の返済額約3万円
- 3社:月の返済額約4万5,000円
- 4社:月の返済額約6万円
4社以上になれば毎月の返済額だけで生活が苦しくなるでしょう。
総返済額は1社あたり約34万円となり、4万円分利息として払っていることになります。
4社から借り入れしている場合、「4社×4万円=16万円」となり、合計で16万円の利息です。
多重債務してしまうと、損になるのは明らかでしょう。
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多重債務とは?
多重債務は、複数の業者から借金をしていて、返済が困難な状況を指します。
おおよその目安ですが、3社以上から借り入れをしていれば多重債務といえるでしょう。
もちろん消費者金融だけの数ではなく、借り入れしている全ての会社です。
例えば、以下の場合でも多重債務といえます。
- 住宅ローン
- 銀行カードローン
- 消費者金融
3社以上の借り入れをしていると、毎月の返済額でも大きな負担となっているでしょう。なかには返済のために生活が苦しくなり、返して借りてを繰り返してしまう人がいます。
さらに、返して借りてを繰り返す中で、急にまとまったお金が必要になってしまった場合、別の会社から借り入れしてしまう人も少なくありません。
「1社しか利用していない自分には関係ない」ではなく、1社でも利用していれば多重債務者になる可能性は十分ありえます。
とくに、返して借りてを繰り返しているなら、要注意です。
多重債務になる理由
多重債務になる主な理由は、借金を返していない状態で他の借金を作ってしまうことです。
例えば、住宅ローンのため生活が苦しくなり金融会社からお金を借りてしまったり、消費者金融の返済分が足りずに他の会社から借りてしまったり、借金のために借金を繰り返すことが多重債務につながります。
この状態が続くと、雪だるま式に借金が増え、最終的には借金が払えな状況に陥るでしょう。
そもそもの借金をしたきっかけとして、上位トップ3は以下の理由があります。
- 低収入・収入の減少
- 商品・サービス購入
- 事業資金の補てん
その他の理由は、以下画像の通りです。
(引用元:多重債務者対策を巡る現状及び施策の動向|金融庁 / 消費者庁 / 厚生労働省(自殺対策推進室) / 法務省)
主なきっかけは、生活の困窮や浪費でしょう。
生活のための一時的な借金ならまだ良いですが、繰り返す借金は多重債務に陥る原因になります。計画的な返済ができない状況での借金はとても危険です。
平成29年の調査では、多重債務が原因の自殺者は656人に達しています。
(引用元:多重債務者対策を巡る現状及び施策の動向|金融庁 / 消費者庁 / 厚生労働省(自殺対策推進室) / 法務省)
多重債務者になると、生活が苦しいだけではなく、精神的にも追い詰められます。
いかなる理由であっても、返済の目処がたっていないのであれば、多重債務は避けた方が良いでしょう。
返しても減らない借金地獄
借金地獄に陥る原因は、借金によるデメリットの悪循環です。
借金する人のほとんどは、すぐに返済できずダラダラと返し続けます。
長期的に返済することは、必ずしも悪い方法とは言えません。しかし、長期的な返済は借金地獄に陥りやすいです。
元金が減らない
長期的な返済は、払った分だけ利息を払うことになります。
借金には必ず利息がつき、返済額から利息分が引かれているので、本来の借り入れ額よりも多く返さなければいけません。
とくに元金が減らない悩みを抱えやすいのが「リボ払い」です。
例えば金利15%で100万円を借金、毎月15,000円返済の場合、以下のようになります。
- 完済までの期間:約12年
- 利息分合計:約116万円
ちなみに利息なしの場合ならば、完済までの期間は約5年の計算です。利息が多いだけでなく、返済期間も大幅にかかります。
借金した本人は返済しているつもりでも、実際はほぼ利息に充てられてしまうため、元金が減らない苦しさを感じてしまうでしょう。
返済で生活費が足りない
多重債務をすると、毎月の返済で生活費が足りなくなることも少なくありません。
例えば5社から借り入れ、1万円ずつの返済の場合「5社×1万円=5万円」です。毎月の収入から5万円引かれるのは大きな負担になるでしょう。
では、毎月の返済で生活が苦しくなるとどうなるか?ほとんどの人は、再度借金してしまうのです。
最悪の場合、新しい会社から借金する場合もありえます。その月はどうにか暮らせても、結果的に返済額が増えるだけです。
目先の生活を優先しすぎると、すぐに借金は膨らみます。
借金地獄から抜け出す方法
借金地獄から抜け出す方法は主に4つです。
- 債務整理
- おまとめローン
- 専門家へ相談
- 過払い金請求
借金地獄に陥っている人のなかには「自分はまだそれほどではない」と思っている場合があります。
しかし、以下の条件にあてはまっているなら、危機感をもつべきです。
- 3社以上から借金している
- 返して借りてを繰り返している
- 数年以上借金を返し続けている
借金地獄に悩まされているなら、すぐに対処しましょう。
債務整理
債務整理には、3つの方法があります。
- 任意整理
- 個人再生
- 自己破産
一般的に「債務整理」と聞くと、「債務整理=自己破産」のイメージが強く、良い印象ではないでしょう。しかし、債務整理にはさまざまな方法があり、自己破産だけが債務整理ではありません。
自己破産は裁判所を通さなければいけませんが、債務整理の中には裁判所を通さない方法や、自分だけでできる方法もあります。
それぞれの債務整理は条件が異なるので、現在の借り入れ額や生活状況に合わせて選ぶと良いでしょう。
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任意整理
任意整理は、債務整理のなかで唯一裁判所を通さずに手続き可能な方法です。
債権者と協議の場を持ち、話し合いによって解決します。話し合いだけで完結するので、比較的短期間です。
ただし、元金の減額は厳しく、多くの場合は今後の利息軽減になります。
任意整理のメリット・デメリット
メリット | ・利息軽減 ・短期間で済む ・手続きが比較的簡単 |
デメリット | ・今後5年間借り入れ不可 ・他の手続きと比べて減額が少ない |
個人再生
個人再生は、裁判所に申立て債務整理をおこなう方法です。
裁判所に3年~5年の返済で完済する計画書を提出して、認めてもらわなければいけません。返済期間は原則3年ですが、特別な事情がある場合は5年までの長期分割弁済が認められます。
個人再生可能なのは、現在の借金が返済能力を超えている人、債務総額5,000万円以下が対象です。
上手くいけば借金額が10分の1まで減額されます。ただし、借金が100万円未満の場合は減額されません。また、借金が100万円以上の場合は、減額後でも最低100万円支払うことになります。
個人再生のメリット・デメリット
メリット | ・大幅に減額される可能性がある ・財産を手放さずに手続きできる可能性がある |
デメリット | ・今後5年借り入れ不可 ・返済を継続できる収入がないと手続き不可能 |
自己破産
自己破産は、借金を全額免除にする制度です。債務者を経済的に立ち直らせる目的としてつくられました。
自己破産可能なのは、支払い不能状態に陥った場合です。
この法律において「支払不能」とは、債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態(信託財産の破産にあっては、受託者が、信託財産による支払能力を欠くために、信託財産責任負担債務(信託法(平成十八年法律第百八号)第二条第九項に規定する信託財産責任負担債務をいう。以下同じ。)のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態)をいう。
(引用元:破産法|電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ)
つまりは、現在の資産や今後の収入などから判断して、完済することが不可能と考えられる状態です。
支払い不能かどうかは、裁判官が借金額や収入、資産状況などから総合的に判断します。
借金が少なくても、収入が少ない場合は自己破産可能です。
借金の全額免除は大きなメリットですが、多くのデメリットもあります。財産がある場合、全ての財産が差し押さえられ、裁判手続き中は長期旅行や引っ越しもできません。
ただし、裁判所の許可があれば旅行や引っ越しも可能です。資産価値のない家財や、生活費99万円までなら保有できます。
自己破産のメリット・デメリット
メリット | ・借金の全額免除 |
デメリット | ・今後5年間~10年借り入れ不可 ・裁判手続き中の長期旅行や引っ越し不可 ・免責決定まで一部就けない職業がある |
おまとめローン
数社から借り入れしているなら、おまとめローンを検討してみましょう。おまとめローンは、借金を1本化する方法です。
いくつもの会社に返済していると、返済日もまばらで、精神的な負担が大きくなるでしょう。
おまとめローンにすれば、毎月の利息を減らせる場合があるので、精神的な負担は軽くなります。
おまとめローンのメリット
おまとめローンのメリットは、返済日の一本化、利息の減額です。
数社から借り入れしている場合、以下のような返済日になることがあります。
- A社:毎月5日返済
- B社:毎月15日返済
- C社:毎月25日返済
ほぼ毎週返済する状態なので、精神的な負担が大きいです。
A社に返済して次はB社、B社に返済したら次はC社。気付けば新しい月になり、またA社への返済です。
おまとめローンで1本化すれば、返済日は毎月1回のみになります。また、数社に返済している場合、余分な利息を払わなければいけません。
例えば、総額150万円を年利18%で3社に借りている場合、毎月利息だけで2万2,500円です。50万円を年利12%のおまとめローンにした場合、毎月の利息は1万5,000円になります。
月々の利息による負担が軽くなり、結果的に早期完済へつながるでしょう。
おまとめローンのデメリット
おまとめローンのデメリットは、融資審査が厳しい部分です。
すべての借金をまとめるため、多額の借り入れをしなければいけません。あまりにも多額の場合、融資審査に落ちる可能性があります。
また、通常のローンより金利を高くしているところの場合、利息の総額が増えてしまうでしょう。
おまとめローンの金利は事前に確認できるので、必ず確認しておいてください。
ちなみにおまとめローンは借り入れできません。通常のローンの場合、限度額内であれば追加融資が可能ですが、おまとめローンは返済専用のローンです。
生活状況に応じて、返して借りてをしたい人には、デメリットに感じるかもしれません。しかし、返して借りてを繰り返してしまうならば、おまとめローンにする意味はなくなってしまいます。
デメリットではありますが、借金地獄から抜け出したいなら「借りる」選択肢は完全に消し去りましょう。
専門家へ相談
自分だけで借金の悩みを解決できないならば、お金の専門家へ相談してください。
専門家に相談すると、以下のようなメリットがあります。
- 返済の督促をストップ
- 手続きの案内
- 専門的な手続きの代行
お金の悩みは人に相談しにくく、1人で抱え込む人の多くが多重債務者になります。1人で解決しようとして、借金返済のための借金をしてしまうのです。
誰にも相談しなかったために、借金地獄に陥るケースも珍しくありません。現在借金に関して相談できるサービスは多いので、1人で悩まずに相談しましょう。
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法テラス
法テラスは、法的なトラブルを解決する国の総合案内所です。
法テラスでは、主に5つの業務を行っています。
- 情報提供業務:法制度に関する情報を提供
- 民事法律扶助業務:経済的なトラブルの法律相談・必要な場合は弁護士・司法書士費用の立て替えを行う続きの案内
- 犯罪被害者支援業務:犯罪被害にあった家族の方など、必要な支援が受けられるよう法制度に関する情報を提供
- 国選弁護等関連業務:国選弁護人になろうとする弁護士との契約、国選弁護人候補の指名及び裁判所への通知、国選弁護人に対する報酬・費用の支払いなど
- 司法過疎対策業務:司法過疎地域の解消のため、法テラス地域事務所設置を行う業務
借金問題で相談するのは「民事法律扶助業務」です。法テラスと契約している弁護士や司法書士が相談にのってくれます。
一定の条件を満たしていれば、無料で30分程度相談可能です。必要な場合は弁護士や司法書士費用の立て替えもおこなってくれます。
各自治体の無料相談
お住まいの各自治体でも相談可能です。自治体窓口では、地域の弁護士などを招いて、無料で法律相談を行っていることがあります。
法律相談は常に開催されているわけではないので、広報誌などをチェックしておきましょう。
相談時間は30分前後で、長時間丁寧に話を聞いてもらえるわけではありません。あくまで「相談程度」と考えておきましょう。
債務整理の手続きまでしっかり行いたい場合は、無料相談ではなく弁護士と契約して相談してください。
消費生活センター
消費生活センターは多重債務などのトラブルを専門的に受け付けているサービスで、気軽に相談できる消費者ホットラインがあります。
(引用元:全国の消費生活センター等|国民生活センター)
相談無料なので気軽に相談してみましょう。相談日や相談時間を事前に連絡していれば、直接訪問しての相談も可能です。
法的な手続きが必要な場合は、弁護士を紹介してもらえます。
消費者ホットラインの他、各都道府県別に消費生活センターや窓口があるので、お住まいの地域の消費生活センターに連絡しましょう。
生活支援相談所
生活支援相談所は、各区や市の相談窓口です。
多重債務だけではなく、以下のような相談も受け付けています。
- 生活に困っている
- 住む場所がない
- 家計が厳しい
- 失業して支払いができない
- 仕事が見つからない
「〇〇(お住まいの地域) 生活支援窓口」と検索すれば、各地域の問い合わせ窓口が見つかります。
ただし、アドバイスや紹介がメインなので、法的な手続きをおこなってくれるわけではありません。
弁護士無料相談
法的な手続きを考えているなら、弁護士への相談が一番です。
現在の状況を説明すれば、どの方法が合っているか相談にのってくれます。実際に手続きをおこなう場合は有料ですが、相談だけなら無料です。
今すぐ借金地獄から抜け出したいなら、弁護士への相談が一番早いでしょう。
過払い金請求による減額
過払い金請求は、過去に払い過ぎた利息が戻ってくる方法です。
長期にわたって返済を続けている場合、利息を多く払っている可能性があります。払い過ぎた利息分だけで完済できるケースもあり、とても有効的な方法です。
過払い金請求対象者
過払い金はおもに平成19年以前に借金をしていた方が対象者になります。
そもそも過払い金とは、出資法と利息制限法の利息差から生まれたものです。
当時出資法の利息は上限29.2%、利息制限法は20%が上限でした。多くの企業は貸金業法が改正されるまでの間、29.2%を適用していたのです。
平成19年以降は出資法が改正されているので、改正以降に契約した場合、過払い金が発生していない可能性が高いです。
- 平成18年(2006年)以前に契約した場合は、違法金利の可能性が高い=過払い金が発生している可能性が高い
- 平成19年(2007年)に契約した場合、契約の時期・金融会社による
- 平成20年(2008年)以降に契約した場合、改正後なので過払い金が発生している可能性は低い
ただし、以下の場合過払い金請求はできません。
- 貸金業者が倒産している
- 最終取引日から10年経過している
- 正しい金利で取引をおこなっていた
完済していても過払い金請求は可能なので、条件にあてはまる場合は一度相談してみましょう。
借金地獄は自分を見つめなおすところから
借金地獄から抜け出すには、まず自分を見つめなおしましょう。一度借金地獄から抜け出しても、そもそもの生活を見直さなければ、再度借金地獄に陥ってしまいます。
借金地獄から抜け出す方法として、おこなっておきたいのが「過払い金請求」です。まずは過払い金請求をして、返済額を減らしましょう。