「借金を返しているのになかなか減らない…。」といった悩みはありませんか?
借金の返済の負担を軽減する方法のひとつとして、借り換えローンの利用が挙げられます。
しかし、利息の負担を減らしたくて借り換えをしたにも関わらず、かえって返済額が増えてしまうケースもみられます。借り換えローンには金利や返済回数などで注意するべき点があります。
そこで、借金の借り換えのメリットや注意するべきポイント、借り換えでするべきではないNG行動について紹介していきます。
借金の借り換えの基本
借金の借り換えとは?
借り換えとは、高い金利で借りている借金を低い利率で貸している別の会社から借りたお金で返済し、低い利率での返済に変えることをいいます。
住宅ローンでは借り換えをするという話がよく聞かれますが、消費者金融などからの借金の借り入れはあまりなじみがないかもしれません。
しかし、消費者金融の借金も借り換えをすることが可能です。
たとえば、消費者金融Aから年利18%で90万円を借りている場合、銀行Bから年利10%で90万円を借りて消費者金融Aからの借り入れを返済します。そして銀行Bに借金を返していけば、金利が8%低くなるため、利息の支払いが減ることで、返済の負担が軽くなるのです。
一般的に消費者金融や信販会社はお金が借りやすい一方で、利息制限法で決められた上限に近い金利で貸しています。これに対して銀行のカードローンは比較的審査が厳しいですが、消費者金融や信託会社よりも低い金利で貸しています。
そのため、借金の借り替えは、消費者金融で借りているお金を銀行で借り換えるという形で行われるケースが多いです。借り換えローンという名称で専用の商品を設けている銀行もあります。
借金の借り換えとおまとめローンの違い
借り換えと似ているものとして、おまとめローンが挙げられます。借り換えは金利の高い会社から借りている借金を金利の低い金融機関で借りて返して、返済の負担を減らすことをいいます。
一方、おまとめローンは複数の消費者金融や信販会社などから借金をしている人が、ひとつの金融機関に借入先を一本化するものです。銀行や消費者金融によっては、おまとめローンという名称で専用の商品を展開していますが、一般的なカードローンをおまとめローンとして利用することも、審査に通れば可能です。
借り換えローンもおまとめローンも、新たな金融機関からお金を借りて借金を返済して、新たな借入先からの借金を返していくという点は同じです、一方で、借り換えローンはこれまでの債務の借入先が1つなのに対して、おまとめローンはこれまでの債務の借り入れ先が複数という点が異なります。
おまとめローンに借金を一本化すると、これまで借入先ごとに毎月、返済日や返済額を把握しておかなければならなかったのが、借金の返済が月に1回になり、管理がしやすくなるというメリットがあります。
また、おまとめローンを利用してこれまでよりも金利が低い金融機関に借金をまとめた場合には、返済の負担が軽減されるという点は、借り換えローンと同じです。
借金の借り換えのメリット
消費者金融などからの借金があるとき、借り換えをすることによって返済の負担が減るといったメリットがあります。
一般的に銀行のカードローンの方が消費者金融よりも金利が低く、借り換えの手続きをするだけで、返済の負担を減らすことが可能です。
また、銀行のカードローンは総量規制の対象外ということも、枠いっぱいまで借り入れをしている人にはメリットになることがあります。
最大のメリットは金利が下がる
借金の借り換え行うと、金利が下がることによって返済の負担が軽減することが、最大のメリットになります。
たとえば、年利18%で90万円を借りて3年間で返済した場合の総返済額は117万1,332円、利息分は27万1,332円です。一方、年利10%で90万円の借金の借り替えをして、3年間で返済した場合の総返済額は104万5,440円、利息分は14万5,440円です。借り換えをすることによって、総返済額に3年間で約12万5,000円もの差が生まれます。
また、月々の返済額を比較していくと、年利18%で90万円を借りて3年間で返済する場合は3万2,537円です。一方、年利10%で90万円の借り替えをして3年間で返済した場合は2万9,040円になります。
月々の返済額が少ない方が、借金返済のために新たな借金をしてしまうリスクを抑えることが可能です。
また、借り入れ額が大きいほど、金利の違いによる返済総額の差が大きく、借り換えによる返済の負担軽減効果が高くなります。
総量規制の対象外になり借り入れ額を増やせる
貸金業法では、消費者金融などの貸金業者による貸し付けは、債務者の年収の3分の1を超えてはいけないという規定があり、総量規制と呼ばれています。住宅ローンやマイカーローンなどによる借り入れは総量規制の対象外です。総量規制によって、貸金業者から合計で年収の3分の1を超える額の借り入れをすることは、原則としてできません。
ただし、貸金業者に該当するのは、消費者金融や信販会社、クレジットカード会社やリース会社などであり、貸金業の登録が必要です。銀行は貸金業者法による貸金業者ではなく、銀行法による規制を受けているため、総量規制の対象外です。
そのため、消費者金融や信販会社などで総量規制による制限のギリギリまで借りていた人は、銀行のカードローンに借り換えることで、年収の3分の1を超えて借りられるケースがあることもメリットに挙げられます。
また、貸金業者である消費者金融による借り換えローンも、例外的に条件に合致すると総量規制の対象外となるケースがあります。
例外的な条件のひとつとして挙げられるのは、債務者に一方的に有利になる貸し付けです。借り換えによって金利が下がり、債務者の総返済額が減るケースはこの条件に該当します。
借金の借り換えのリスクと注意点
「借金の借り換えをすれば返済の負担が減るはず…。」と安易に考えてしまいがちです。
しかし、銀行の借り換えローンを申し込んでも審査に通らないケースや、金利は低くなっても総返済額が増えてしまうケースもあります。借り換えを検討しているときに知っておきたい、銀行の借り換えローンのリスクと注意点についてまとめました。
借り換えは審査が厳しい
借金の借り換えをするとき、金利が変わらない会社で借り換えてもあまり意味がないため、金利が高い会社から低い会社に借り換えるのが一般的です。
そのため、金利の高い消費者金融から別の消費者金融に借り換えるというケースはあまりみられません。消費者金融からの借り入れで利用されることが多いのは、銀行の借り換えローンです。
ただし、銀行のカードローンは消費者金融で借金をする場合よりも金利が低い反面、審査が厳しい傾向にあります。また、銀行の通常のカードローンよりも、借り換えローンはさらに審査が厳しい傾向があるのが実情です。
そのため、消費者金融から銀行の借り換えローンに借り換えることを希望しても、必ずしも利用できるとは限らない点に注意が必要です。
特に借り入れ額が大きいケースでは、支払い不能に陥るリスクが高いと判断されやすいことから、借り換えローンの審査に通りにくくなります。借り入れ額が多いときは、返済額を少し減らしてから借り換えローンの申し込みをすることも検討してみましょう。
逆に返済総額が増えてしまうリスクがある
借金の借り換えによって金利が下がっても、返済方法によってはかえって総返済額が増えてしまうリスクがあることも注意するべき点です。
消費者金融や信販会社からの借り入れは、返済回数が少なく設定される傾向があり、短期間で返済しなければなりません。これに対して、銀行のカードローンは、返済回数を多くして長い期間をかけて返済することもできる傾向があります。
返済回数が多いと、月々の返済の負担が軽いというメリットはあるものの、ほとんど利息しか返していない状態で元本がほとんど減らないという事態になり兼ねません。金利が低くなっても、長い期間をかけて返済していくことで、かえって総返済額が増えてしまうケースもあるのです。安易に返済期間を設定し最大期間に延ばすのは避けるようにしましょう。
また、借り換えローンによっては利用するために手数料が必要です。手数料を含めて総支払い額を計算すると、総返済額がかえって高くなるケースもみられます。
借り換えローンを利用する前に今の借り入れ条件での総返済額と、借り換えをした場合の総返済額のシミュレーションを行い、借り換えによって有利な条件で返済できるようになるのか、確認することが大切です。
借金の借り換えを実行するときのNGポイント
借金の借り換えを行って利息の支払い額を減らせれば、返済の負担を軽減することができます。
しかし、借金の借り換えの際に確認を怠ったり、新たな借り入れをしないという気持ちを持ったりしなければ、そうした効果が得られないケースもあります。
金利を正しく確認せずに借り換えする
借金の借り換えをする際には、実際に適用される金利を確認せずに借り換えを進めてしまうのはNGです。金利が高い銀行で借り換えをするのでは意味がないため、複数の借り換えローンの金利を比較することが大切です。
また、下限金利が適用されるケースは少ないという点に注意が必要です。一般的に銀行の借り換えローンのパンフレットやホームページには、「年〇%~○%」といった形で、適用される金利に幅を持たせて記載されています。
たとえば、「年6%~14.5%」と記載されていると、年利6%が適用されると思い込みやすいですが、6%が適用されることはほとんどありません。100万円以下の借り入れでは、上限金利の14.5%が適用されるケースが多いです。銀行の借り換えローンの金利を比較する際には上限金利で比較し、借り入れをする金額に適用される金利を確認するようにしましょう。
また、銀行のカードローンのホームページでは、返済のシミュレーションができることが多く、借り入れ額や金利、借り入れ期間を入力すると、月々の返済額や総返済額を把握することができます。
毎月の返済額を減らして返済回数を増やす
月々の返済の負担が大きい場合、借り換えの際に毎月の返済額を減らして、返済回数を増やすことも選択肢になります。
ただし、毎月の返済額を減らし過ぎて、返済が長期に及んでしまうと、借り入れ前よりも利息の支払いが増えてしまうケースがあります。
そのため、大幅に月々の返済額を減らして返済回数を増やすのは避けるべきです。
たとえば、年利18%で90万円を借りて2年間・24回で返済すると、月々の返済額は4万4,931円、総返済額は107万8,344円です。これを年利14%で借り換えて4年間・48回で返済すると、月々の返済額は2万4,593円に減らせるので負担が軽くなります。
しかし、総返済額は118万0,464円となり、総返済額が10万円以上も増えてしまいます。
借り換えをするときには金利を下げるだけではなく、返済期間にも気をつけることが大切です。返済期間は延ばさず、無理のない範囲でできる限り短期間で返すようにしましょう。
借り換え後に新規の借り入れをする
借金の借り換えをするにあたっては、借り換え先の金融機関から新規の借り入れをしないことを条件とされることが一般的です。また、追加での借り入れもできないことが多いです。
しかし、借り換えローンを扱う金融機関の中には、新たな借り入れを行うことに対して関与せず、特に禁止してないケースもみられます。
また、借り換え前に借り入れをしていた金融機関に借り入れ枠が残っていると、借り入れ枠の範囲内で改めてお金を借りられることもあります。
とはいえ、借金の借り換えをするのは、返済の負担を減らして完済するためであったにも関わらず、新規の借り入れをして借り入れ額を増やしてしまっては元も子もありません。
新規の借り入れを重ねてしまうと、月々の返済が厳しくなり、債務整理をすることを考えざるをえない事態に陥るリスクがあります。借り換えをするときにはこれまでの生活を見直して、借金をこれ以上増やさないという意識を持つようにしましょう。
まとめ
借金の借り換えをする前に、借り換えによって返済の負担を減らすことができるのか、慎重に調べておくことが大切です。
借金の借り換えをしても利息の負担が大きく変わらないケースや、借り入れ額が大きいケースなどでは、借り換えをした後も返済の負担が重くのしかかっていくこともあります。
借金の早期の完済を目指すのであれば、債務整理という選択肢もあります。債務整理についても借り換えと合わせて調べてみるとよいでしょう。